人材育成にAI活用する方法とポイント

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近年、人材育成におけるAI活用が注目されており、従業員のスキル向上や適材適所の配置、さらには組織全体のパフォーマンス強化を目的として、AIを導入する企業が増えつつあります。ですが具体的にどのようにAIを人材育成に活用できるのか、イメージがわかない方もいるのではないでしょうか。この記事では、「人材育成にAIをどのように活用できるのか」「導入を成功させるためのポイント」について、ご紹介いたします。 

AIとは

AI(Artificial Intelligence/人工知能)とは、人間の知的活動を模倣する技術の総称です。膨大なデータをもとにパターンを学習し、推論や判断、予測などを自動で行う仕組みとして、さまざまな分野で活用が進んでいます。特に機械学習やディープラーニングの進化により、画像認識や自然言語処理、音声認識など、従来は人間にしかできなかった業務をAIが担えるようになりました。ビジネス領域では、AI活用は単なる業務の自動化にとどまらず、経営戦略や組織開発の中核に据えるべきテーマとなってきており、製造業や物流、小売、金融など幅広い業界で業務効率化や品質向上に貢献しています。

HC(人事)領域でも、採用・評価・育成といったプロセスの最適化を目的に、AI導入を検討・実施する企業が増えつつあります。特に、人材育成においては、従業員一人ひとりのスキルや傾向を分析し、最適な育成プランを提示するなど、個別最適な支援を可能にする手段として注目されています。

人材育成にAI活用する方法

AIを活用した人材育成は、従業員に対し同じ学習内容で行う研修や、講師の経験・判断を重視した指導とは異なり、データドリブンなアプローチによって個々の従業員に最適化された教育支援が可能になる点が特徴です。ここでは、実際にどのような活用方法があるのかを4 つの視点から整理していきます。

スキルの可視化とギャップ分析

AIを活用することで、従業員の業務データや評価情報、適性検査の結果などをもとに、現在のスキルセットを定量的に可視化できます。さらに、企業が求めるスキルとのギャップを自動で抽出し、必要なトレーニングや教育項目を提示することで、個別最適な育成計画の立案が可能になります。

従業員ごとにパーソナライズされたeラーニングの実現

企業から従業員への研修の一環として提供するeラーニングにおいて、AIによって従業員の習熟度や学習履歴、理解度などをリアルタイムで分析することで、一人ひとりに適したコンテンツや、進行速度に合わせた学習機会を提供することができるようになります。これにより、モチベーションの維持向上につながり、単なる人材育成ではなく、自律的な人材育成が期待できます。

成長過程のモニタリングとフィードバック

AIは学習の進捗状況だけでなく、職場での行動変容や成果との相関も分析可能です。これを活用すれば、人材育成施策の効果検証や改善ポイントの抽出にもつながり、継続的な成長支援を実現できます。上司や育成業務をご担当の方が、AIが提示するデータにもとづいて、タイムリーかつ効果的なフィードバックを行うことも可能です。

たとえば、研修後のデータ分析結果でAIを活用すれば、課題の自動採点や添削、リアルタイムでのフィードバックが可能です。フィードバックを受けた受講者が、自身の弱点や改善点を把握し、次の学習に活かしやすくなるだけでなく、 従来時間がかかっていた部分をAIが補完することで、講師の負担軽減にもつながります。人によるきめ細やかなフィードバックとAIによる迅速なフィードバックを組み合わせ、効果的な学習サイクルを構築につながります。

また、成長に向けての内省支援にもAIが活用できます。チャット等により、AIへ自身の悩みを壁打ちすることで、従業員が自身の力で内省を行い、現在地を捉え、次のステップにつながる改善サイクルを作り出すことが可能となります。

ビジネスでのコミュニケーショントレーニング

AIは分析だけではなく、アバターとのリアルな対話体験による対話シミュレーショントレーニングに活用できます。お客さま対応、面接、1on1面談のシミュレーションを重ねることで経験値を積むことができるだけでなく、対話内容をAIが分析し、発言に対する評価・改善をフィードバックすることで、スキル向上・定着を図ることができます。

人材育成にAIを活用する際のポイント

AIを人材育成に活用することで得られるメリットを最大限に活かすためはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、AI活用を成功に導くために押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。 

目的と課題の明確化

まず、AIを導入する目的を明確にすることが必要です。現状の育成課題の洗い出し、何を解決したいのか(例:若手社員の早期戦力化、離職率の低下、マネジメント層の育成強化など)を具体化することで、導入後の評価基準も明確になります。また、目的が曖昧なまま進めると、活用の方向性が定まらず、効果測定も困難になります。育成課題を洗い出した上で、AI活用領域の特定と、人が実施することを整理しましょう。

人材育成に必要なデータの蓄積・環境を整備する

AIはデータによって価値を生み出す技術です。まずは、従業員のスキル情報や人事評価の履歴、研修受講履歴、エンゲージメント調査データなど、育成に関するあらゆる情報を蓄積し、一元的に蓄積・管理できる環境を整備することが不可欠です。クラウド型の人材管理システムとAIの連携ができれば、リアルタイムかつ継続的なデータ分析が可能になります。

人事部門のAIスキル・知識を向上させる

AIを効果的に活用するためには、人事担当者自身のスキルアップも重要です。AIの基礎的な仕組みから、分析結果の解釈、運用時の注意点までを理解することで、ツールの力を最大限引き出すことができます。社内外の研修やベンダー支援を活用し、継続的な学びの機会を設けるとよいでしょう。

現場での育成施策との連携

人材育成にAIを活用する際のポイントとして、現場のマネージャーとの連携も非常に重要です。なぜなら、マネージャーは日々の業務を通じてチームメンバーの育成課題や強みを理解しており、パフォーマンス向上に直結する人材育成を必要としているからです。人事部門の視点のみでAIツール活用を検討するだけでは、現場の実情に合わず、効果的な活用に至らない可能性があります。

マネージャーとの綿密なヒアリングを通して、現場で抱えている育成課題や目標を明確にした上で、どのような課題を解決し、どのような成果を目指してAIを活用するのかを共有しましょう。現場と共通認識を持ち、連携して進めることが重要です。

まとめ

人材育成の分野において、AIの活用は必然となりつつあります。人手不足が深刻化し、従業員の多様な働き方が求められる今、個別最適な育成支援と組織全体の生産性向上を同時に実現する手段として、AIの導入は大きな可能性を秘めています。今後、AIの利活用はますます高度化していくことが予想されます。人事部門としては、単なるツール導入にとどまらず、育成方針や組織文化全体の見直しも視野に入れながら、戦略的にAIを取り入れていく姿勢が求められます。ぜひこの機会に、AIによる人材育成の可能性を再確認してみてはいかがでしょうか。

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