社内公募制度とは?人事異動との違いと導入のメリット・注意点

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近年は、社内でキャリアの選択肢を充実するため、「社内公募制度」を導入する企業が多くなっています。従業員が自ら希望して募集部門へ異動できる仕組みを取り入れることで、優秀な人材にキャリアチェンジへ挑戦する機会を提供することができます。

この記事では、社内公募制度の基礎知識、導入メリット、注意点などを解説します。自社に適した人事制度の導入を検討されているご担当の方は、ぜひ参考にご一読ください。。

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    人事異動をスムーズに行うコツとは?

    • 人事異動を進める際のポイント
    • 避けるべき人事異動のパターン

    など、人事異動を考えるときにおさえたいポイントをまとめています。

社内公募制度の基本情報

はじめに、社内公募制度に関する基礎知識を解説します。社内公募制度の概要や、他の制度との違いについて確認してみましょう。

社内公募制度とは?

社内公募制度とは、従業員を対象に、社内の特定の部署へ異動する人材の募集をかける制度です。制度を利用することで、人材の補充を必要としている部署が、社内で異動希望者を募れるようになります。また、制度に応募する従業員は、希望の部署へ異動する選択肢が広がることで、キャリアチェンジに向けて自ら挑戦する機会を得られます。応募した従業員には合否の連絡が行われ、合格した場合は応募した部署に配属される仕組みです。

社内公募制度と人事異動の違い

「人事異動」とは、企業側(人事部門)が従業員へ命じて、特定の部署への異動や役職の任命などを行う制度です。あくまでも企業側が命令して従業員の異動先を決めるので、従業員自身が働くポジションを選ぶことはできません。それに対して、社内公募制度では従業員自身の応募によって働くポジションを選ぶことができる点に違いがあります。

社内公募制度と自己申告制度の違い

「自己申告制度」とは、人事部門の担当者や直属の上司が従業員の意見をヒアリングする制度です。本人のキャリアの意向や異動の希望などを把握した上で、適切な人員配置へ反映させる目的があります。ただし、ヒアリングした内容は参考情報の一つとして扱われ、必ずしも本人の希望する部署へ異動できるわけではありません。それに対して、社内公募制度では合格した場合に希望する部署へ異動できます。

社内公募制度と社内FA(フリー・エージェント)制度の違い

「FA(フリー・エージェント)制度」とは、一定の条件を満たした従業員が、自らの希望で異動を行う制度です。具体的な条件としては、業務の実績や資格などが挙げられます。たとえ特定の部署で異動の募集が行われていないとしても、条件を満たした従業員はいつでも異動希望を出すことが可能です。それに対して社内公募制度の場合、人材を求める部署が募集をかけていなければ、従業員は応募できません。

社内公募制度を導入するメリットと注意点

社内公募制度を導入すると、応募者・各部署・人事部門では具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、社内公募制度を導入するメリットや運用方法の注意点を、それぞれの立場から解説します。

応募する従業員にとってのメリット・注意点

メリット 転職せずに環境を変えられる

社内公募制度を利用する応募者は、企業に所属したまま仕事の環境を変えられます。会社内やグループ会社内での異動となるため、一般的な転職活動のように退職する負担がかかりません。所属先は変えずに、キャリア形成の目的に応じた選択肢が豊富になる点が魅力です。

メリット 応募先の環境を事前に把握しやすい

社内公募制度の異動先はあくまでも同じ会社内であることから、部署の人間関係や残業時間などを事前に把握しやすいといえます。応募者は、社内で詳細な情報を得て十分に検討した上で応募できるため、異動後に生じるギャップを抑えやすいといえるでしょう。

メリット 希望する業務やキャリア実現につながりやすい

応募者が社内公募制度を活用すれば、未経験の職種へのキャリアチェンジを実現できる可能性があります。たとえば、新卒入社で配属された部署と違う業務に従事することも可能です。その際、一般的な転職活動とは異なり、未経験業務であっても本人の性格や仕事への取組み方なども踏まえた選考・評価が期待できます。

注意点 社内公募制度による異動が、キャリアの機会損失につながる場合がある

社内公募制度を活用すると、所属部署におけるキャリアの機会損失につながる場合があります。応募者が所属部署から異動することで、所属部署で将来的に望めるポストや取得できるスキルを失うことに留意が必要です。安易な応募を避けて、慎重に判断しなければなりません。

