振り返りのフレームワークとは?目的別に活用できる代表的な手法9選を徹底解説!

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「プロジェクトの振り返りを任されたけれど、どう進めたらいいかわからない」「毎回の振り返りが、ただの反省会で終わってしまう」
このような悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。日々の業務に追われる中で、経験を次に活かすための「振り返り」は、後回しにされがちです。しかし、効果的な振り返りこそが、個人とチームを成長させる鍵となります。
本記事では、質の高い振り返りを実現するための「フレームワーク」について、その基本から目的別の選び方、具体的な進め方までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、あなたのチームやあなた自身の状況に最適なフレームワークが見つかり、明日からの振り返りをより有意義なものに変えることができるでしょう。

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振り返りのフレームワークとは?

振り返りのフレームワークとは、個人やチームが経験から学び、次のアクションに繋げるための「思考の枠組み」や「手順」を体系立てたものです。決められた型に沿って進めることで、議論が脱線したり、単なる反省会で終わったりするのを防ぎ、建設的な対話を通じて改善策を見出すことを目的とします。

経験を次に活かすための思考の枠組み

単に「振り返りましょう」と言われても、何から話せばよいかわからず、発言が個人の感想や反省に終始してしまうことがあります。フレームワークは、「何を」「どのような順番で」考えるべきかを明確にガイドしてくれます。たとえば、「良かった点(Keep)」「問題点(Problem)」「次に試すこと(Try)」といったシンプルな型に当てはめるだけで、経験が整理され、具体的な改善アクションへと繋がりやすくなります。

なぜ今、振り返りが重要なのか

現代のビジネス環境は、変化のスピードが非常に速く、先の予測が困難な時代です。このような状況下で成果を出し続けるためには、一度きりの成功や失敗に一喜一憂するのではなく、行動と結果をセットで振り返り、高速で学びを得て次の打ち手に活かすサイクルを回し続けることが不可欠です。フレームワークを用いた振り返りは、学習と改善のサイクルを組織に定着させ、変化に対応できる強いチームを作るための重要なプロセスなのです。

振り返りにフレームワークを活用する3つのメリット

フレームワークを使うことで、振り返りの質は格段に向上します。ここでは、フレームワークを活用することで得られる主なメリットを3つ紹介します。

目的が明確になり議論が活性化する

フレームワークは、振り返りの目的とゴールを明確にします。たとえば、「今回のプロジェクトから学びを得て、次のプロジェクトをよりよくする」というゴールに向かって、「よかったこと」「悪かったこと」「次に試すこと」を話し合う、という共通認識が生まれます。参加者全員が同じ目線で議論に参加でき、発言の的が絞られるため、対話が活性化するのです。

建設的な意見が出やすくなる

振り返りは、ともすれば「できなかったこと」や「失敗したこと」の追及、つまり「反省会」になりがちです。しかし、フレームワークでは、うまくいったことや継続すべきことにも焦点を当てます。成功体験を共有することでチームの士気が高まり、課題についても「どうすれば次はもっとよくなるか?」という前向きで建設的な視点で意見を出し合えるようになります。

効率的に振り返りができる

会議の時間が限られている中で、ゼロから議論を始めると、話がまとまらないまま時間切れになってしまうことも少なくありません。フレームワークという「型」があれば、議論のプロセスが明確になり、スムーズに進行できます。参加者は次に何を考え、何を話すべきかがわかるため、無駄な時間を減らし、短時間で質の高い結論を導き出すことが可能です。

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【目的・規模別】代表的な振り返りフレームワーク9選

ここからは、代表的な振り返りのフレームワークを9つ紹介します。それぞれ特徴や適した場面が異なるため、ご自身の目的やチームの規模に合わせて最適なものを選んでください。

フレームワーク名特徴こんな時におすすめ
KPTシンプルではじめやすい。「Keep/Problem/Try」の3点で整理。はじめての振り返り
短時間での振り返り
YWT日本生まれの手法。
「やったこと/わかったこと/次にやること」。
個人の経験や学びを深めたい時
PDCA継続的な業務改善。
「Plan/Do/Check/Action」のサイクル。
品質管理や定型業務の改善
4行日記毎日数分でできる。
「事実/発見/教訓/宣言」で記録。
個人の日々の成長記録
KPTAKPTにActionを追加。
「Keep/Problem/Try/Action」で実行度を高める。
Tryが具体的な行動に繋がらない時
タイムライン時間軸で出来事を整理。
プロジェクト全体の流れを把握。
長期プロジェクトの節目での振り返り
FDL「Fun/Done/Learn」で、楽しさや学びに着目。チームのモチベーションを高めたい時
ワールドカフェカフェのような雰囲気で、少人数グループで対話。大人数での意見交換やアイデア出し
Starfish5つの視点で多角的に分析。
「Start/Stop/More/Less/Keep」。
KPTでは物足りない、より詳細な分析をしたい時

KPT:最もシンプルで汎用性が高い

KPTは、「Keep(よかったこと・続けたいこと)」「Problem(問題点・改善したいこと)」「Try(次に試したいこと)」の3つの観点で振り返る、非常にシンプルで人気のあるフレームワークです。個人でもチームでも、短時間で手軽にはじめられるのが魅力です。

