離職率を下げる方法は?優秀な人材の流出を防ぐ具体的な施策を解説

  • 退職防止

「期待していた若手が、立て続けに職場を去ってしまった」
「人手不足で現場に余裕がなく、さらなる離職が起きないか不安で仕方ない」
いま、こうした切実な悩みを抱えている方は少なくありません。働く人が減り続けるなかで、大切な仲間とともに歩み続けることは、会社の未来を支える何よりも重要なテーマです。離職を防ぐ取組みは、単に「欠員を埋めるための守りの取組み」ではありません。従業員の皆さんに「この会社で、これからも成長していきたい」と選んでもらうための、前向きな組織づくりのプロセスです。
この記事では、離職の本当の原因を紐解き、チームをよりよくするための具体的なヒントをわかりやすくお伝えします。読み終わる頃には、明日から踏み出したい「次の一手」が、すっきりと見えてくるはずです。

  • 資料「離職防止の鍵は“対話の質”」の表紙画像

    離職防止の鍵とは?人×AIのアプローチを解説

    • 離職防止につながる「雑談」「1on1」「フィードバック」の違い
    • 1on1の質問シナリオ例
    • 人とAIの組み合わせによう新しいマネジメント

    など、実践しやすいポイントをまとめています。

なぜ従業員は会社を辞めてしまうのか?

離職率を下げるためにまず必要なのは、なぜ仲間が離れていくのかという背景に、丁寧に向き合うことです。退職の理由はよく「一身上の都合」という言葉でまとめられがちですが、その奥には、「会社に期待していたこと」と「実際の経験」との間にある、何らかのすれ違いが隠れていることも少なくありません。まずは、今の組織の中にある課題を、一つひとつ紐解いていくことからはじめてみましょう。

離職の主な要因詳細な背景組織への影響度
人間関係の悪化上司との不和
心理的安全性の欠如
高い(離職につながりやすい)
評価・報酬の不満基準の不透明さ
成果と報酬のミスマッチ
高い(モチベーションが持続しない)
キャリアの停滞成長実感の欠如
将来像の不在
高い(特に優秀な若手層が流出)
労働環境の過酷さ長時間労働
ワークライフバランスの崩壊
中~高(心身の不調や不満が蓄積)

人間関係やコミュニケーションプロセスに問題があるため

多くの退職理由の中で、常に大きな割合を占めるのが「職場の人間関係」です。特に、直属の上司との信頼関係が揺らいでしまうと、安心して自分らしく働くことが難しくなってしまうことがあります。日々の何気ない会話が少なくなったり、困ったときに相談できる相手が見当たらなかったりすると、小さなモヤモヤが少しずつ積み重なっていきます。結果、「ここではもう続けられない」という大きな決断に至ってしまうのです。上司とのかかわり方や、情報の伝え方に少しの「不透明さ」があるだけで、周囲が気づかないうちに心が離れてしまう「サイレント離職」を招く大きなきっかけとなります。

参考:令和6年 雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
参考:令和5年若年者雇用実態調査の概況|厚生労働省

報酬体系が不透明で評価体制への不満が蓄積している状態のため

頑張って成果を出しても、評価の仕組みがわかりにくかったり、納得感が薄かったりすると、前向きな意欲を維持することが難しくなります。自分の努力が組織にどう認められているのかが見えないと、孤独感を感じてしまうこともあるでしょう。他社と比べた条件面の違いだけでなく、「自分の頑張りを正当に見てほしい」という想いが叶わないもどかしさが、会社との心のつながりを少しずつ遠ざけてしまう原因となります。

将来のキャリアパスを明確に描けず不安感があるため

「この会社で、未来の自分をイメージできるだろうか」と感じたとき、成長を望む人ほど、早いうちから新しい環境に目を向けはじめる傾向にあります。日々の業務をこなすだけで精一杯になり、5年後や10年後の自分を想像しにくい環境は、組織にとっても大きな課題です。新しいことへの挑戦が難しく、キャリアの悩みを相談できる場が整っていない場合、若手社員層は自分の可能性を広げるために、より成長実感を持てる場所へと歩みを進めてしまうのです。

