転貸方式で預入敷金のオフバランス化及びコストダウンを実現した事例
預入敷金のオフバランス化及びコストダウンに向けて転貸方式でのアウトソーシングを決断した事例です。
業界・業種 | 医薬品・ヘルスケア |
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従業員 | 1,001人~ |
帝人グループのヘルスケアソリューションの中核として、医療機関用の医薬品や在宅医療機器等のヘルスケア製品を、研究開発、製造および販売している企業です。
――まず東京研究センターの業務内容をお聞かせください。
帝人ファーマは、医療機関用の医薬品や在宅医療機器等のヘルスケア製品を、研究開発、製造、および、販売している会社です。
もともと、このセンターは、帝人グループ全体の基礎研究所として、約55年前に設立されました。当初は帝人が扱ってきた繊維や樹脂など素材系の研究が大半でしたが、医薬の研究が約45年前からスタートし、段々とそちらがメインになった経緯があります。現在、素材系の研究は工場のある愛媛県松山市に集約され、このセンターはヘルスケア領域の研究所になっています。
――これまでどのようにBCPに取り組んでこられたのでしょうか。
3.11後に帝人グループとしてBCPを作る動きがスタートし、帝人ファーマもBCPを策定しましたが、研究所の業務に対応したBCP部分はありませんでした。もちろん地震が起きた際、何をするのかという防災のルールや規約的なものはあります。しかし、研究所そのもののBCPとしてみた場合、あまり形にはなっていなかったし、研究所としてBCPを訓練したことは一度もありませんでした。
――なぜBCPの要素が十分ではなかったとお考えですか?
会社として速やかな操業再開や操業継続が必要な医薬・医療の「生産工場」と「研究所」では、やはりBCPでの立ち位置が異なるからです。研究所内の代表者が集まって委員会を立ち上げましたが、研究センターを本当に速やかに立ち上げる必要があるのか、そもそもBCPは必要なのかというところで議論が止まっていました。
また、各部署の研究内容や使用機器がそれぞれ特殊であるという点も理由でしょう。根幹となる一本の防災対策はあっても、派生する各部署の防災対策を1つのマニュアルにまとめることは困難で、どういう人が何をするかは各部署で決めておいて下さい、となっていました。
――「研究所にはBCPは必要ない」と言われることが一般的には多いようですね。取り組みを進めるにあたって苦心された点を教えて下さい。
村上副センター長 私たちの会社はもともと繊維やプラスチックの工場といった事業所の防災やBCPには力を入れており、それに合わせて、研究所も工場並みに頑張れと言われていました。研究所はちょうど本社と工場の間の立ち位置で、工場は本格的な取り組みで、本社は避難訓練にとどまっている。その間の私たちに「工場並み」にBCPを作れといわれても困ってしまう。
研究所のBCPがどうあるべきかを習ったこともないし、研究所の皆さんからは「BCPって研究所に必要なのか」と聞かれます。生産ラインもないし、お客さまに何かを供給するわけでもないですからね。下からは「必要ないよね」と言われ、上からは「しっかりやれ」と言われる板ばさみ状態でした。
ですから、自分たちで勉強しながら、防災とBCPで何を作っていこうかと考えてきました。関連して、訓練も、どうしたら皆さんが最終的に納得してくれるかを目指しました。逃げるだけの避難訓練をして、アンケートをとると「つまらん」「意味がない」などの意見が返ってきます。でも、訓練でどんなことをすれば良いかを聞くと、自分たちでは考えもしない。私も逃げるだけの訓練はいらないと思っているし、簡単に逃げてもらっては困る場合もあるんです。
残念ですが、本社の意向と現場の人たちの当事者意識は離れています。でも、それを埋める方法が私たちにはわからないし、教えてもらえる機会もない。最終的には、自分たちで、自分たちに合ったものを探してやってみるということしか手がありませんでした。
――それでも研究所に何らかのBCPが必要だと思われたのはなぜですか?
