朝日建物管理株式会社

「グループ外への事業拡大」を支える、現場の声を起点にした技術者育成――「自ら提案できる技術者」の育成に向けた朝日建物管理の挑戦――

  • 建設・製造・運輸
  • 1,001人~
  • 社内トレーニング
  • 学習支援
  • 組織開発
朝日建物管理株式会社

創業1957年

業界・業種ビルメンテナンス・設備管理

従業員1,001人~

1957年創立。大型ビルを中心に、清掃、設備管理、警備、災害対策など、建物管理に関わる幅広いサービスを提供する総合ビルメンテナンス企業です。衛生的で安全な環境づくりを通じて、建物の資産価値を維持するとともに、そこで働く人々や利用する人々の安心と快適さを支えています。

朝日新聞社グループのビル管理会社として、24時間365日体制で幅広い業務を展開する朝日建物管理株式会社さま。同社はグループ外への事業拡大を見据え、技術部門における人材育成体系の構築に取組みました。本プロジェクトの背景や具体的な施策、組織にもたらした変化についてお話をうかがいました。

お話をうかがった方

  • 朝日建物管理株式会社
    代表取締役社長
    吉岡 成人さま
  • 朝日建物管理株式会社
    役員待遇技術担当
    村木 康悦さま
  • 朝日建物管理株式会社
    技術担当補佐兼技術会議事務局長
    新里 和広さま
  • 朝日建物管理株式会社
    技術担当補佐
    西田 裕介さま

本事例のポイント

技術力強化が経営課題に


グループ外への事業拡大に向け、設備部門の技術力強化が経営上求められるなか、全社共通の技術者育成体系の欠如や、長期間の同一職場・同一労働への従事に起因するキャリアの不明瞭さ等が、技術者の成長を阻害するとともに、優秀な社員の離職を招いていた。

現場主体で取組む育成体系の共創


NTT ExCグループは、各階層への丁寧なヒアリングを通じて現場の声を把握し、社員が自分ごととして捉えられる納得感の高い育成体系を構築した。また、技術系社員のキャリア形成を支える指針として「キャリアハンドブック」を制作し、育成体系の定着に向けた伴走支援を行った。

挑戦意欲の活性化と連携強化


育成体系の構築により、社員の定着・資格取得意欲が向上。また、会社の育成姿勢が社員に浸透し、モチベーション向上にも寄与している。さらに、現場の声を経営層へ届ける仕組みにより、組織全体で情報共有が進んでいる。

【背景】

グループ外への事業拡大に向け、経営課題となった技術力強化

――技術者の育成体系を構築する必要があるとお考えになった背景をお聞かせください。

吉岡さま 最大顧客である朝日新聞社の経営環境が変化する中、当社での売上比率は低下傾向にあります。一方で、グループ内の各施設は経年による劣化が進み、計画的な改修工事の実施や利用者の安全確保が急務となり、当社にはより高い業務品質が求められています。こうした状況を踏まえ、従業員を安定的に雇用し、業務品質を維持・向上するために、「グループ外への事業拡大」による中長期的な経営安定化を掲げてきました。
総合ビルメンテナンス企業にとって、設備部門は会社の価値を左右する大きな要素です。高い技術力を備えていれば、外部からも信頼を得やすい。事業拡大を実現するためにも、まず技術部門の育成体系を構築し、技術力向上を図ることが不可欠だと考えました。

【課題】

技術者育成の壁 ――事業所任せの育成・優秀な社員の離職・キャリアの不透明さ

――本プロジェクト以前、貴社ではどのように技術者育成に取組んでいましたか。また、どのような点に課題を感じていましたか。

吉岡さま 事業所ごとにマニュアルがあり、日々の業務遂行の中で人材を育成していましたが、全社で共通の育成計画や研修はなく、技術系社員同士の情報共有も不足していました。
また、同じ機器の監視業務を長年担当し続けるような職場もあり、技術者個人の成長が見通せない状況がありました。このような中、優秀な社員が自身の成長や待遇、働きやすさを求めて転職してしまうケースも少なくありませんでした。
中長期的な育成計画やロードマップがなければ、社員は自身の将来像を描けず、モチベーションも保ちにくい。そこで、技術担当の役員を置き、全社を横断する育成体系を構築することにしました。その中で、育成体系の整備をともに進めるパートナーを探していましたが、納得できる相手は見つからない状況でした。