各部署にとってのメリット・注意点

メリット 公募する部署は意欲が高い人材を迎えられる

社内公募制度で募集を行う部署は、モチベーションの高い人材を確保できる可能性があります。キャリアアップをめざす従業員による自発的な応募で異動が行われるため、意欲の高い人材が集まりやすい点がメリットです。やる気のある従業員はマネジメントや目標管理がしやすく、成長が期待できるでしょう。

注意点 社内公募制度による急な異動で、元の部署が優れた人材を失う可能性がある

所属部署の従業員が社内公募制度に合格した場合、元の部署は優秀な人材を失うことになります。人員が少なくなることで、部署に残るメンバーの業務負荷が増加するおそれがあるでしょう。このように一部の従業員のエンゲージメントが低下するリスクがある点は、社内公募制度の課題だといえます。

人事部にとってのメリット・注意点

メリット 適材適所の異動をスムーズに実施できる

自社に社内公募制度を導入すると、人事部門は部署間で適材適所の異動を実現しやすくなります。「人材を募集している部署」と「異動を希望する従業員」のマッチングを支援することで、適切な人員配置を実施できます。また、双方のニーズを満たすことで、従業員の離職防止やキャリア構築の促進にもつながります。

メリット 社外からの採用と比べてコストを抑えられる

社内公募制度を活用した場合、一般的な人材採用と比較して採用コストを抑えられる可能性があります。社外から人材を確保する場合は、求人サイトや転職エージェントなどに広告費やサービス利用料金を支払う必要があります。一方、社内公募制度は社内で完結する仕組みのため、これらの外部サービスへ支払う費用負担が発生しません。また、自社の従業員はすでに企業理念やビジョンを理解しているため、教育コストを抑えられることもポイントです。

注意点 社内公募制度による業務の負担が大きい

新たに社内公募制度を導入する場合は、一時的に人事部門の担当者の業務負荷が高くなるおそれがあります。人事部門では、社内公募制度の資料作成や募集のほか、選考や内定通知といった業務を担うことになります。制度の運用が定着するまでは、人事部門の負担が大きくなりやすい点に留意しておきましょう。

社内公募制度を導入する際に人事部が押さえておきたいポイント

自社に社内公募制度を導入する場合、人事部門の担当者の方は以下のポイントに留意しておきましょう。ここでは、導入時に押さえておきたいポイントをお伝えします。

募集要件を明確にする

社内異動後に発生するミスマッチを防止するためにも、募集要項には求める人材の要件を明確に記載することが大切です。また、採用選考における面接のタイミングで、募集部門の上長からデメリットも含めて十分な情報共有を行いましょう。これにより「異動先の職務を十分に理解していなかった」「現場で即戦力として活躍できなかった」といったトラブルを避けやすくなります。

従業員のフォローを行う

人事担当者は、社内公募の合格者・不合格者双方のフォローに取組む必要があります。合格者に対しては、異動先の部署でスムーズに人間関係を構築して業務を遂行できるようフォローを提供しましょう。一方、選考から漏れてしまった不合格者は、落胆して士気が低下しやすいため注意が必要です。モチベーション向上のために「選考結果のフィードバックを共有する」「将来のキャリア形成について話せる面談の機会を用意する」といった工夫をするとよいでしょう。

所属元の部署の「拒否権を認めない」ルールを定める

社内公募制度を導入する場合、多くの企業では合格者の所属部署に対して「拒否権を認めない」というルールを設定しています。その理由は、人事異動にともなうトラブルを未然に防ぐためです。社内公募制度は、合格者の所属部署にとっては突然の引き抜きとも受け取られかねません。そのため、優秀な人材が部署から離れることを危惧した管理職が異動を拒否して、部署間のトラブルに発展する可能性も考えられるでしょう。事前にルール化した上で運用することが大切です。

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    人事異動をスムーズに行うコツとは?

