【NTT XR】後を絶たないハラスメント被害の打ち手に~被害者視点を体感し、学ぶ。VRを活用したハラスメント研修~
自ら体験し、体験をもとに考えるVR活用型研修で、ハラスメント対策の効果向上を支援した事例をご紹介します。
業界・業種 | 卸売 |
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従業員 | 501~1,000人 |
エレクトロニクス商材を中心とした専門商社として、モノとモノをエンジニアリングで組み合わせ、暮らしに想像を超える付加価値を生み出す企業です。
――貴社の事業内容をお聞かせください。
一言でいうと電気機器販売商社です。電設資材や制御・通信機器など幅広い商材を扱っています。
――これまでのBCMの取り組み状況について教えて下さい。
故山リスクマネジメント部長 2016年に事業継続計画が必要との認識からプロジェクトを立ち上げ、外部のコンサルティング会社の支援も得てBCPを(当社の場合は「初動対応」と「事業継続」に切り分けて)策定しました。
その後、策定した計画をベースに運用を始め、毎年、課題解決に向けた取り組みを進めています。2017年からは南海トラフ地震と首都直下地震を想定した初動対応訓練を、大阪・東京それぞれの拠点で毎年行ない、作った計画を検証し、想定された役割内における課題洗い出し、改善に努めています。
しかし「事業継続」に関しては、こちらから訓練を提示するのも難しく、日常業務と並行して行うということがなかなか定着しない、ということがここ数年のジレンマでした。
――今回の施策の取り組みのきっかけとなったのは、そこだったのでしょうか。
故山リスクマネジメント部長 そうですね。こうした状況を何とかしたいと思い、ヒントを探して色々な外部の研修やセミナーに参加しました。
そんな時、御社主催のセミナーでの「仕組みだけを作っても運用はうまくいかない。中心になって進める人が増えないと機能しない」を聞いてその通りだと感じました。
そこが一番の課題であったし、作った計画を回すには、人の育成が欠かせないと思いました。
――自社で取り組むという選択肢もお考えのようでしたが。
故山リスクマネジメント部長 BCM推進は基本的に自社での取り組みなので、自社だけで周知を図れるならそれに越したことは無いのですが、社内の人間が言うのと、専門の外部の方に言われるのとでは、納得してもらえる度合いというか、(腑に)”落ち方”が違うと考えました。私達は自社の中しか見てませんが、外部の専門家は、他社でいろいろと対応してこられたノウハウをお持ちで、その違いは大きいためです。
川合管理本部長 私は、最初に部長から提案を受けた時は、「社員のモチベーションをあげるのに、外部の力を借りなくてもよいだろう」と否定的でした。専門家に技術的なことや専門的なことを聞くことは必要だが、BCMの運用は自分達の強い意識で引っ張っていくべきだと考えていたからです。
ところが「今回は、絶対に外部の力を使ってやるべきだ。」と食い下がられましてね。それなら一回その人達に会ってみようか、という気持ちになりました。
――ありがとうございます(笑)。実施してみて、どのようにお感じになりましたか。
川合管理本部長 リスクをどう考えるか、どう分析するかという考え方を教えてもらえたのは非常に良かった。区分方法やそれに応じたアプローチの仕方とか、どのように考えたらいいかなどを実践的に模擬的なワークで行なってもらったことが効果的でした。
初動対応をどうするか教えるのではなく、そもそものリスクの考え方からBCMの重要性をみんなに理解させて頂けたと感じています。
故山リスクマネジメント部長 過去のプロジェクトは、地震という想定から入ってしまっていたので、みんなの思考を地震から切り離せなかったという反省がありました。このため、今回は事前打ち合せの早い段階から、参加者に対してリスクは災害対応だけではないことを強調して欲しいとお願いし、我々の要望に沿って進めて頂けました。地震が起きなくてもさまざまなリスクがあるということに受講者に気付いてほしかったのです。
川合管理本部長 我々だけでは、想定するリスクの幅を広げるという誘導は難しかったでしょう。そこが今回お願いした研修の大きな効果の1つだったと受け止めています。
――御社の熱い思いを受けて、研修では事業リスク全般に徹底的にこだわりました。結果的に、参加者のみなさんには、予想以上に多種多様なリスクへの気付きがあったのではないでしょうか。
