ろぐ亭

AIアバターの「ERIちゃん」が外国人のお客様を英語と中国語でおもてなし。~本人のアバターが軽井沢の観光案内や日本のカルチャーを発信します~

  • 卸売り・小売・飲食
  • 1~20人
  • HRTech

軽井沢ろぐ亭 荻原詠理さん

ろぐ亭のロゴ画像
ろぐ亭

材木店として創業し、ログコテージを立てたところから宿泊業へ転換。 コテージのテラスで提供していたバーベキューが好評を博し、「ろぐ亭」をオープン。 軽井沢の森に囲まれたこだわりのロッジで質の良いお肉をリーズナブルに食べられることから、日本人観光客だけでなく、海外からの旅行者も訪れるレストランです。

軽井沢の老舗焼肉店「ろぐ亭」では、インバウンド向けにAIアバターサービスを導入しました。
これまで文化の違いから、日本ではマナー面で誤解を招く行動が少なくありませんでしたが、その課題解決を目的にアバターを活用したコンテンツを制作。
卓上に設置されたQRコードからアクセスできる英語・中国語対応の動画では、観光案内や日本文化を紹介するとともに、マナー啓発にも取り組み、訪日客の体験価値向上をめざしています。

――まず、AIアバターを導入してみて率直にどう感じましたか?

「正直、最初は自分がアバターになるなんて想像できませんでしたが、でもお客様が“あれ、本人だ!”って気づいてくださったり、『英語も中国語も話せるんだね』って驚いてくれたりして、不思議な気持ちと同時にすごく嬉しかったですね。初めにアバターを作る際の撮影も難しくなく、数十分で撮影が終わって、“え、もう?”って驚いたくらいです。」

「また、アバターのバリエーション違いの撮影に関しても簡単でした。自分が思ってた以上にスッと進んで、2分程度しゃべっただけみたいな感覚で。前回撮影に来ていただいた時に“じゃあ撮りますね”って、その場でほぼ準備いらずで進んでいった感じでした。」

――周りの反応はいかがでしたか?

「常連のお客様はお店や私のことをよく知ってくださっているので、『これってもしかして?』って気づいてくださるんです。そこで“実はアバターなんですよ”って伝えると、さらに話が広がっていきます。それ自体が話のきっかけにもなっていて、外国人のお客様からも、『席に座りながら、観光地やマナーを知れるのがいい』って言っていただきました。
旅行中って待ち時間が多いから、スマホで自然に情報が入ってくるのは有意義だと思います。 
実際に食事の際のマナー啓発の動画を視聴頂いたこともあり、『机に食べカスをそのまま置いてしまう』といった日本ではマナー違反の行動が減った実感もありますね。
アジア圏の方ってスマホをずっと触る習慣がある方も多いので、『なんだろう?』って読み込んでくれる。だからQRコードにして良かったな、って思いました。」

――動画の設置は机上のQR形式でしたが、改善するとしたら?

「冊子やメニューみたいに手に取れる形だと、読み込む楽しさが増すと思います。束ねてパラパラ見られる感じにできたら、“なんだろう?”って手に取りやすいですよね。今は“丸穴を開けてリングで留めるメニュー風”にしているのですが、本を読む感覚とAIが融合するのがすごく良いなって。読み込む瞬間そのものが楽しい体験になったら最高です。
それこそスタンプラリーみたいに、観光スポットを巡って集める仕組みがあったら面白い。“次の行き先”に誘導もできますし、回遊していく楽しさが生まれるはずです。」

――既に様々なコンテンツを配信していますが、どの動画が印象的ですか?

「白糸の滝ですね。映像の美しさや縦型の迫力、そこに副音声的な解説が入って、読み込んだ瞬間に“その場にいるみたい”って感じました。今はショート動画のトレンドもあるので、短い尺でスッと理解できるのが良いです。
鬼押出しやアイスパーク、マナーの動画もやりました。意外に数が多くても楽しいと思うので、観光地の紹介はまだまだ増やしていきたいです。」

――多言語対応はどうでしたか? 日本語版の必要性は?

「今回は来訪が多い中国語と英語で制作したのですが、中国語は特に効果があったと感じています。私がアプローチしたい層にしっかり届いたので。
ただ、常連さんのように日本のお客様にも新しい発見を提供したいので、日本語のコンテンツもあったら面白いと思います。『こんな発信もあるんだ』って気づきにつながると思います。」

――お客様の声にはどんなものがありましたか?

「『自分もやってみたい』『本当に本人が話しているみたい』っていう好意的な声が多かったです。一方で『ちょっと怖い』という反応もありました。年齢は関係なく両方の意見がありましたね。でも、ケアの仕方をちゃんと伝えていけば抵抗は減っていくと思っています。『こういう使い方をします』『こういう配慮をしています』っていう説明はセットで必要ですよね。」

――アバターは“本人の代わり”になり得ると思いますか? 倫理面は?

「倫理的な議論はもちろんあると思います。でも、“ニュートラルな存在”として活用できるのがAIアバターの強みです。人のエゴや感情を超えて、文化やマナーを公平に伝えられる。観光や多文化共生の場面では大きな可能性があると感じています。 昔だって“影武者”みたいなものはあったわけで、私はそこまで大きな差はないとも思います。悪用はだめですけど、人として忘れてはいけない部分は守りながら、技術をオープンに受け入れて新しい未来を見たい、というのが私の考えです。
情報源を制御して、“この知識の中だけから答える”って設定もできるって聞いています。だから、安全性に配慮した運用をしていけば、十分に安心して受け取ってもらえるはずです。」

――導入ハードルや周囲へのおすすめ度は?

「導入に関しては本当に簡単でした。時間対効果(タイパ)を考える現場でも続けられると思います。忙しくても『これだけは発信したい』っていう場面、ありますよね。そこをちゃんと叶えてくれる存在だと思いました。
是非、ほかの人にも勧めたいです。知り合いに見せたら『自分もやりたい』って声が出ました。経営者や講師の方みたいに発信ニーズがあるのに時間が取れない人にとって、両立のきっかけになるはずです。」

――今後の応用イメージは?(教育・スポーツなど)

「大学の授業やスポーツの分野でも使えると思います。今、eスポーツも盛り上がっているし、教授や講師の先生方にもニーズがあるはず。海外の学生への多言語サポートにもつながりますよね。
スポーツ留学生のセカンドキャリアや、学業・コミュニケーションの課題って、正直あまり知られていないけど重いテーマだと思うんです。多言語での案内や理解の橋渡しとして、AIアバターがトリガーになったら面白いですよね。」

――最後に、この取り組みを通じて感じたことを教えてください。

「日本を訪れる海外の方はこれからますます増えると思います。お互いに気持ちよく過ごすには、理解のきっかけを増やすことが大事。AIアバターはその架け橋になれるはずです。軽井沢から日本全体へ広がっていけば、多様性を受け入れる未来に一歩近づけると信じています。

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