村上副センター長 まず、私たちの責任として出社している所員を守るという義務があります。そして周辺への環境影響にも、気を張り詰めておく必要があるからです。
災害や事故後、周辺の住民から「この場所で研究されるのは止めて欲しい」といわれてしまうと、ここで研究ができなくなるという感覚は、本社はどうしても希薄です。今の世の中、SNSなどで噂が広がったらそこでアウトです。そうした危機感は、事あるごとに伝えてはいるのですが…。でも、研究所の所員の意識もついていっていないと感じます。
そのためにも、もちろん初期防災は要です。そのうえで研究の事業継続のための方策は一本作らないといけないと考えてきました。そのために、分かり易い造語を使って、BCP(Business Continuity Plan)ではなく、RCP(Research Continuity Plan)を各部署に作成依頼しています。
洲脇ESH班長 災害後、スムーズに立ち上げるには、火災や漏洩などの二次災害を防止しなければなりません。それは次につなげるという意味で、一種のBCPだと考えています。ISOの観点からも二次災害は大きな環境影響であり、二次災害防止は外部から求められている要求事項でもあります。
――今回の取り組みのきっかけと、外部の弊社にお声がけいただいた理由をお聞かせ下さい。
村上副センター長 情報収集の一環として、あちこちのセミナーに参加していました。NTT ExCパートナーさんがどんなことをされているのか全然知りませんでしたが、面白そうかなと思って参加してみたところ、どんな課題があるか、と声をかけてもらいました。ちょうど取り組まないといけない課題もたまっていたし、私たちも少し動ける状態でした。
また、首都直下地震レベルの想定をした東京研究センターの実験室での被害想定ビデオの製作も最終段階でしたので、せっかくなら、単に逃げるだけの従来の避難訓練ではない訓練をやりたいと考えていました。でも自分達でシナリオを書くとか教えるとかは得意ではないので、外部の力を借りて何かやってみようと思いました。
洲脇ESH班長 専門的な知識を持った方にお願いするのが一番確実かなと思っていました。
村上副センター長 各部署を率いる十数名の「方面隊長・副隊長」を、新たな施策の対象として考えていました。その一方で、私たちで教育するのは厳しいと思っていました。私たちが普段伝えていることが本当に正しいかどうかわからないからです。外部の専門家なら同じことを言っても「あれは正しかったんだな」と受け止められます。方面隊長・副隊長がなかなか自分たちでは取りにいかない防災の情報は、外から流し込んであげないといけない。その役割を外部の専門家にお願いしようと考えました。
――お話に出た「方面隊長・副隊長」のみなさんへのアプローチが、今回の新たな取り組みの大きなウェイトを占めていたと思います。今後のBCPの要の役割を担っていただくため、半日研修によるリスク発見と訓練シナリオの作成へのトライ、さらに後刻まとめたシナリオに基づいた実地訓練と振り返りなどを行いました。実際にどのような変化がありましたか。
洲脇ESH班長 方面隊長たちの”自主性”です。これまでも逃げる判断は自分たちで行って下さいと言ってきましたが自己判断は難しく、最終的には事務局からの指示待ちが現状でした。しかし今回、研修を受けてもらい、自分たちでリスクを考えて判断することで自主性が出たように感じます。そして、自分たちの行動を振り返り検証するためにも、やはり訓練は必須だと感じました。
村上副センター長 他のテーマで、外部の講師に話をしてもらっても、結局、その場だけで終わってしまうことがほとんどでした。参加者自身が頭を使ってワークをした方が身につくし、気付きも沢山ありますよね。とにかくインパクトがないと、頭の中には何も残っていかない。
そういう意味では、今回はまず研修でワークをして、いろいろ気付きを得てもらえました。その後、訓練をしたら、講評であんなこと言われるのか、とさらに気付く。そうすると段々インパクトが出てくる。
今回訓練を見学していた方面隊長たちは、次回、自分が訓練しないといけないと言われているから緊張感も出る。その点で方面隊長・副隊長向けには、今回の構成とやり方が合っていたと思いました。一方、所員の人達へはちょっと違う教えをしていかないといけない、という課題もNTT ExCパートナーさんからは後日提示してもらいました。その通りだと思っています。
――実施してみて、どのような感想をお持ちになりましたか。