【具体的な取組み】

現場の声を生かした育成体系の構築・導入・推進の3年間

本プロジェクトは、技術者の育成体系構築から各拠点への本格的な導入まで、約3年間をかけて着実に推進されました。常に「現場主体」であることを大切に、技術会議事務局のみなさまをはじめ、各現場の技術系社員の方々にヒアリングを重ね、同社の実情に沿った人材育成体系を構築・運用しました。

施策のあゆみ

(1)NTT ExCグループとの出会いからプロジェクト開始へ
――パッケージではなく、当社のリアルな課題に寄り添う姿勢が決め手に

――先程うかがった背景を踏まえ、NTT ExCグループへご相談いただいたのはどのような経緯からですか。また、依頼の決め手となった理由を教えてください。

吉岡さま NTT ExCグループを知ったのは、長年お付き合いのある取引先の役員の方からご紹介いただいたことがきっかけです。他社にも声をかけましたが、最も「前のめりに」相談に乗っていただいたのはNTT ExCグループでした。
具体的には、現場への展開より先に、私を含めた幹部一人ひとりに個別に時間をかけてヒアリングしていただいたことです。それにより、私の思いと、現場に近い人の思い、その真ん中にいる管理職の思いが、それぞれ違う方向を向いていることが明確になりました。
また、プロジェクトがはじまる前の対話の際に、時には耳の痛い助言もいただくなど、同じ仲間として、本音で語り合えるチームだと感じました。既成の人材育成のパッケージに当てはめるのではなく、当社の実情を丁寧に分析した上で「ここからはじめましょう」と提案してくれた。その姿勢と進め方が、信頼できると感じた理由です。

(2)徹底した現場ヒアリング
――主観や慣習にとらわれず、組織の隅々から「課題」をあぶり出す

――本プロジェクトでは、事前に現場の実情や課題を聞き取ることを重視しました。この取組みの中で、印象に残っていることを教えてください。

西田さま 現場の声を最優先に吸い上げてくれた点が印象的です。
複数回のセッションを通じて多くの意見が集まりましたが、それがどう育成体系につながるのか、当初は見えていませんでした。それをNTT ExCグループのみなさまが整理・体系化し、最終的に、私たちでは想像もつかなかった成果物として形にしていただいたことに、とても感心しました。

新里さま 各階層の担当者に直接声をかけてヒアリングするスタイルは、私たちだけでは引き出せなかった意見を集めることにつながりました。
自社だけでは既存の慣習や主観が入り混じり、今回のような形には至らなかったと思います。高い客観性と整理能力、そして現場に踏み込む姿勢があってこそ、実効性の高い育成体系が生まれたと感じています。

(3)キャリアハンドブックの作成
――多様な意見を、技術者の成長を支える「共通言語」へ

――各部門へのヒアリングを経て、技術系社員のキャリア指針となる手引書「キャリアハンドブック」を作成しました。制作過程で、難しかったのはどのような点ですか。

西田さま 当社には、それまでルールブックとなるものがなく、プロジェクトメンバーのさまざまな意見を吸い上げてまとめていく過程は容易ではありませんでした。
たとえば、各階層の能力要件を定める際は、拠点ごとに意見が分かれ、統一した基準にまとめるのに相当な議論が必要でした。NTT ExCグループのみなさまが多様な意見を的確に整理してくださったからこそ、一つのハンドブックとして完成させることができました。
このキャリアハンドブックは、毎年改定を重ねながら「生きたルールブック」として活用し続けていく予定です。