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    • 避けるべき人事異動のパターン

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社内公募制度の基本的な流れ

ここでは、社内公募制度で公募が開始されてから合格者が決まるまでの一連の流れを解説します。社内公募制度の導入へ向けて、人事を担当している方はぜひ参考にしてみてください。

Step1. 社内公募の資料の作成

はじめに、社内公募するポストの募集要項を作成します。従業員の興味を引くとともに、自身に適したポジションであるか判断できるよう、必要な情報を提供しましょう。そのためにも、募集要項には以下の情報を明記することが大切です。

【募集要項の主な項目】

  • 募集の背景
  • 部署の概要
  • 仕事内容
  • 必要なスキル、資格、経験など
  • 応募条件 など

Step2. 社内広報

社内公募する全てのポストの募集要項が揃ったら、全社的に情報を公開して応募者を募ります。その際は、応募時の必要書類や選考フローなども共有するとよいでしょう。

Step3. 応募の受付開始

社内公募するポストごとに従業員からの応募を受付けます。人事担当者は応募書類を受理して選考の準備を行います。

Step4. 書類選考・評価

書類選考・評価を実施します。面接官は、募集部門の上長や人事担当者などが担当するのが一般的です。

Step5. 面接選考・評価

面接選考・評価を実施します。同様に、募集部門の上長や人事担当者などが選考を担当します。

Step6. 採用者への内定通知

応募者全員の合否を確定し、一斉に通知を行います。社内公募制度では、合格者と不合格者の全員に通知が行われるのが一般的です。また、合格者の上長に通知が行われ、所属部署の人員計画の調整が行われます。

社内公募制度の導入事例

ここでは、厚生労働省が公表する資料より、社内公募制度の導入事例をご紹介します。各社のケースを参考に、今後の施策の参考に活用してみてはいかがでしょうか。

川崎重工業株式会社

川崎重工業株式会社では、人材の適正配置・育成・組織活性化を目的として、独自の社内公募制度である「ジョブ・チャレンジ制度」を導入しています。こちらの制度の目的は、「新規事業部門ならびに経営戦略上の重点強化部門への人材投入」や「海外での事業運営を任せられる即戦力としての人材の確保」などです。また、同社では独自の社内公募制度のほかに、FA制度も導入しています。FA制度では、従業員が自ら異動を全社的に宣言し、希望先からの応諾があれば、半年以内に異動できる仕組みとなっています。

【出典】「人材育成事例238 川崎重工株式会社」(厚生労働省)

アステラス製薬株式会社

アステラス製薬株式会社では、社員のキャリア観を重視した配置・育成が行われています。同社では本人の意思表明を起点とした職種転換が原則となっており、会社都合による職種転換が少ない点が特徴です。その一環として、公募制による選抜・昇進が採用されています。社内のポストに空きが出ると公募が出され、立候補した候補者の中で選抜が行われる仕組みです。また、その際の候補者の評価は多角的な視点で行われ、過去の業績や人事評価のみに限らず、経験・実績・ポテンシャルを含めた総合的な評価によって適任者が決められます。

【出典】「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」事例01アステラス製薬株式会社(厚生労働省)p.6~p.8

東京ガス株式会社

東京ガス株式会社では、個人と会社の双方の成長をめざして、従業員が自律的にキャリアを考えて行動するための取組みが実施されています。その一例が、社内公募制度です。社内公募は年に2回実施され、1回あたり100ポスト程度の公募が出るなど活発に運用が行われています。このほかに、手上げ制で研修を実施することで、従業員が自律的なキャリアにもとづいて学ぶことが可能です。同社は従業員の意志を引き出すために、タレントマネジメントシステムの導入や定期的な1on1ミーティングなどの施策にも積極的に取組んでいます。

【出典】「実践事例 変化する時代のキャリア開発の取組み」事例25東京ガス株式会社(厚生労働省)p.78~p.80

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    人事異動をスムーズに行うコツとは?

    • 人事異動を進める際のポイント
    • 避けるべき人事異動のパターン

    など、人事異動を考えるときにおさえたいポイントをまとめています。

社内公募制度による異動でキャリアの選択肢を充実化させましょう!

ここまで、社内公募制度の基礎知識、導入メリット、注意点などを解説しました。社内公募制度は、応募者・各部署・人事部門のそれぞれにメリットをもたらします。従業員へ自発的に部署を異動する機会を与えて、キャリアの選択肢を充実化させることが可能です。優秀な人材の活躍を促すために、社内公募制度の導入をご検討ください。NTT ExCパートナーグループでは、人事部門の方々を支援する各種サービスをご用意しています。戦略的な人事施策は、ぜひNTT ExCパートナーグループにお任せください。

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