離職率を下げるための具体的な施策

離職率を下げるための対策は、単に「不満な点を取除くだけ」では不十分かもしれません。大切なのは、従業員が「この会社で頑張りたい・貢献したい」と自ら思える状態、つまり従業員エンゲージメントを高めていくことです。「選ばれる会社」であり続けるためには、一人ひとりが大切にしていることに耳を傾け、個人の成長と会社のめざす方向をうまく重ね合わせていく仕組みが必要です。ここでは、そのために明日から取組める「3つの具体的なアプローチ」について解説します。

施策のカテゴリ具体的なアクション期待される効果
組織風土の改善1on1の実施
ビジョン共有の徹底
信頼関係の構築
帰属意識の向上
制度・仕組みの刷新360度評価の導入
キャリア面談
公平性の確保
将来不安の解消
働く環境の整備ハイブリッドワークの推奨
特別休暇
定着率の向上
採用ブランディング強化

従業員エンゲージメントを高め定着を促す

離職防止を「流出を防ぐ守りの活動」から「未来を創る前向きな取組み」へと変える鍵は、従業員エンゲージメントの向上にあります。従業員エンゲージメントが高い状態とは、会社のめざす方向に共感し、自分の役割に喜びや誇りを感じながら働けている状態です。これを実現するためには、経営層が「自分たちがどんな未来を創りたいか」を丁寧に語り、同時に一人ひとりの声にしっかりと耳を傾ける文化を育んでいく必要があります。従業員エンゲージメントの高まりは、単に離職率を下げるだけでなく、日々の仕事の質の向上やお客さまに提供する価値の最大化という、好循環に寄与するのです。

評価制度を刷新しフィードバックを強化する

従業員が「納得感」を持って働くには、客観的で風通しのよい評価の仕組みが有効です。単に数字などの結果だけで判断するのではなく、目標に向かうプロセスや日々の行動の工夫も評価できる仕組みを取入れ、上司と部下が定期的に話し合える場を大切にしましょう。1on1ミーティングなどを通じて、日頃から「よかった点」や「感謝」を伝え合う習慣を持つことで、メンバーは自分の役割や存在価値をより強く実感できるようになります。自分の成長が正しく認められ、次にめざしたいステップが明確になれば、自然と「この会社で長く活躍していきたい」という想いも深まっていくでしょう。

柔軟な働き方を導入し福利厚生を拡充する

ライフステージが変わっても自分らしく働き続けられる環境を整えることは、離職を未然に防ぐための大切な土台となります。リモートワークやフレックスタイム制を上手に取入れ、仕事とプライベートのどちらも大切にできる仕組みを築くことで、会社としての応援の姿勢を伝えていきましょう。また、形を整えるだけでなく、スキルアップのサポートや心身の健康への配慮など、日々の生活に「本当に役立つ支援」を届けることが重要です。こうした一つひとつの配慮が、「会社が自分たちを大切に思ってくれている」という安心感を生み、組織への確かな信頼を育むきっかけとなります。

離職防止施策を「選ばれるための施策」へ変える方法

離職対策を、単に「人が辞めないように引き留めること」という守りの視点だけで捉えてしまうと、組織の活力が少しずつ失われていくことになりかねません。本当に大切にしたいのは、従業員が「この会社で働くことが、自分にとって最高の選択だ」と自然に思えるような、選ばれ続けるための前向きな取組みです。ここでは、働く人が日々感じる「体験(従業員体験)」をよりよいものに整え、理想の組織をつくっていくためのアプローチを解説します。

上司・同僚との関係性を強化する

組織への定着率を左右する最も大きな要因の一つは、職場における人間関係の質にあります。米ギャラップ社の調査でも、職場に信頼できる上司や仲間がいることは、従業員エンゲージメントを高めるために極めて重要であると示されています。日々の1on1ミーティングを通じて、上司が部下の小さな変化や成長に気づき、承認する文化を育むことが、心理的安全性の向上につながるのです。また、同僚同士で感謝や賞賛を送り合う仕組みを取入れることで、孤立を防ぎ、「このチームのために頑張りたい」という意欲を自然に引き出す助けになります。

