人事評価制度を作る際の流れ・ポイントを解説
- 制度構築の基本的な流れ
- 評価方法の種類、面談時の注意点
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!

近年、企業を取り巻く環境は急速に変化し、終身雇用や年功序列といった従来のキャリアモデルは大きく揺らいでいます。働き方の多様化、ジョブ型雇用の普及、副業・兼業の広がりなどにより、社員一人ひとりが主体的に自らのキャリアをデザインすることが求められる時代になりました。
その中で注目されているのが「キャリア研修」です。キャリア研修は、従業員が自身の強みや価値観を再確認し、将来の方向性を明確にするためのプログラムであり、企業にとっても人材の定着率向上や組織力強化につながる重要な取組みです。本記事では、キャリア研修の定義や必要性、プログラム例、効果を高めるためのポイントをわかりやすく解説いたします。
キャリア研修とは、従業員一人ひとりが自らのキャリアを主体的に考え、将来の方向性や働き方を明確にするための人材育成プログラムのことです。多くの研修が業務スキルや知識の習得を目的としているのに対し、キャリア研修は「自分がどのような価値を提供し、どのように成長していくか」を長期的な視点で考える点が大きな違いです。
企業が従業員のキャリア形成を支援することで、モチベーションやエンゲージメントが向上し、結果的に生産性や定着率の向上につながります。また、従業員側も自身の価値観や強みを再確認することで、主体的な行動やスキル向上に取組めるようになり、双方にとってメリットがあります。
企業におけるキャリア研修の必要性は、近年ますます高まっています。その背景には、働き方やキャリア形成に関する環境変化、そして企業の人材戦略の転換があります。ここでは、キャリア研修が必要とされている主な理由について、解説します。
近年のビジネス環境は、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)という“VUCA”の特徴を強く帯びています。市場や技術の変化が速く、今ある職種やスキルが数年後には通用しなくなる可能性もあります。そのため、従業員が自らのキャリアを主体的に考え、リスキリングやスキル変革に取組む必要があるのです。キャリア研修は、このキャリア自律を促す有効な機会となります。
テレワークをはじめ、副業・兼業やフリーランスなど、多様な働き方が一般化してきています。その結果、従業員には自分のライフスタイルや価値観に合わせてキャリアを設計することが求められているのです。
優秀な人材ほど転職市場での需要が高く、外部からのスカウトや転職の誘いも多くなります。所属する組織の中で将来のビジョンを描くことができない社員は、転職意欲が高まりやすいため、企業としてはキャリア形成支援を通じて安心感を提供することが重要です。キャリア研修を通じて社内での成長機会を提示することができれば、「この会社で働き続けたい」という意欲を高めることができます。
2023年から金融商品取引法第24条の「有価証券を発行している企業」の中の大手企業約4,000社に義務化された「人的資本の情報開示」により、人材育成施策は経営戦略上の重要課題となりました。
政府が情報開示を求めている7分野には、「人材育成に関連する開示事項」「従業員エンゲージメントに関連する開示事項」が含まれています。
投資家やステークホルダーは、企業がどのように従業員の能力開発やキャリア支援を行っているかを注視しています。これらの点から、キャリア研修は人的資本経営を効果的に推進するための重要な施策だといえます。
40代、50代のミドル層・シニア層は、組織内での役割変化や定年延長制度への対応が求められます。ミドル・シニア層がキャリア研修を受けることで、役職定年や職種変更などで役割が変化しても、キャリア研修によって組織内の新たな役割や価値を再認識でき、意欲や業務パフォーマンスも向上します。また、自己理解を深め、強みの発見につながります。この世代にとってキャリア研修は、第二のキャリアを設計する重要な場となるのです。
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!
企業がキャリア研修を導入する最大の目的は、従業員の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを高めることです。ここでは、代表的な3つのメリットを具体的に解説します。
キャリア研修を通じて、従業員は自分の強みや価値観、スキルの棚卸しを行い、将来の方向性を明確にすることができます。自己理解が深まることで、「何を学び、どの能力を伸ばすべきか」という目的意識が芽生え、日常業務でも学びの機会を自ら探し出すようになります。
キャリア研修の受講によって将来のキャリアビジョンが明確になることで、日々の業務がその目標に直結しているという実感を得られるでしょう。これは業務に対するモチベーションを大きく引き上げる要因となります。特に中堅層やリーダー候補がキャリア研修によってモチベーションを向上することで、チーム全体の活性化にもつながります。
将来のキャリア像が描けず、成長実感が得られない従業員は離職意欲が高まりやすくなってしまいます。キャリア研修によって、自社で成長し続けられる道筋を提示できれば、従業員は「この会社で働き続けたい」という意識を強めるでしょう。
キャリア研修の内容は、企業規模や対象者の年齢層、職務内容によって変わりますが、多くの研修に共通する基本的な構成があります。
ここでは代表的な3つのステップを解説します。
キャリア研修の第一歩は、自分のこれまでの業務経験やスキルを整理する「キャリアの棚卸し」です。過去の職務内容や達成した成果、取得資格、担当したプロジェクトなどを時系列で振り返り、具体的な事例として書き出してもらいます。この作業によって、参加者は自身が培ってきた強みや専門分野を再確認でき、同時にスキルや経験の不足点も明らかになります。
キャリアの棚卸しを行った後は、自身の持つスキルや特性を「強み」と「弱み」に分類してもらいましょう。自己評価だけでなく、上司や同僚からのフィードバックを取り入れることで、より客観的な分析が可能になります。このステップは、将来のキャリア方向性を決めるためのベースとなる重要なものです。たとえば、中堅層や管理職候補には、リーダーとしての行動特性や意思決定能力の強み・弱みを明確化してもらうことが大切です。
最後に、5年後・10年後のキャリアビジョンを描き、そこに到達するための具体的な行動計画を作成します。この「将来の設計」では、短期・中期・長期の3つのスパンで目標を設定し、それぞれの達成手段を明確にしてもらいましょう。たとえば、40代、50代のミドル・シニア層では、役職定年や定年延長を見据えた「セカンドキャリア設計」が重要です。
キャリア研修は、導入するだけで自動的に成果が出るものではありません。効果を最大化するためには、研修設計や運営段階での工夫が必要です。ここでは、キャリア研修を成功に導くための3つの重要ポイントを解説します。
キャリア研修の意義や目的を経営層自らが明確に伝えることは、従業員の意識を高める上で非常に重要です。トップメッセージとして「会社が本気で従業員のキャリア形成をサポートしている」という姿勢を示すことで、従業員は安心感と期待感を持って研修に臨めるでしょう。さらに、経営層や部門長が研修の場に参加したり、修了後にフィードバックを行うことで、受講者のモチベーションアップが期待できます。
キャリア研修で学んだことを実務で活かすためには、制度面の後押しが欠かせません。たとえば、社内公募制度やジョブローテーション制度を整備すれば、研修で描いたキャリアプランを実現しやすくなります。また、評価制度や昇進基準にスキルアップや成長に関する要素を組み込むことで、研修と人事制度を連動させることができます。
キャリア形成は、個人の価値観や人生設計にもかかわるため、社内だけで完結する設計の場合は視野が狭くなってしまう恐れがあります。そこで、豊富な経験と客観的な視点を持つ外部講師やコンサルタントの活用が有効です。特に、中堅層や次世代リーダーには自律的リーダー育成を専門とするプログラムが適しています。
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キャリア研修は、従業員の自己成長と企業の持続的発展を同時に実現できる戦略的な人材育成手段です。導入にあたっては、経営層の巻き込み、制度設計との連動、外部専門家の活用が成功のカギとなります。人的資本経営の重要性が高まる今こそ、自社のキャリア研修を見直し、従業員が安心して長期的に働ける環境を整えることが求められています。
最後に、NTT ExCパートナーグループでは、キャリア設計を後押しするさまざまな研修サービスを提供しております。
お客さまのニーズに合わせた研修をワンストップで企画・運営するサービスです。人材および組織の能力開発、そして組織文化変革に関連するあらゆる課題の専門家として、お客さまのニーズや業務特性に合った効果の高い研修プログラムをご提案いたします。
キャリア研修のご相談も可能ですので、下記の公式サイトをぜひご覧ください。
主体的にキャリアを形成していくために、「自分にとって何が大切なのか」、「どんなキャリアを歩みたいのか」を考える力を育てる、若手社員向けの研修プログラムです。若手や中堅社員の主体性を伸ばしたい企業さま、社員のセルフリーダーシップを育てたい企業さまにおすすめです。
「キャリアリーダーシッププログラム」について詳しくは、下記の公式サイトをご覧ください。
多様なロールモデルの体験談を通じて、キャリアの再設計を支援するプログラムです。
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「ロールモデルに学ぶ!ミドルシニアのためのキャリアワークショップ」について詳しくは、下記の公式サイトをご覧ください。

