ティール組織とは?意味や3つの要素、導入のメリット・デメリットやポイントも解説

  • 組織開発
  • マネジメント

現代のビジネス環境は、変化が激しく予測困難な時代に突入しています。従来のトップダウン型の組織運営だけでは、急速な市場の変化や多様化する従業員の価値観に対応しきれないと感じている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。そのような中で、新しい組織のあり方として注目を集めているのが「ティール組織」です。本記事では、ティール組織の基本的な意味から、その実現に必要な要素、そしてメリットやデメリットについて詳しく解説します。これからの組織づくりを考えるうえでの一助となれば幸いです。

  • 資料「人事評価制度の作り方 主な手法と手順、注意点を解説」のサムネ画像

    人事評価制度を作る際の流れ・ポイントを解説

    • 制度構築の基本的な流れ
    • 評価方法の種類、面談時の注意点

    など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!

ティール組織とは?次世代の組織モデル

ティール組織とは、組織を一つの「生命体」として捉え、メンバー一人ひとりが独自のルールや仕組みにもとづいて意思決定を行い、目的の実現に向けて自律的に進化し続ける組織のことです。従来の組織に見られるような、指示命令系統にもとづく階層構造(ヒエラルキー)を持たない点が最大の特徴といえます。

フレデリック・ラルーが提唱した「進化型組織」の概念

この概念は、2014年にフレデリック・ラルー氏の著書『Reinventing Organizations(邦題:ティール組織)』によって提唱されました。ラルー氏は世界中のあらゆる組織を調査し、組織のマネジメント手法が人類の意識の進化とともに変遷してきたことを明らかにしました。彼はその進化の過程を色で表現し、現在の多くの企業が採用しているモデルの先にある、次世代の組織モデルとして「ティール(青緑色)」を提示したのです。

従来型のピラミッド型組織との決定的な違い

従来の組織は、一般的に社長を頂点としたピラミッド型の構造を持ちます。そこでは上層部が戦略を決定し、部下がそれを実行するという「達成」や「効率」を重視した機械的な運営がなされてきました。一方でティール組織は、特定のリーダーによる管理や統制を必要としません。代わりに、メンバー全員が信頼にもとづき、組織の目的と共鳴しながら自律的に動くことが求められます。機械の部品として機能するのではなく、有機的な生命体の一部として活動する点が、従来型組織とティール組織の違いです。

ティール組織に至るまでの5段階の組織モデル

フレデリック・ラルー氏は、組織の進化を5つの色で分類しています。ティール組織を深く理解するためには、そこに至るまでの過程を知ることが重要です。以下の表に各段階の特徴を整理しました。

段階(色)組織の特徴比喩主な行動原理
レッド(衝動型)特定の個人の力による支配、短期的視点オオカミの群れ恐怖・力
アンバー(順応型)厳格な階層構造と規則、長期的視点と安定軍隊・教会規律・階級
オレンジ(達成型)成果主義と実力主義、競争とイノベーション機械利益・成長
グリーン(多元型)多様性と人間関係を重視、権限委譲家族共有・文化
ティール(進化型)自主経営と存在目的の追求、生命体的進化生命体自律・全体性

レッド(衝動型)組織

レッド組織は、組織の原始的な形態であり、圧倒的な力を持つリーダーが支配することで成立しています。オオカミの群れに例えられるように、力関係がすべてであり、恐怖によってメンバーを統率します。短期的な利益や生存を最優先するため、変化への対応は早いものの、長期的な計画や複雑な協力関係を築くことは困難です。現代でもマフィアや一部のギャング集団などにこの傾向が見られます。

アンバー(順応型)組織

アンバー組織は、軍隊や教会のように、厳格な階層構造と規律を重視する組織です。ここでは「正解」があらかじめ決められており、メンバーは定められた役割を忠実に果たすことが求められます。特定の個人の力ではなく、役職や身分によって序列が決まるため、レッド組織よりも安定的で長期的な活動が可能です。一方で、変化を好まず、既存のルールを守ることに固執するため、急激な環境変化には適応しにくい側面があります。

