NTT企業年金基金/NTT健康保険組合

大規模バックオフィス業務を効率化―― “一から作らない”提案と運用支援で稼働5割削減

  • その他
  • 21~100人
  • BPO
  • 生産性向上
  • BPR
  • 研修運営
NTT企業年金基金/NTT健康保険組合

業界・業種NTTグループの社員・家族・退職者を対象とした企業年金の運営、および健康保険給付や健康増進の支援等

NTT企業年金基金・健康保険組合は、法に基づき設立された公法人であり、NTTグループの社員20万人・家族14万人・退職者25万人にかかわる企業年金・健康保険サービスを全国一元的に提供しています。正確かつ高品質・効率的なサービス提供に向けて、AIなどデジタル技術の導入・活用に積極的に取組んでいます。

バックオフィス業務では、関係組織や関係者が増えるほど調整や進捗管理が複雑化し、業務負荷やヒューマンエラーのリスクが高まります。「人手で回す」運用には限界があり、属人化や確認作業の増大が慢性化している企業も少なくありません。

本事例では、当社が研修運営で培ってきたノウハウを応用し、約200社・600名が関わる大規模かつミスが許されないバックオフィス業務を対象に、業務整理と運用設計を行い、当社の持つ既存システムを活用した運用基盤を構築。さらに実運用支援まで一貫して行うことで、業務稼働時間を前年度比約5割削減しました。

本事例を担当した営業・宮本とSE・北本へのインタビューを通じて、効率化を実現した設計プロセスと運用モデルをご紹介します。

本事例のポイント

稼働5割削減を実現した大規模バックオフィス業務の再設計と実運用支援


多数の組織と関係者がかかわる互選選挙関連業務の運用を再設計し、大規模でも安定して回る運用基盤を構築しました。実運用の支援まで行った結果、業務稼働時間を前年度比約5割削減しました。(※本記事における互選選挙とは企業年金基金・加入者の代表者である互選代議員ならびに健康保険組合・被保険者の代表者である互選議員の任期満了に伴い、2年毎に実施される選挙をさす。)

個人情報管理体制の強化と業務効率を両立


システム基盤と運用ルールの両面からセキュリティを設計。最大2万人規模の個人情報を扱う業務に対し、安全性と業務効率を両立できる運用体制を構築しました。

お客様の「本当にやりたかったこと」にフォーカス。開発なしでスピード導入を実現


専用システムの開発から、ヒアリングを通じて当社の持つ既存システムとマクロ設計を組み合わせた解決策へと方針を転換。直近の繁忙期に間に合わせる短期間での実運用開始とコスト最適化を実現しました。(※マクロ設計とはExcel等を用いて、データ整理・確認・集計作業等を自動で行うために手順や設計図を作成・計画すること。)

多組織・多数担当者を束ねる互選選挙運営――メール・手作業中心の運用が生む業務負荷とリスク

―― 今回のお客さまの課題と背景を教えてください。

営業・宮本:お客さまは互選選挙にかかわる事務局業務の運営主体として、本部と多数の組織・関係会社をつなぐ調整・管理業務を担っていました。具体的には、約200社・600名の選挙事務担当者を対象に、
1, 選挙事務担当者情報の収集・更新
2, 選挙説明会の出席者確認
3, 選挙説明会の実施
4, 選挙人名簿補正調書の収集・整理
5, 公告(選挙実施のお知らせ等)
6, 投票状況リストの確認
といった業務を、定められたスケジュールに沿って期限厳守で遂行する必要がありました。取り扱う情報には個人情報を含む機微なデータも多く、正確性とセキュリティの両立が求められる高難度の運営でした。

従来は、メールを中心とした手作業による運用が行われていました。送付先ごとの個別対応、データの照合・確認、未提出先へのフォロー連絡など、細かなオペレーションが多数発生し、さらに、メールでのやり取りであるため、誤送信や送付先の取り違えといったヒューマンエラーのリスクも常に伴っていました。そのため、運営担当者の身体的・心理的負担は非常に大きな状態でした。