ジョブローテーションとは?導入が向いている企業の特徴と成功事例
ジョブローテーションは、多くの日本企業で取り入れられている制度であり、定期的な配置転換を行うのが特徴です。従業員に多様な業務経験を積ませることで、総合的なスキルの習得につながり、より視野を広げられます。人材のパフォーマンスを最大化するために、自社に適した制度を検討しましょう。

社内公募制度とは?人事異動との違いと導入のメリット・注意点
近年は、社内でキャリアの選択肢を充実するため、「社内公募制度」を導入する企業が多くなっています。従業員が自ら希望して募集部門へ異動できる仕組みを取り入れることで、優秀な人材にキャリアチェンジへ挑戦する機会を与えられます。この記事では、社内公募制度の基礎知識、導入メリット、注意点などを解説します。

人材育成に研修は必要?種類や進め方まで解説
人材育成において、研修の果たす役割は非常に大きいものです。 新入社員の即戦力化や中堅社員のスキルアップ、管理職のマネジメント力向上など、研修を効果的に活用することで、組織全体の成長を促進できます。 ただし、自社に最適な研修内容や進め方を設計するには、現状の課題を正確に把握し、目的に合わせた種類と手法を選ぶことが重要です。 この記事では、人材育成のための研修について、種類や設計の進め方、実施時のポイントまで解説いたします。
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