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NTTグループの人事制度と「NTT Group Job Board」の活用

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HRソリューション事業部 業務・システムコンサルティング部門 人事・給与DX開発PT 担当部長 阿久根 貴広

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社員が自身のキャリアオーナーとなって自律的なキャリア実現をめざすため、2023年にNTTグループで導入された新たな人事制度の概要と、社員が自ら異動先を希望して手を上げる人事異動(手上げ型人事)を活性化する「NTT Group Job Board」についてご紹介します。

日本最大手の通信キャリアであるNTT株式会社を持株会社とするNTTグループでは、2023年4月より新たな人事制度を導入しました。

これに合わせて、NTTグループにおけるHC領域の間接業務のシェアードサービスなどを担う株式会社NTT ExCパートナーでは、社員が自身のキャリアオーナーとなって自律的にキャリアを検討・実現していくために、従来から実施している会社主導の人事異動だけでなく「社員が自ら異動先を希望して手を上げる人事異動(手上げ型人事)」を活性化するためのシステム「NTT Group Job Board」を開発。
NTTグループ以外のお客様への展開を見据えつつ、NTTグループ内で運用を行っています。

今回は、2023年にNTTグループで導入された新たな人事制度の概要と「NTT Group Job Board」について、開発プロジェクトを担った阿久根担当部長に話を聞きました。

NTTグループの人事制度改革と「NTT Group Job Board」開発の関係性

―NTTグループで人事制度の改革を実施した背景を教えてください。

阿久根:
NTT グループではこれまで、全分野共通の社員資格制度を運用してきました。どちらかといえば「ジェネラリスト」を育成するような人事制度だったとご理解いただければと思います。

しかしながら、情報通信市場においては、デジタル化の加速やAIなどの新たな技術の急速な進展により、幅広い分野での新たな価値の創造・提供が可能となる一方、業界・分野の垣根を超えたさまざまなプレイヤーによる多面的・多層的な市場競争が激化しています。NTTグループが事業変革と新事業領域拡大を強力に推進し、幅広い分野で新たな価値を創造・提供していくためには、社員一人ひとりが、これまで以上に高い専門性とスキルを身に付け、様々な分野で付加価値を創出していくことが必要不可欠だという考え方のもと、社員が高い専門性の獲得に意欲を持ち続けながら、キャリアビジョンの実現ができるよう、年次・年齢や在級年数ではなく、「専門性」を重視し、18の専門分野を設け、専門分野ごとに求められる専門性や行動レベルを明確化した「グレード基準」を設定し、専門性の獲得・発揮度に応じて昇格・昇給していく仕組みとしました。

また、特に専門性の高い社員に高い処遇で報いるための仕組みとして、「スペシャリストコース」を導入しました。
これにより、以前は、「一般社員」と「管理職」の大きく2つの社員区分のみでしたが、「マネージャーではなくて、得意な分野でのスペシャリストになりたい」という声にも応えられるようにしました。

さらに、社員の自律的なキャリア形成を支援する人事体系を構築するために「専門性を高められる人材配置・異動方針への転換として「手上げ型人事」の活性化に取組み始めました。
この仕組みに活用しているのが、「NTT Group Job Board」というシステムです。

前身の「ジョブチャレンジシステム」を改良するかたちで「NTT Group Job Board」を開発

―「NTT Group Job Board」の開発は、どのように進められたのですか?

阿久根:
前身となるシステム「ジョブ・チャレンジシステム」がEOLを迎えるタイミングでもあったため、NTTグループ内で改修の検討を進めておりました。並行して新たな人事制度・運用の検討も行っていた時期であり、新たな人事運用を実現するための重要システムとして制度改正と合わせてリリースできるように開発を進めてきました。

前身の「ジョブチャレンジシステム」についても、組織が募集ポストをシステム上に公開して社員が手を挙げてマッチングするという「手上げ型人事」に活用するためのシステムという点では同じでしたが、従来の取り組みは、施策的に年に数回の募集としたり、応募可能な企業が限定したりするなど、どちらかといえば、閉鎖的かつ秘匿性の高いものとして運用していました。