業務を分解し、最適解を導く――短納期・低負荷を実現する構成転換

―― 今回は、どのようなご相談からはじまったのでしょうか。

営業・宮本:お客さまからは業務効率化のため「選挙業務で使用する専用システムを新たに一から構築したい」とのご相談をいただきました。スクラッチ開発※を前提に、中長期計画での導入を検討されていました。

  • スクラッチ開発とは、既存の製品やサービスを使わず、業務専用に一からシステムを開発する方法のこと。

――そこから、どのように検討を進めていったのですか。

SE・北本:初回ヒアリングの段階から私も参加させていただき、宮本とともに「どこに課題があるのか」「何を実現したいのか」といった課題・目的の確認に加え、「実際に誰が、何を、どのように行っているのか」という業務の流れをていねいに整理しました。その結果、業務は以下の機能要素に分解できることがわかりました。
•    情報配信
•    名簿・担当者情報の収集
•    資料配布
•    提出物回収
•    進捗管理
また、当初はスクラッチ開発を前提としたご相談でしたが、ヒアリングを進める中で、現場の業務負荷をできるだけ早期に軽減したいというニーズも見えてきました。
そこで、開発前提の単一案に限定せず、短納期とコスト最適化を両立できる複数の実現方式を比較検討し、当社の持つ既存システムを利用したポータルサイトの構築とSEのマクロ設計・実装による業務自動化を組み合わせた構成へと提案方針を転換しました。

―― そのような提案方針となった理由を教えてください。

SE・北本:専用システムの開発には時間がかかるほか、コストも大きくなりがちです。そこで検討したのが当社が提供する既存システム(ELNO※)の活用でした。ELNOは本来、学習管理システムとして利用されていますが、情報の発信者・受信者それぞれが、情報を一元管理できるポータルサイトを作成できるほか、情報配信・資料配布・進捗管理などの運用業務支援の機能を多数備えています。これらの機能を、お客さまの業務にも応用できると考えました。さらにELNOの機能では補いきれない運用業務については、当社SEがマクロ設計・実装により自動化し、実際の運用まで支援します。これにより、コスト削減だけでなく今年度の互選選挙に間に合わせることも可能になり、お客さまが抱えていた「現場の業務負荷をできるだけ早期に軽減したい」というニーズを実現できると考えました。

―― 最終的に提案が採用された理由を教えてください。

営業・宮本:本業務では多数の個人情報を取り扱うため、コストや仕組みの妥当性に加え、運用面およびセキュリティ面での信頼性が重要な判断基準となりました。当社が大規模な個人情報を扱う運用支援の実績を有していること、既存基盤がNTTグループの高いセキュリティ要件を満たす環境で運用されていること、さらに社内の統制・チェック体制が整備されていることが、あんしんして任せられる要素として評価いただきました。

また、意思決定者が具体的な運用イメージを持てるよう、「システムでできること/できないこと」を明確に整理し、SE作業で補完する部分も含めた全体像を可視化。デモ画面と資料を用いて具体的に説明しました。その結果、「この構成であれば、現場で安定して機能する」とご判断いただき、提案内容は正式に採用されました。

ポータルサイトを中核とした運用基盤構築

―― 運用設計の全体像を教えてください。

SE・北本:運用の中心となったのは、先ほどご説明した当社の既存システムを活用して構築した専用のポータルサイトです。このポータルサイトは、情報配信や進捗管理を一元化する基盤として機能しました。加えて、利用者にとっては、情報登録、説明会動画の視聴、共通・個社別資料のダウンロードを一か所で完結できる環境となっています。

さらに、ポータルサイトから回収したデータは、当社SEが一覧形式で確認できるよう加工します。単に抽出したデータを提供するのではなく、幹部層向けの説明資料として活用できる形に整理しています。データ回収にとどまらず、その後のお客さまの業務活用までを見据えた構成です。

運用実績とNTTグループのセキュリティ体制を活かした支援

―― 安定した運営を実現するための工夫を教えてください。

SE・北本:約200社・600名の関係者を対象とする大規模運営であるため、問い合わせの集中はあらかじめ想定していました。そこで、問い合わせを内容別に整理し、適切な担当者へ割り当てる運用ルールを事前に設計しました。
設計段階では、想定される問い合わせパターンを洗い出し、どのケースでも迷わず対応できるよう、関係者間で複数回にわたり議論と検証を重ねました。その結果、実運用期間中に1日30~40件の問い合わせが集中する局面でも、滞りなく対応フローに乗せることができました。これまでの知見を踏まえた入念なフロー設計が、迅速かつ安定した対応の実現につながっています。
 