新里さま さまざまな意見が飛び交う中、不安だったのは「どのようにまとめるか」という点です。しかし、NTT ExCグループのみなさまに整理を主導していただき、見事に一つの形に集約できました。
拠点ごとに必要な資格が異なるといった細かな課題を丁寧に整理していただいたことも良かった点です。これにより、キャリアハンドブックを資格手当の制度見直しにも応用できるなど、想定以上の活用可能性が見えてきました。

【導入効果と変化】

離職率改善と経営層との連携強化

――その後、完成した「キャリアハンドブック」を指針に、試運用、本格導入を段階的に進めてきました。これまでのプロジェクトを通じて、どのような効果や変化を感じていますか。

吉岡さま 効果はこれから本格的に表れてくると見ていますが、「現場の変化」はすでに感じています。 西日本においては離職率が明確に低下しており、高度な資格に挑戦し合格する社員も増えています。また、若手社員が取得しやすい資格を資格手当の対象として整備したことで、若い世代の資格取得への意欲が高まりました。 
経営的な観点でも変化が見られました。半期・年次のタイミングで技術担当から経営会議に進捗と課題を報告する仕組みを設けたことで、現場の声や要望が経営トップまで届く流れができました。取締役会でも社外取締役に対して進捗を共有し、経営層から現場まで同じ情報を持てるようになったことは、大変意義深い変化だと感じています。

――技術系社員の方々の意識や行動には、どのような変化が見られましたか。

西田さま 責任者・副責任者クラスの役割認識が明確になり、責任感が一層高まったと感じています。
変化に慎重な社員もいますが、各階層が研修を受けることで、問題解決能力など、今まで持っていなかった考え方が着実に身についてきています。

新里さま 会社が技術者の育成に本気で取組んでいる姿勢が、全社的に認識されてきています。研修の詳細を知らない社員にも「会社が技術者を育てようとしている」という意識が伝わっており、現場のモチベーション向上につながっていると感じます。

―― 完成したキャリアハンドブックや現場の様子をご覧になってどのように感じていますか。

村木さま 2026年4月に技術担当役員として着任し、この3年間の技術者育成の取組みをキャッチアップしている最中です。経営幹部のセッションにオブザーバーとして参加したり、社員アンケートの結果を確認したりする中で、私が以前に在籍していた頃と比べて社員のモチベーションや意識が大きく向上していると実感しています。
キャリアハンドブックの策定は、NTT ExCグループのみなさまの多大なご支援と伴走があってこそ実現したものと聞いています。今後は毎年ブラッシュアップしながら、さらに有効に活用していきたいと考えています。

【定着への工夫】

年1回から年2回へ。面談機会の拡充

プロジェクトを通じて、それまで年1回だった個別面談に「スキルアップサポート面談」が加わり、年2回体制となりました。現場の長が各社員と個別に対話する機会が増えたことで、目標の共有や丁寧なフォローが実現しています。

――本格的な導入を進める中、現段階ではどのような課題を感じていますか。また、定着に向けてどのような工夫をしていますか。

西田さま 全社員が同じ方向を向くのは容易ではなく、階層によって受け止め方には差があります。中には変化に慎重な社員もいますが、各現場の長が一人ひとりと面談を重ねながら丁寧に説明を続けています。
事務局として全員への直接的なフォローには限界もありますが、現場の長を通じて「なぜこの取組みが必要か」を粘り強く伝えていくことが、浸透への道だと考えています。

【ExCグループへの評価】

現場の声を引き出し、形にする客観的な伴走支援

――NTT ExCグループのご提案内容や支援スタイルについて、ご感想をお聞かせください。

吉岡さま プロジェクトの第一歩として、実効性のあるキャリアハンドブックが完成し、感謝しています。 NTT ExCグループの支援スタイルは、押し付けではなく、お互いが本音で話し合える関係性を築いていただいた点が、個性豊かな社員が揃う当社の社風にフィットしていたと感じています。
セッションの進め方はもちろん、プロジェクト以外の話題でも交流を深め、率直に意見交換できる雰囲気をつくっていただきました。厳しいアドバイスも、前向きな行動につながる言葉として受け取れたことが、信頼関係の証だったと思います。