YWT:個人の経験を言語化しやすい

YWTは、「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」の頭文字をとった日本生まれのフレームワークです。事実(やったこと)と、そこからの学び(わかったこと)をわけて考えるため、経験を客観的に捉え、深い気づきを得やすいのが特徴です。特に個人の振り返りに適しています。

PDCA:継続的な改善活動に最適

PDCAは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のサイクルを回すことで、継続的に業務の質を高めていくフレームワークです。プロジェクト単位の振り返りというよりは、日々の業務や品質管理など、繰り返し行う活動の改善に適しています。

4行日記:毎日の手軽な振り返りに活用しやすい

日々の出来事を「事実」「発見」「教訓」「宣言」の4行で記録する、個人向けのシンプルな振り返り手法です。毎日数分で実践できるため習慣化しやすく、自己成長の記録としておすすめです。

KPTA:アクションに繋がりやすい

KPTAは、前述したKPTに「Action(具体的な行動)」を加えたフレームワークです。KPTの「Try」がアイデアレベルで終わりがちな点を改善し、「誰が」「いつまでに」「何をするか」という具体的なアクションプランまで落とし込むことで、実行性を高めます。

タイムライン:プロジェクト全体の流れを可視化できる

プロジェクトの開始から終了までの出来事や、その時の感情の起伏などを時系列に沿って書き出していく手法です。プロジェクト全体の流れを俯瞰的に捉えることができ、成功要因や問題が発生した背景などを特定しやすくなります。

FDL:学習と楽しさに焦点を当てる

FDLは、「Fun(楽しかったこと)」「Done(完了したこと)」「Learn(学んだこと)」の3つの観点で振り返ります。ポジティブな側面に焦点を当てるため、チームの雰囲気が明るくなり、モチベーション向上につながりやすいのが特徴です。

ワールドカフェ:大規模なチームの対話に最適

カフェのようなリラックスした雰囲気の中、数人ずつのテーブルでテーマについて対話し、メンバーを入れ替えながら議論を深めていく手法です。大人数でも全員が対話に参加できるため、組織全体の意見集約や一体感の醸成に適しています。

Starfish:多角的な視点で課題を洗い出せる

「Start doing(はじめること)」「Stop doing(やめること)」「Do more of(もっとやること)」「Do less of(減らすこと)」「Keep doing(続けること)」という5つの視点から活動を振り返ります。KPTよりも多角的に現状を分析でき、より詳細な改善アクションを見つけ出すのに役立ちます。

振り返りを成功させるための4つのポイント

どのフレームワークを選ぶかも重要ですが、振り返りの場をいかに有意義なものにするかも同じくらい大切です。ここでは、振り返りを成功に導くための4つの基本的なポイントを紹介します。

振り返りの目的を事前に共有する

振り返りをはじめる前に、「この振り返りを通じて何を得たいのか」という目的を参加者全員で共有しましょう。「次のプロジェクトの成功率を上げるため」「チーム内の連携をスムーズにするため」など、目的が明確であればあるほど、議論の質は高まります。

心理的安全性を確保する

心理的安全性とは、チーム内での対人関係においてリスクのある行動をとったとしても、安全であると感じられる状態のことです。振り返りの場では、失敗を恐れずに発言できる雰囲気作りが不可欠です。「どんな意見も歓迎する」「反対意見も尊重する」といったグランドルールを設け、誰もが安心して本音を話せる環境を整えましょう。

個人を詰責せず事実をベースに話す

振り返りの目的は、個人の失敗を責めることではなく、チームとして学び、次に活かすことです。「なぜできなかったんだ」と個人を追及するのではなく、「なぜその事象が起きたのか」という事実(ファクト)にもとづいて、原因と対策を考えましょう。建設的で前向きな議論が可能になります。

次のアクションを具体的に決める

振り返りで様々な意見や改善案が出ても、それが具体的な行動に繋がらなければ意味がありません。振り返りの最後には、必ず「誰が」「いつまでに」「何をするか」という具体的なアクションプラン(TODO)を決めましょう。そして、次回の振り返りでその進捗を確認することで、継続的な改善のサイクルが回りはじめます。

対話型AIが導く新しい振り返り「GrowNavi Reflect」

振り返りを習慣化し、より深い気づきを得るなら、AIを活用した内省支援サービス「GrowNavi Reflect」がおすすめです。AIとの対話を通じて自身の思考や感情を整理し、キャリア形成や行動変容につなげることができます。日々の業務や研修後の振り返りをAIがサポートするため、ひとりでも効果的な内省が可能です。人事担当者やマネージャーは、匿名化されたデータから組織全体の傾向を把握でき、的確な育成施策の実施に役立てることができます。自己理解を深め、成長を加速させる新しい振り返りの形を体験してみませんか?

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まとめ

本記事では、効果的な振り返りを実現するためのフレームワークについて、そのメリットから目的別の選び方、成功のポイントまでを解説しました。振り返りは、単なる反省会ではなく、未来の成功に向けた価値ある投資です。
今回紹介したフレームワークの中から、まずは自分のチームや状況に合いそうなものを一つ選んで試してみてください。そして、振り返りを習慣化することで、個人とチームの成長を加速させていきましょう。

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