村上副センター長 本当は半日研修の中で、方面隊長に訓練シナリオまで作って欲しかった。予想はしていましたが、やはり時間が足りませんでした。結局、研修のアウトプットを見ながら、私達が訓練シナリオとしてまとめました。ただ、皆さんがどのようなことがわかっていないのか、どんなことを期待しているのかはわかったので、それは良かったと思っています。
洲脇ESH班長 今までやったことのない施策だったので良い刺激、起爆剤になりました。方面隊長たちには良いプレッシャーを与えられたし、やらなくちゃという雰囲気はできました。こういうことは続けていかないといけないですね。
――今後の課題としてどのようなことを意識しておられますか。
村上副センター長 まずは今年度の計画を作ることですね。本部の初動をどうするかもできていないので、全体のマニュアルの見直しも含めて考えなければなりません。
そして、所員の教育をどうするか。訓練も含め、今年度中にできるだけ実施する、という上からの方針も出ているので、早めに決めて実行していければと思っています。
――私達(NTT ExCパートナー)についての感想をお伺いできますか。
村上副センター長 施策のスタートのタイミングが遅かったにも関わらず、年度末までの短いスケジュールできちんと実施していただきました。
方面隊長・副隊長向けの研修も、想定通りにワイワイガヤガヤとワークをしてもらえました。グループごとに、設備も実験内容も異なるので細かい部分は違いますが、どういうことが起きそうかというリスク発生や人の動きに関する流れはほぼ同じだったので、最終的にはベースとなるシナリオがまとめられたと思っています。
今後は皆さんが本当に何をリスクとして考えるかを自分たちであてはめ、その時にどうするかを自ら決めていってもらえれば、初期防災ができていきます。そういうことを考えていく流れのきっかけを作ってもらえたことがとても良かったですね。
訓練に関しては、事前に(NTT ExCパートナーから)「訓練よりも反省会がメインだと思ってやって下さい」と言われていたので、訓練後の反省会では、方面隊長・副隊長の皆さんが言いたいことを言って、こちらも皆さんが抱えている問題がわかりました。皆さん、どこがおかしいとか、方針がちゃんとしてないなど、大事なところに気付いてくれたので非常に勉強になりました。そういう意味でも良い訓練になりました。
洲脇ESH班長 こちらの要求に対しては100%応えていただきました。ただし、今回の教育と訓練はあくまでも基本ベースであり、まだまだこれからだと感じています。今後ここからどう繋げていくのかが大事だと思っています。
――本日は有難うございました。
VOICE
コンサルタント 藤田 幸憲今回のお客さまは、各部署を束ねて、初期防災のリーダーとなる方を「方面隊長」とされています。全部で数十人いらっしゃる方面隊長・副隊長が防災、BCPの要だというご認識から、まず、方面隊長たちを対象とした半日の研修をさせていただきました。 研修では、最初に災害のシミュレーション演習を体験していただいた後に、自分達の研究グループのリスクは何か、ということを具体的に挙げ、評価するリスクアセスメントを行いました。その後、挙げられたリスクについて、所員の方々に気付いていただけるような訓練のシナリオを作るレクチャーとワークを行っていただきました。ただ、時間が不足したため、各グループのアウトプットとなるシナリオは、不完全なまま終わってしまいました。もう少し時間をかけて取り組めるよう配慮すべきだったとやや反省していいます。 このため、後日、提出された幾つかのシナリオを、私達からのアドバイスを加えて事務局で一つの訓練シナリオにまとめ、実際に一つの方面隊で訓練を行いました。研究所ならではのリスクを織り込んだシナリオに基づいた訓練は、これまでの避難訓練と異なり、方面隊長や所員の方々も、担架の使い方や薬品処理の方法、防火シャッターの操作方法などの確認、事前の準備など、緊張感を持って臨まれました。 当日は、ほぼ全員の方面隊長の皆さんが訓練を見学、訓練終了後に方面隊長と事務局との反省会を約1時間程度行いました。訓練の感想以外にも、研究所のBCPの考え方や具体的な取り組み、事務局との連携など、さまざまな疑問や問題提起がなされ、熱気のある充実した議論が交わされました。 今回の取り組みを契機として、防災とBCPの要である方面隊長の皆さんの当事者意識と危機感が高まり、今後の施策展開への足がかりとなったことは大きな意義があったと思います。この流れをさらに加速し、実践的な取り組みへとつなげていけるよう、私たちも努力したいと考えています。
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