―― 個人情報の取扱いについては、どのような点に配慮しましたか。

SE・北本:本業務では、最大2万人規模の個人情報を含む名簿を扱うため、システム面と運用面の双方からセキュリティ設計を行いました。
システム上では、誰がどの情報にアクセスできるかを明確に制御し、閲覧範囲を限定。運用面では、作業手順を事前に明文化し、担当者による対応差が生じないよう標準化しました。さらに、データ登録後には必ず抽出確認を行う二重チェックの手順を組み込み、誤登録や誤処理のリスクを低減しています。仕組みと運用ルールの両面から安全性を担保する設計としています。

構築で終わらせない――シームレスな運用支援により、約5割の稼働削減を実現

―― 今回の取組みの成果を教えてください。

営業・宮本:今回の取組みにより、これまでメール中心の手作業で行われていた業務をシステム化し、運用の標準化を実現しました。その結果、業務効率は大きく向上しました。また、ポータルサイト上で作業進捗を一元的に把握できるようになり、業務全体の見通しが向上しました。さらに、多数の個人情報を扱う業務においても、運用ルール・チェック体制をあわせて設計することで、効率性と安全性の両立を実現しました。

実際に運用を担当されたお客さまからは、次のような評価をいただいています。
「今回の仕組み導入と実運用委託により、本業務に関する稼働を前年度比約5割削減することができました。その分の時間をほかの業務に充てることができ、これまでより余裕をもって業務を進められるようになりました。セキュリティ面でもあんしんして任せることができ、対応スピードの速さにも非常に助けられています。」
さらに、
「システム提案だけでなく、業務整理・運用設計まで一貫して支援いただけた点が非常に助かりました。」
という声もいただいています。

さらなる業務効率化へ ―― より低負荷な運用をめざして

―― 今回の取組みを踏まえて、今後に向けた展望を教えてください。

営業・宮本:今回の取組みにより、名簿収集、情報配布、進捗管理など多くの工程がシステム化され、運用の正確性と効率性は大きく向上しました。一方で、すべての工程が完全にデジタル化できたわけではなく、各社のセキュリティポリシーや情報管理基準の違いにより一部ではメールによる資料回収など、人手に依存する作業が残っています。
実際の運用を通じて、「ここまで効率化できたからこそ、最後に残った手作業の負担が見えるようになった」という気づきが関係者の間で共有されました。現在は次年度以降に向けて、フォームによるファイルアップロードへの対応拡張など、さらなる効率化施策を検討しています。

また、利用者アンケートでは「使いやすい」という評価がある一方で、「従来のメール運用の方が慣れていて使いやすい」という声も一部に見られました。今後は、操作性の改善や説明方法の工夫を通じて、利用体験の差をどう解消していくかが重要なテーマになります。「効率化して終わり」ではなく、現場に根付くまで伴走していきたいと考えています。

  • 文中に記載の企業名・組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2026年1月インタビュー時点のものです。

VOICE

NTTExCパートナー
ラーニングソリューション事業部 ビジネス開発営業部門 営業担当 宮本 光博/ EdTech担当 北本 寛幸

本事例は「互選選挙業務の運営」というテーマでしたが、取組みの本質は「本部と多数拠点間の情報を、正確かつ安全にやり取りする方法」にあります。そのため「関係者が多く、連絡や進捗管理が煩雑になっている」「人手での確認作業に限界を感じている」といった多拠点間の調整や情報管理に課題をお持ちの方にとって参考にしていただける事例だと考えています。案件の規模やテーマにかかわらず、課題ベースでご相談いただければ、実現可能な方法を一緒に整理していきます。まずはお気軽にご相談ください。

ExCの強み

  • NTTグループの技術力を活用した
    先端ソリューション

    • NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現

  • 人事・総務の各領域に精通した
    プロフェッショナルが伴走

    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

    施策効果の振り返りまでを
    実施して改善サイクルを実現

    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

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導入実績