VR(HMD)一括制御システム
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短期間でのレンタル利用も可能、集中制御でVRの一括再生が可能です。
奈良交通株式会社 自動車事業本部 乗合事業部 経営路線グループ(営業企画) 課長 浅井 達哉 様
従業員 | 1,461人(出向者除く・2023年3月31日現在) |
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80年以上の歴史を持つ関西大手バス会社。奈良県を中心に、乗合バス、貸切バスを運行している。路線バス、定期観光バスの運行を担うバス事業の他に、不動産、飲食事業、教習所などの事業も手掛ける。 定期観光バスの詳しいコースの内容などは奈良交通株式会社のWebサイトをご確認ください。 URL: https://www.narakotsu.co.jp/teikan/
2023年1月、奈良交通株式会社がNTT ExCパートナーが提供するVRコンテンツおよびVRシステムを活用した観光サービスを定期観光バスに導入しました。奈良県の定番観光スポットである、奈良公園や興福寺をVRコンテンツを通じてさらに深く理解できるこのサービスは、多くの観光客に新鮮な体験を届けています。今回、同サービスの企画を担当した奈良交通の浅井様に、VRコンテンツに着目した背景、企画の狙いや効果、制作の過程などを伺いました。
―まずは、VRコンテンツを用いた観光サービスを提供するに至った経緯を教えてください。
大きなきっかけは、新型コロナウィルスによる定期観光バス(※)の利用者の減少があります。外出が制限され、観光業が多大な影響を受けたのは、みなさんの記憶にも新しいと思います。
また、コロナ禍の中で、観光客の行動変容も起きました。これまでであれば、旅行を計画するときは、旅行窓口で相談して、交通手段や宿泊先などをまとめて予約することが多かったかと思います。それが、できるだけ外出を控える傾向から、Webサイトを使って各種予約を行ったり、あるいはWebツアーという形でオンライン上で観光をする人も増えてきたんです。
※
定期観光バスとは料金にバス運賃の他、拝観料や食事代などが含まれており、ガイドが名所・旧跡をご案内させていただくバスのことです。一般の旅行ツアーと違い、路線バスの一種であるため、お客様がお一人でも運行いたします。
―コロナ禍で観光客が減っただけでなく、行動まで変わったんですね。
はい。コロナ禍を経て、観光や旅行業のあり方が変わり、私たちもその変化に適応していく必要がありました。2022年に入り段階的に制限が緩和され(※)、経済活動が少しずつ回復していく中で、どうやって観光客を獲得していくか。その打ち手の一つとして生まれたのが、VRコンテンツを用いた観光サービスだったんです。
※
2022年3月21日までにすべての都道府県でまん延防止等重点措置が終了
―なぜ、VRコンテンツに着目したのでしょうか?
奈良県には歴史のある建造物は数多くありますが、いずれも国宝などの貴重なもので、堂内に安置されている仏像などは非公開で見ることができないものが多くあります。また、古墳など地中の中に眠る遺跡がたくさんあるのですが、きれいな形として残っているものが少なかったりもします。そうしたときに、普段は見ることができない部分を撮影した映像やCGを用いた再現映像などのVRコンテンツで、貴重な建物や遺跡を楽しむことができれば、定期観光バスの利用者に新しい体験を提供できると考えたんです。
NTT ExCパートナーさんからも、VRを活用したサービスについてご提案をいただいたことも大きかったです。こちらとしても新しい打ち手を模索している中、VRを用いたサービスの実績が豊富なNTT ExCパートナーさんと組むことで、これまでにない観光体験を生み出せるのではと、一歩踏み出すことができました。
―2023年1月からVRコンテンツを用いた観光サービスをスタートしています。どのような内容なのでしょうか?
第一弾では、世界遺産である興福寺の映像、奈良公園をドローンで上空から撮影した映像や若草山の映像などを観光客のみなさんにVRで体験いただけるサービスを提供しました。導入しているコースの一部をご紹介すると、興福寺に到着後、バスの中でVRコンテンツを視聴します。その後、実際に奈良公園、興福寺、若草山を歩いて今度は自分の目で楽しむという内容です。
奈良公園、興福寺などを俯瞰して見られますし、ドローンだからこそ見られる景色、VRの特徴を活かして自分の見たい方向を見られるなど、とても面白い映像体験ができます。「ずっとあの景色を見ていたかった」という声もいただいていて、自分の足で歩くのとは違う視点で、奈良の観光スポットを楽しんでいただけます。
―VRコンテンツだけでも楽しめるということですね。バスの中でVRコンテンツを見るというのが面白いと思ったのですが、そうした理由は?
