VOICE
担当コンサルタントの声コンサルティングを行う外部委託業者の選定にあたり、お客様から提示されたRFP(提案依頼書)の業務の大きな柱は「訓練の検証」と「防災マニュアルの改定」の2つでした。
私たちはその業務に留まらず、「学内の各組織が主体的に関われるマインドセットと仕組み作り」を加えたご提案をしました。今後も継続的に防災対応の質を高め、実践的にしていくためには、一部の方々が必死になって毎回トップやメンバーを巻き込むやり方では早晩行き詰ってしまう、と考えたからです。
事務局の皆さんとご相談しながら、ワーキングの初期段階でメンバー全員に危機意識を高めるワークショップに参加していただくこと、訓練後の振返りを従来のような各班からの文書による取りまとめから、集合によるディスカッションを通じたAAR(After Action Revue)に変えること、を決めました。効果は期待以上だったとのことで、お客様も私たちも翌年度へ繋がる確かな手ごたえを得ることができました。
訓練については、事後の評価・検証のみならず、シナリオ策定の段階から積極的に加わらせていただきました。
前年度からの改定案の中で最も大きく変更した点は、各班から危機対策本部への情報連絡方法でした。これまで通報連絡班のメンバーが本部と各班を走り回っていたやり方から、各班からの連絡を受ける役割のリーダーを、本部に配置する体制に変えたことで、情報連絡の慌ただしさと混乱がなくなりました。
実はこの体制案は、班の検討段階から上がっていました。大きな変更を伴うため、実施すべきどうか判断がつきにくかったとのことでしたが、私たちのアドバイスで今回、実施に踏み切りました。新たな課題も見えてきましたが、大きく一歩進んだと受け止めていただけたように感じています。
現在の防災マニュアルは、今回ご支援をさせていただき、ほぼ完成形に近づきつつあります。ただ、本格的な復旧となる授業再開に至るBCPの策定までは更なる検討が必要です。授業再開を判断する条件は、社会インフラの復旧だけでなく、大学ならではの状況を踏まえねばなりません。災害や危機事象が多様化する今日の情勢において、どのように想定を広げつつ、対応を確立していくのか。ゴールのない道のりですが、今後もお客様の理想と課題に寄り添いながら、専門的なアドバイスのできる支援者として、引き続きお役に立ちたいと考えています。