松尾社員 BCMイコール地震対策というイメージが、当社ではどうしてもつきまとっていました。そうすると、阪神淡路大震災でも何とかなったのだから・・・となってしまう。そうしたみんなの意識を変えたいと思っていました。
故山リスクマネジメント部長 結果、私達が想定していた以上に多くのリスクを出してくれて、我が社の事業にはこんなにリスクが潜んでいるんだ!と改めて感じました。
――研修後のアンケートにも「リスクがあること、顕在化させることは悪い事ではないと知った」「いざというときに現場を動かすのはリーダーである自分だと気付いた」というコメントがいくつもありました。
故山リスクマネジメント部長 まずは各リーダーが意識を持って、それぞれの職場でリスクの落とし込みをして欲しい。最終的には従業員全員が「自分ごと」と捉えてくれるところまで持っていきたいのです。
――リスクを洗い出す方法論についても、かなり時間をかけて一緒に検討させていただきました。
川合管理本部長 見ていて大変興味深かったのは、同じリスクであっても、グループによって”発生確率”や”影響度”という軸におけるポジショニングがかなり違っていたことです。
山下係長 例えば各拠点では、本社とは考え方が違うことがわかります。集まって議論をしていく中で、本社にいては分からない、自部署を存続させるためにはどうするかの意見が出てきます。
川合管理本部長 そう考えると”発生確率”や”影響度”は拠点によって、更に事業単位でも違っていて当然かもしれませんね。
例えば災害時でも、まず自分が逃げる、帰宅する、拠点を閉める、で終わるのではなく、社員が家族の安全を確認し、安心して会社に来られる状況ができないと、事業継続はできません。だから、家族の状況確認はとても重要です。
故山リスクマネジメント部長 こうした説明は、うわべだけではだめで、その意味が腑に落ちて初めて、そうだね、そうしよう、となる。今回リスクを考えることでその意味をわかってもらえたなら、きっと動けるはずです。
――今回の施策では、「BCM推進体制」メンバーを中心とした大阪と、大半が営業組織の責任者から構成された東京の2拠点で同じ研修をさせていただきました。そうした点も含め、研修の受け止め方をどのようにご覧になりましたか。
故山リスクマネジメント部長 東京では営業中心のメンバー構成だったので、特に研修内容が響いていたような気がします。研修後には、営業所内で同じような議論をしてみたらきっと沢山の意見が出るだろう、自分の部署でやってみようという声が多く聞かれました。
川合管理本部長 我が社は流通業なので、営業部隊は有事にどうやってお客様に商品を届けるか、倉庫をどうやって開けるかなど、いざ事業継続を考えた時には結構逼迫するんだという状況に気付いたのかもしれません。今までは本社主導で考えてもらってきたが、研修を受けたことによって切羽詰ったイメージが持てたのでしょう。
昔はBCPというと製造業のものというイメージしかなかったのですが、流通業を担っている立場としてはお客様に商品を届けるためにはどう備えておけばよいか、というとても重要なことに今一度気付かせていただきました。
故山リスクマネジメント部長 今まで本社が考えてくれると思っていたことが、今回の受講者にはようやく自分ごとになったのではないでしょうか。
――弊社(NTT ExCパートナー)についてどのような感想を持たれましたか。
川合管理本部長 良かったです!(笑)我々も過去にいろいろ研修を実施してきた中でさまざまなフレームワークは勉強してきた方だと思いますが、それを今回実際の仕事にあてはめて考えてみられたことが良かったです。
我が社のレベル感を事前によく把握してもらって、準備してもらえたからこそより効果的な研修になったのだろうと思いました。受講者にとって”頃合いのレベル感だった”というのも重要なポイントです。
故山リスクマネジメント部長 研修会社も山ほどあり、訓練を提供、座学で講義してくれる所は多々あるのですが、事業継続にまで踏み込んで内容をカスタマイズしてくれるところは他に見当たりませんでした。研修経験の豊富なNTT ExCパートナーだからこそ、我が社の要望とレベルにうまく合わせてもらえたのではないでしょうか。
――今後の課題についてはどのようにお考えでしょうか。
川合管理本部長 リスク回避、リスク軽減の考え方というのは我が社にはなくてはならない考え方です。さらに言えば他社との差異化に必ず役立つと思っています。価格勝負だけではなく、福西電機に頼めばトータル的に任せて安心、ということに繋げていきたいのです。