オレンジ(達成型)組織

オレンジ組織は、現代の多くのグローバル企業に見られるモデルです。機械に例えられるように、効率性と成果を最大化することを目的としています。階層構造は残っていますが、アンバー組織とは異なり、実力さえあれば誰でも昇進できる実力主義が採用されています。イノベーションや競争を通じて目標を達成することに主眼が置かれますが、過度な成果主義が従業員の疲弊や人間らしさの喪失を招くこともあります。

グリーン(多元型)組織

グリーン組織は、オレンジ組織の成果主義に対する反動として生まれ、人間らしさや多様性を尊重する組織です。家族に例えられるように、メンバーの感情や価値観を大切にし、権限委譲を進めることでモチベーションを高めようとします。全員の合意形成を重視するため、風通しはよいものの、意思決定に時間がかかりすぎるという課題も抱えています。

ティール(進化型)組織

ティール組織は、これまでの段階を統合し、さらに進化させた形態です。組織を一つの生命体とみなし、社長や管理職による指示命令系統をなくし、メンバー全員が自律的に意思決定を行います。組織の目的を実現するために、各人が自身の才能を最大限に発揮し、互いに協力し合うことで、複雑な環境変化にも柔軟に適応し続けます。

ティール組織を構成する3つの要素

ティール組織を実現するためには、欠かせない3つの重要な要素があります。これらは「3つのブレイクスルー」とも呼ばれ、ティール組織を機能させるための土台となります。

セルフマネジメント(自主経営)

一つ目の要素は、セルフマネジメント(自主経営)です。これは、上司からの指示や命令を受けることなく、メンバー一人ひとりが自ら考え、行動し、意思決定を行う仕組みをさします。管理職という役割は存在せず、代わりに「助言プロセス」という手法が用いられます。誰でも意思決定をすることができますが、その決定にあたっては、専門知識を持つ人やその決定によって影響を受ける人の助言を求めなければなりません。これにより、自律性を保ちながらも独善的な判断を防ぎ、組織としての調和を図ることができます。

ホールネス(全体性)

二つ目の要素は、ホールネス(全体性)です。これは、職場において「ありのままの自分」でいられる状態をさします。従来の組織では、プロフェッショナルとして理性的な側面だけを見せることが求められ、感情や弱みといった人間的な側面は隠されがちでした。しかしティール組織では、個人の内面やプライベートな部分も含めた全体性をさらけ出すことが推奨されます。心理的安全性が確保された環境で、互いの人間性を深く理解し合うことが、信頼関係の構築と創造性の発揮につながると考えられています。

エボリューショナリーパーパス(存在目的)

三つ目の要素は、エボリューショナリーパーパス(存在目的)です。これは「組織が何のために存在するのか」「組織自体がどこへ向かおうとしているのか」という問いに対する答えです。従来のように経営陣が将来を予測して戦略を立てるのではなく、組織を独自の生命を持つ存在として捉え、メンバー全員が組織の声に耳を傾けます。組織の目的は固定されたものではなく、環境やメンバーの変化とともに進化し続けるものとされ、日々の業務はこの目的と共鳴する形で行われます。

ティール組織へ移行するメリット

ティール組織への移行は、企業にどのような恩恵をもたらすのでしょうか。ここでは代表的な2つのメリットについて解説します。

メリット1:意思決定のスピードと柔軟性が向上する

最大のメリットは、意思決定のスピードが上がることです。従来の組織では、現場での判断に上司の承認が必要であり、稟議書が何層もの決裁を経る間に時間が経過してしまうことが常でした。しかし、権限が分散されたティール組織では、現場のメンバーが助言プロセスを経て即座に決定を下すことができます。これにより、顧客のニーズや市場の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応することが可能になります。

メリット2:従業員エンゲージメントと主体性が高まる

従業員のエンゲージメントが向上することも大きなメリットです。自分の仕事に対して決定権を持ち、組織の目的と個人の価値観が一致していると感じられる環境では、やらされ仕事ではなく、自分自身の意志で働くことができます。また、ホールネスによって心理的安全性が保たれているため、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する意欲も湧きやすくなります。結果として、一人ひとりのパフォーマンスが最大化され、組織全体の生産性向上につながります。

  • 資料「人事評価制度の作り方 主な手法と手順、注意点を解説」のサムネ画像

    人事評価制度を作る際の流れ・ポイントを解説

    • 制度構築の基本的な流れ
    • 評価方法の種類、面談時の注意点

    など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!