冒頭もお話したとおり、社員が自らのキャリアを考え、いつでもチャレンジできる人事運用をめざすことが目的でしたので、もっとオープンに利用することができ、通年の運用にも耐え得る設計になっています。社員は、グループ内すべての募集ポストに手を挙げることもできますし、募集する側は個社限定での募集ポストを設定することも可能にするなど柔軟に公募することができるようになっています。

また、ダブルワーク希望者への周知や募集にも活用することも可能だと考えています。社内の他部署やグループ内の他社のOJTに参加したいといった社員の声にも随時応えることもできます。

また、社員が自律的に自身のキャリアを考えるきっかけ作りや、自身では気付けない新たな気付きの発見や悩みの解消に向けて、社内外の国家資格を有するキャリアコンサルタントによるキャリア相談「NTTグループキャリアコンサルティング」をグループ展開しています。

  • End-Of-Life product…製品ライフサイクルが終了した製品のこと。

新たな人事制度の導入効果が見られた

―「NTT Group Job Board」の導入時は、浸透のために何か施策を講じたのですか?

阿久根:
「手上げ型の人事で、本当に異動できるのか?」と懐疑的な層もいるはずですし、何よりも社員が前向きに自身のキャリアを考えていただくことが重要ですので、持株会社の人事責任者(CHRO)からのビデオメッセージを発信したりするなど、社内における認知度向上に取組みました。
また、実際に「NTT Group Job Board」を活用して異動した社員の生の声を社内展開し、システムからもリンクを設置して閲覧できるようにしたり、特設サイトを作って募集ポスト数・応募者数・合格者数などを見える化するなどの取組みを展開しました。

―新人事制度の導入に併せて活用をスタートした「NTT Group Job Board」ですが、どのような効果が出ましたか?

阿久根:
新たな人事制度の観点では、従来は1段階ずつの昇格のみだったところが抜擢昇格として2段階昇格するような社員も出てきました。
また、自律的キャリア形成の観点でいうと、手上げ型人事が活性化してきていると感じています。具体的には、「NTT Group Job Board」の導入前後では、募集ポスト数が10倍以上に、そして応募する社員数も5倍以上になっており、社員エンゲージメントの向上に寄与できていると考えています。

「NTT Group Job Board」の展望

―「NTT Group Job Board」の今後について、お聞かせください。

阿久根:
現在、NTTグループ全体では、年間で15,000人くらいが人事異動します。ただ、現在の人事異動について「定期人事」という概念が強く、ある一定の時期に大量の社員が同時に異動します。自律的なキャリア形成の実現に向けては、やはり「定期人事」という概念ではなくて、通年にわたって人事異動が活性化する形が理想だと考えていますので、今後も「NTT Group Job Board」を更に活用していき、「適切なタイミングに、適切なポスト(業務)に適切な人材を配置する」といった会社目線と、「自らキャリアを考え、自ら行動(異動)し、自ら成長する」といった社員目線の両方を実現していきたいと考えています。

「Job Board」は、従業員数1,000名前後からの大規模な企業におすすめ

―「Job Board」は、どのような企業の人事におすすめのシステムですか?

阿久根:
たとえば500名程度の従業員数がそこまで多くない企業では、人事担当者が全員のスキルの取得状況などの把握が可能でもあり、良い人材が埋もれるといったこともあまりないのではないかと考えます。そのため、一定規模の従業員数(1,000名規模以上)の企業様においては、人材流動の活性化・社員エンゲージメントの向上に活用できるのではないかと思います。

「手上げ型人事」と聞くと、社内転職と受け止められがちですが、新規ビジネスを立ち上げる際の人員募集にも活用できますし、何よりも社員が自ら希望した仕事に就けるということで、エンゲージメントの向上にも繋がってくると考えています。ですので、アイデア次第では、「手上げ型人事」の活用場面がいろいろ考えられるシステムだと思っています。

まとめ

労働人口が不足している今の時代において、「今、在籍している人材をいかに活用するか」という考え方が重要になってきます。また、経営戦略を見据えた戦略的人事の実現に課題を感じている企業も多いのではないでしょうか?「NTT Group Job Board」をはじめとしたNTTグループの人事制度の在り方が課題解決の一助となれば幸いです。

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