【今後の展望】

共有から共感へ。「自ら提案できる技術者」の育成に向けて

――この3年間の取組みを経て、現在の組織の状態をどのようにご覧になっていますか。また、NTT ExCグループには今後どのような伴走を期待していますか。

吉岡さま 現在は「共有」の段階にありますが、社員が本当の意味で「共感」するにはまだ道のりがあると感じています。「共有と共感」はこのプロジェクトを通じて大切にしてきたキーワードですが、ここからが本当の意味での取組みだと捉えています。引き続き一緒に歩んでいただきながら、次の展開に向けてアドバイスをいただけることを期待しています。

――建物の技術者集団として、今後どのようにお客さまに価値を提供していきたいとお考えですか。

吉岡さま お客さまが求めているものを正確かつタイムリーに把握し、もう一段上のサービスを提供することが目標です。現場に閉じこもるのではなく、自分の仕事がお客さまの要望にどう応えているかを理解し、自発的に提案できる技術系社員を育てていきたいと考えています。そうした人材が増えれば、朝日新聞社グループのみならず、グループ外のさまざまなお客さまの要望にも的確に応えられる会社になれると確信しています。
この3年間の取組みで、キャリアハンドブックや面談制度など「教科書」が整いました。今後はその教科書を現場に定着させながら社員の声をキャッチアップし、さらに高いステージへと高めていくことが課題です。
今年度(2026年度)は中期経営計画の最終年度として、技術担当役員と技術事務局が中心となって現場への共感を深める1年とし、次期中期経営計画の策定に向けた課題と目標も並行して検討していきます。

「提案が喜びになり、収益を生む」――現場が描く好循環

――引き続き、技術者育成を発展させていく上で、事務局として取組んでいきたいこと や、それぞれの立場から期待すること を教えてください。

西田さま 技術的な知見を備え、お客さまに提案できる技術者が育つことで、会社の収益にもつながります。一度実績をつくることは、社員自身の喜びにもなります。自らの提案が具体的な対応につながり、形になることでお客さまに喜んでいただく。そうした流れを通じて、社員とお客さまの双方が喜びを感じられる好循環を生み出していきたいと考えています。
施工技術の継承は自社の責務としながら、ビジネススキルやマネジメント力の向上については、引き続き外部の専門家としての支援をお願いしたいと考えています。設備管理スキルマップのとりまとめも含め、技術系社員がお客さまのニーズを受け止め、提案から実績へとつなげていける流れを一緒に作っていきたいです。

新里さま 育成体系がまだ浸透しきっていないところもある中、社長が話していたように、ここで取組みを止めてしまうと、これまで積み上げてきたものが水の泡になりかねないという危機感があります。
今後は事務局でゴールを明確に定め、NTT ExCグループの支援を受けながら着実に前進していきたいと思っています。今年度から新たに導入した施策が現場で定着し、目に見える変化として現れることを期待しています。

村木さま グループ外でも活躍できる技術者を育成していくためには、客観的な専門家の視点が不可欠だと感じています。一段高いレベルへ到達するためにも、また次期中期経営計画に向けたステップを描くためにも、NTT ExCグループのみなさまには的確な、時には厳しいアドバイスも含めたご支援を引き続きお願いしたいと考えています。

  • 文中に記載の企業名・組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2026年4月インタビュー時点のものです。

ExCの強み

  • NTTグループの技術力を活用した
    先端ソリューション

    • NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現

  • 人事・総務の各領域に精通した
    プロフェッショナルが伴走

    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

    施策効果の振り返りまでを
    実施して改善サイクルを実現

    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

30年以上のご支援で
培われたノウハウで
800社以上の企業での
導入実績