観光の質をより高めるのが狙いです。例えば、VRコンテンツでは、興福寺の五重塔の普段では見られない初層部分を見ることができます。
初層には仏像が安置されているのですが、VRコンテンツで見た後でガイドの話を聞けるため、よりイメージが湧き、観光の楽しみも増します。他のお寺にはどんな仏像があるか、より興味を持たれるお客様もいらっしゃいました。
―VRコンテンツを見た後に、ガイドの話を聞くことで、より深く観光スポットを楽しむことができるのですね。
はい。VRコンテンツを見ることで、ガイドとのコミュニケーションが増えたという話も聞きます。導入前までは、ガイドが、奈良公園を案内し、利用者はそれを聞いて楽しんでいただいていましたが、VRコンテンツの導入によって、利用者は奈良公園や興福寺を俯瞰して見ることで全体のイメージを持っていただき、その状態で、ガイドの案内を聞けるので、より深く興味を持ったり、ガイドの話を理解しやすくなるんです。
―VRコンテンツをどう作ったのかも気になります。興福寺は世界遺産でもあり、ドローンで撮影をするのはハードルが高かったのではないですか?
弊社としても、興福寺をはじめとした観光スポットの魅力をもっといろんな角度で伝え、観光客を増やしたい。そのために、VRコンテンツを作りたいという強い思いを持っていました。
こうした思いを興福寺の方にお伝えしたところ、快諾していただき、撮影にも前向きに協力していただけました。興福寺のみなさんからしても、五重塔が2023年7月から120年ぶりとなる大規模な保存修理工事に入る前に、映像として残しておきたいという考えもありました。10年近くの工事となり、その間は観光客のみなさんに五重塔をご覧いただくことができません。
工事期間中でも、五重塔をご覧いただける、またこれまで見られなかった部分まで見られるというVRコンテンツの価値を理解していただき、協力してもらえたのは大きかったですね。VRコンテンツ制作の経験豊富なNTT ExCパートナーさんの存在も大きかったと思います。
―NTT ExCパートナーとのVRコンテンツ制作はどのように行ったのですか?
どういう映像を撮りたいか、どういう映像に編集していくか、頻度高く打ち合わせさせていただき、こちらからもたくさんの要望を伝えさせていただきました。その中で、「これはできる、できない」としっかりと判断していただけたので、私たちとしても納得した形で撮影や映像制作が進行できました。
―ガイドさんにとっては、VR機器を使ったサービス提供は初めてかと思いますが、不安の声はありましたか?
VR機器を一括で制御するシステムをNTT ExCパートナーさんから利用方法をご提供いただき、ガイドに対して最初にしっかりとレクチャーを行いましたので、大きな混乱なく導入できました。機器操作に不慣れなガイドも多いので、最初こそは問い合わせをもらうこともありましたが、すぐに慣れて今ではすっかり使いこなしていますね。
定期観光バスの利用者は高齢のお客様の割合が高く、初めてVRを視聴する方も多くいます。そんなお客様にも、VR機器の付け方を教えることで、問題なく視聴いただけていますので、ハード面では大きく困ることはありませんでした。
―今後の展開を教えてください。
VRコンテンツを用いた観光サービスへの可能性は高いと我々としても感じており、2023年12月からは第二弾として、奈良県の中部に位置する飛鳥エリアをめぐるコースでも提供を開始いたしました。石舞台古墳が作られる様子をCGで解説するVRコンテンツや、古代の飛鳥寺を体験できるVRコンテンツなどを提供しています。
飛鳥エリアは特に歴史が深く、地中にたくさんの遺跡が残っているとされています。そんなロマン溢れる飛鳥の地を、より楽しんでいただけるような体験をご提供していきたいです。
それから、VRコンテンツは言語の壁を乗り越えて、世界中の人にも楽しんでいただけると考えています。今後、外国人による観光需要がさらに回復し、数が増えていったときに、奈良県の魅力を知ってもらえるように、言葉だけでなく、VRコンテンツによって質の高い観光を提供していけるといいなとも思っています。
―VRコンテンツ×観光の可能性はまだまだ広がりそうですね。
そうですね。今回、VRコンテンツを用いた観光サービスを提供することで、新聞をはじめとしたマスメディアにも取り上げていただきました。いろいろな形で話題を作り、観光客のみなさんにも楽しんでいただき、そして奈良県の魅力を知ってもらう。
そうした一連の流れを生み出していくのは、この仕事に携わる醍醐味だと私も感じています。まずは、第二弾の反応を楽しみに待ちながら、VRコンテンツと観光をかけあわせ、どのような楽しい体験が生み出せるか、その可能性を探っていきたいと思います。
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