参考:State of the Global Workplace Report - Gallup

  • 英語表記の外部サイトに遷移します

従業員体験(EX)の向上を軸に設計する

従業員体験(EX:Employee Experience)とは、入社から退職までの間に、従業員が職場で経験するあらゆる出来事や、そこで抱く感情のすべてをさします。離職率が低い企業は、この「体験」をとても大切にする傾向にあります。単に制度や待遇を整えるだけでなく、日々の仕事の中で「やりがい」や「自分の成長」を実感できる場面を、意識的に増やしているのが特徴です。たとえば、入社直後の丁寧なサポート(オンボーディング)で不安や孤独を和らげたり、自分の将来の展望と会社のめざす方向をじっくり語り合える場を設けたりすることなどが挙げられます。「会社が自分をひとりの人間として大切に想ってくれている」という実感が、他では得られない貢献意欲(エンゲージメント)へとつながっていきます。

退職者との良好な関係(アルムナイ)を築く

「一度離れたらそれまで」という捉え方から一歩進んで、会社を卒業したメンバー(アルムナイ)と温かなつながりを持ち続けることが、組織づくりにおいて大切な視点となっています。外の世界で新しい経験を積んだ人が再び戻ってこられる「再雇用(カムバック)制度」が整っていると、今いるメンバーにとっても「挑戦を後押ししてくれる、懐の深い職場だ」という安心感につながるのです。また、卒業した方々が社外で自社の魅力を語ってくれる「応援団」になることで、会社の評判が自然と高まり、結果として「今の環境のよさ」を改めて実感するきっかけにもなり得ます。

離職の兆候を早期に発見する方法

一度「新しい道へ進もう」と心に決めた従業員の決意を翻してもらうのは、決して容易なことではありません。そのため、早い段階で「心の変化のサイン」に気づき、対話やサポートを行える環境を整えておきましょう。手遅れになる前に変化をキャッチすることが、大切な仲間を守るための第一歩となります。

パルスサーベイで心の状態を可視化する

年に一度の大規模な調査だけでは、日々変化する従業員の細やかな心の動きを追いかけるのが難しくなってしまいます。そこで役立つのが、月に一度や週に一度、数問の質問に答えてもらう「パルスサーベイ」です。短いサイクルで今の状態を確認し続け、「最近、少し元気がなくなっているかも」「特定のチームで困りごとがあるみたいだ」といった変化を、いち早くキャッチできるようになります。小さなサインに気づいた際、すぐに対話の時間をつくることができれば、悩みが大きくなる前に寄り添い、ともに解決の道を探りやすくなるのです。

勤怠データや行動ログから異常を検知する

退職を考えているとき、従業員本人は意識していなくても、ふとした行動の変化としてその気持ちが表れることがあります。たとえば、急に就業のスタイルが変わったり、休暇の取り方がこれまでと違ってきたりすることなどが挙げられます。また、会議での発言が控えめになったり、チャットツールなどでのやり取りが少なくなったりするのも、見逃したくない大切なサインです。こうした日々の変化をデータを通じて丁寧に見守る仕組みを整えることで、手遅れになる前に、従業員の本音に寄り添い、サポートする機会をつくることができます。

既存のエンゲージメント診断結果を活用して組織課題を可視化する

単に全体のスコアを眺めるだけでなく、「部署」「職種」「社歴」といったさまざまな切り口からデータを重ね合わせて見てみましょう。今まで可視化されなかった組織の課題が、より具体的につかめるようになります。たとえば、「入社3年目の従業員が、会社のめざす方向に少し迷いを感じている」といった具体的な傾向が見えてくれば、その年代に寄り添ったフォローアップを計画できます。過去のデータと見比べながら「組織の健康状態」を丁寧に見守り続けることで、離職につながりやすい課題にいち早く気づき、大切な仲間が離れてしまう前に、あらかじめ手を打つことができるようになるのです。