ティール組織導入におけるデメリット

一方で、ティール組織は魔法の杖ではありません。導入にあたってはいくつかのデメリットや乗り越えるべき課題も存在します。

デメリット1:マネジメントの難易度が高く導入初期は混乱しやすい

これまで指示待ちで働いてきた従業員にとって、急に「自分で決めていい」と言われることは、自由である反面、大きな不安やストレスになる可能性があります。セルフマネジメントには高い当事者意識とスキルが求められるため、組織全体がそのレベルに達していない場合、現場が混乱し、業務が停滞するリスクがあります。また、紛争解決や給与決定などのプロセスも自分たちで構築する必要があるため、軌道に乗るまでは試行錯誤の連続となります。

デメリット2:既存のリスク管理や採用基準との摩擦が起こりやすい

ティール組織の運用は、既存の社会システムや法規制と摩擦を起こすことがあります。たとえば、責任の所在が分散しているため、法的なトラブルが起きた際の対応が複雑になることが懸念されます。また、採用においても、単にスキルが高いだけでなく、ティール組織の文化や価値観に深く共感し、セルフマネジメントができる人材を見極める必要があります。従来の画一的な採用基準や評価制度が通用しないため、人事機能の抜本的な見直しが迫られます。

ティール組織をめざすためのポイント

自社をティール組織へと変革したいと考えたとき、何からはじめればよいのでしょうか。重要なのは、形だけを模倣するのではなく、本質的な意識変革から取組むことです。

ポイント1:経営トップが理解を深め意識変革する

ティール組織への移行において最も重要なのは、経営トップ自身の意識変革です。権力を手放し、従業員を信頼して任せるという決断は、経営者にとって非常に勇気のいることです。トップが心からティール組織の世界観(特にエボリューショナリーパーパスやホールネス)を信じ、自身のあり方を変える覚悟を持たなければ、現場だけが変わることはできません。まずは経営層がラルー氏の理論を深く学び、自社の存在目的を問い直すことからはじまります。

ポイント2:小さなチームからスモールスタートする

全社一斉に組織構造を変えることは、リスクが高く現実的ではありません。まずは特定の部署やプロジェクトチームなど、小さな単位から試験的にセルフマネジメントの要素を取入れてみるのが有効です。たとえば、情報の公開範囲を広げる、会議での発言権を平等にする、あるいは一部の予算権限をチームに委譲するといったスモールスタートで成功体験を積み重ね、徐々に適用範囲を広げていくアプローチが推奨されます。組織の成熟度に合わせて、焦らずじっくりと土壌を育てていく姿勢が必要です。

つながる等級・評価・育成制度で自律的な組織づくりをサポート「人事制度コンサルティング」

ティール組織をめざすには、メンバー一人ひとりが自律的に動ける環境が大切になります。NTT ExCパートナーグループの人事制度コンサルティングでは、等級制度・評価制度・育成体系を自然につなげ、現場の力を引き出す仕組みづくりをお手伝いします。組織の課題を丁寧に可視化しながら、戦略と現場のズレを解消していきます。NTTグループで積み重ねてきた経験を活かし、事業の成長につながる人事制度を、設計から運用までそばで支えます。スピード感を持ちながら成果も生まれる、しなやかな組織への変化を一緒に実現しましょう。

まとめ

ティール組織は、従来の階層構造を超え、メンバー全員が自律的に連携しながら目的を追求する次世代の組織モデルです。その実現には「自主経営」「全体性」「存在目的」の3つの要素への深い理解と、経営者自身の意識変革が欠かせません。まずは自社の課題と照らし合わせ、小さなチームから少しずつ新しい組織のあり方を模索してみてはいかがでしょうか。

  • 資料「人事評価制度の作り方 主な手法と手順、注意点を解説」のサムネ画像

    人事評価制度を作る際の流れ・ポイントを解説

    • 制度構築の基本的な流れ
    • 評価方法の種類、面談時の注意点

    など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!

ExCの強み

  • NTTグループの技術力を活用した
    先端ソリューション

    • NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現

  • 人事・総務の各領域に精通した
    プロフェッショナルが伴走

    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

    施策効果の振り返りまでを
    実施して改善サイクルを実現

    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

30年以上のご支援で
培われたノウハウで
800社以上の企業での
導入実績