ビジネスの切り口として、単に商品を届けるだけでなく、リスク回避も事業継続もきちんと考えているので、どんな時でも安心して我が社の流通にお任せ下さいと胸を張って言えるようにしていきたい。そのためにはリスクや事業継続に対する考え方を高いレベルでみんなが持ってくれることが大事だと考えています。そうなればBCMも仕組みとして自然と回っていくだろうと今回感じました。
実はこのテーマは、業界をあげて考え始めています。我が社はそれに一歩先んじて取組んできたので良かったなと安堵しています。一方、何年か経つともう付加価値にならないかもしれません。立ち止まることなく、先を走り続けないといけませんね。
故山リスクマネジメント部長 今回の施策は一部のリーダー向けでした。それを見たり、体験したりした人から、他の人にも受けさせてもらえないかという声も出てきています。
課題はいかに早く従業員全員までこの意識を広めていくかということです。現場のことは現場でできるようにする。もちろん勝手にやってもらっては困ることもありますが、できることは沢山あるはずです。そこのところの一定の区別、判断がつくようにしないといけません。一人一人が主体性をもって考えてくれないと、受け身の人ばかりでは事業はうまくいかないからです。どれだけ自分で動ける人を増やすか、それが一番の課題です。
――本日は有難うございました。
VOICE
コンサルタント 吉冨眞也 シニアコンサルタント 青木朋子数年前からBCMに着実に取り組んでこられたお客様ならではの真摯なお悩みにどうお応えできるかと、試行錯誤を重ねながら研修を設計・実施させていただきました。 計画と仕組みは作ったが、運用が思うようには進まない。運用の核となるべきBCMリーダーの方々に、もっと現実感を持って多種多様なリスクと向き合ってもらって、それぞれの組織でどう取り組むのかを自分ごととして考え、実行して欲しい。そのきっかけとなるように、各組織の代表者の方々に自ら考えていただく内容をご提供しました。 研修の冒頭では危機意識を喚起するために、「ハザードシミュレーション演習」をさせていただくことが多いのですが、今回は「地震などの災害は除いて」というご要望だったため、業務に深刻な影響のありそうなシステムダウンを想定ハザードとしました。 そこからはどれだけ日常業務における事業リスクを幅広く出していけるかを狙い、通常はマーケティングや事業戦略立案のために使うフレームワークを使って、リスクを洗い出していただきました。 各ワークを進める過程で議論を活性化するためのキーワードや事例はいくつか提示させていただきましたが、結果的には想定をはるかに超える量の幅広いリスクがアウトプットとして出されたことは、お客様事務局、又私たちにとっても大変嬉しい誤算となりました。 研修開始直後は、明らかに消極的だったメンバーの方も、ワークが進むにつれて白熱していく議論にのめりこまれ、研修後半ではどのグループの発表に対してもお互い大きな拍手が送られるという盛り上がりぶりも大変印象的でした。 また、東西2拠点で同じ研修を行いましたが、大阪では各管理部門や営業部門だけでなく物流部門の方々も混在されていたため、お互いの異なる視点やアプローチも大変参考になったという声が聞かれました。一方、東京では営業組織で同じような苦労や悩みを抱えておられる方々同士でしたので、議論の内容が非常に具体的かつ深いものになっていました。 参加された皆さまが今回の研修を通じて、日常業務の中にあるさまざまな事業リスクを認識して、それらを自分ごととして捉え、リーダーとして平時から何かに取り組んでいこうというスタンスに立って下さったことは大きな成果だったと思っています。 厳しさを増すビジネス環境の中で、お客様が競争力のある強い会社であり続ける源泉の1つとしてリスクマネジメントが大きなバリューを発揮できるよう、今後もご支援させていただきます。
NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現
30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走
ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。
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