  • 資料「離職防止の鍵は“対話の質”」の表紙画像

    離職防止の鍵とは?人×AIのアプローチを解説

    • 離職防止につながる「雑談」「1on1」「フィードバック」の違い
    • 1on1の質問シナリオ例
    • 人とAIの組み合わせによう新しいマネジメント

    など、実践しやすいポイントをまとめています。

離職の連鎖を防ぎ初期段階で人材を定着させるコツ

離職率がなかなか下がらない場合、背景には「採用時の期待のすれ違い」や「入社直後のサポート不足」があるかもしれません。どれほど充実した制度を整えても、お互いの価値観がうまく重なっていなかったり、入社したばかりの心細い時期に十分な配慮がなかったりすると、長く一緒に歩んでいくことは難しくなります。離職の連鎖を食い止め、定着を促すためには、まずは採用の段階で「お互いのありのまま」を伝え合い、入社後はスムーズに職場に馴染めるよう、丁寧な受け入れ(オンボーディング)を一貫した流れで整えていきましょう。

プロセス従来のやり方(ミスマッチが起きやすい)改善後のやり方(定着率が高まる)
採用・面接よい面だけを強調し、スキルのみで評価するリアルな実態を伝え、価値観の合致を確認する
初期研修事務的な手続きと座学の業務説明のみチームへの融合と関係性構築を重視する
現場配属現場任せで、放置されやすくなるメンターを配置し、定期的な対話の場を持つ
評価・フォロー試用期間が終わるまで何もしない入社直後から期待役割を伝え、細かくフィードバックする
組織文化の伝達明文化されておらず、背中を見て覚えさせる会社のビジョンや大切にしている行動指針を言語化して伝える

面接の段階で価値観のミスマッチを防ぐ

採用の場でスキルや経験を重視することはもちろん大切ですが、それと同じくらい「価値観が合うかどうか」に目を向けることも忘れてはなりません。面接では、会社のよいところだけでなく、あえて大変な部分やリアルな日常を包み隠さず伝える「RJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)」を心がけてみるのがおすすめです。入社前に、お互いの期待値を丁寧にすり合わせておくことで、入社後のギャップを小さく抑えられます。結果として、会社のビジョンに心から共感し、一緒に歩んでいける仲間を、自信を持って迎え入れられるようになるはずです。

オンボーディングの実施で早期の孤立を防ぐ

新しく加わった従業員が「これからもここで頑張ろう」と思えるかどうかのわかれ道は、職場に馴染むまでの最初の数か月間にあると言われます。この時期の「孤独感」をいかに和らげるかが、定着のための大切なポイントです。入社後の受け入れ(オンボーディング)では、単なる事務手続きや仕事のレクチャーだけで終わらせない工夫が必要なのです。たとえば、年の近い先輩が相談に乗るメンター制度を取入れたり、定期的な面談で小さな不安を定期的に解消したりすることで、新しい環境へスムーズに溶け込めるようサポートします。会社全体で歓迎の気持ちを伝えることが、早い段階での深い信頼関係を築くことにつながります。

従業員エンゲージメント向上を診断から改革まで一貫サポート

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まとめ

最後に、これまでお伝えしたポイントをまとめます。

  1. 離職率を下げるには、人間関係や評価制度といった表面化しにくい根本原因をデータや対話で特定することが重要。
  2. 従業員エンゲージメントを高める「攻めの施策」を打ち、選ばれる会社へと意識を変えていくことで組織も変わる。
  3. 辞める兆候をパルスサーベイなどで早期に可視化し、手遅れになる前に適切なフォローアップを行う体制を整える必要がある。

優秀な人材が定着し活躍し続ける組織づくりは、地道な改善の積み重ねによって実現されます。まずは自社の現状を正しく把握することから、組織改革の第一歩を踏み出してみてください。

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