人事評価での相対評価とは?導入のメリット・デメリット、活用場面

  • 評価制度

現状の人事評価制度に不公平感をおぼえている従業員が多い場合は、評価方法の見直しを検討するとよいでしょう。社内の競争意識を適度に高めることで、モチベーションアップにつながる評価制度の一つとして「相対評価」が挙げられます。

本記事では、人事評価における相対評価の基礎知識や、導入のメリット・デメリット、具体的な活用場面などをご紹介します。人事を担当している方は、自社に適した評価方法を運用するために、ぜひ参考にしてみてください。

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人事評価で用いられる相対評価とは

はじめに、人事評価制度における「相対評価」に関する基礎知識を解説します。相対評価の特徴や、「絶対評価」との違いについて確認してみましょう。

相対評価とは?

相対評価とは、他者との比較によって能力や実績を評価する手法のことです。評価対象者に集団の中での順位づけを実施することで、評価が決まる仕組みとなっています。その際は、事前にランクごとの人数配分を設定しておき、順位に応じて各個人を各ランクに割り振るのが一般的です。

たとえば、「Aランク」「Bランク」「Cランク」の順に評価が高い、3段階のランクを作るとします。このうち高評価の「Aランク」は5人、中間の「Bランク」は10人、低評価の「Cランク」は20人といった形で、人数配分を設定します。あるいは、「Aランク」は上位10%といった形で、割合を設定することも可能です。また、個人を比較する方法のほかに、チーム同士を比較する方法もあります。

このように、相対評価は周囲との比較によって明確に評価が行われるため、透明性が高いことが大きな特徴です。仕事の評価において、公正さが重視される場合に適しているといえるでしょう。

相対評価と絶対評価の違い

絶対評価とは、目標達成度やスキルなど、一定の基準に基づいて評価する手法のことです。事前に設定した評価基準に対して、個人の達成度合いで評価が決まる仕組みとなっています。

たとえば、先ほどと同様に、絶対評価で3段階のランクを作るとすると、「Aランク」は目標達成率90~100%、「Bランク」は目標達成率70~89%、「Cランク」は目標達成率0~69%といった形になります。絶対評価ではランクごとの人数や割合に決まりがありません。そのため、仮に全員が目標達成率90%を超えたとすると、全員がAランクとなるのが相対評価との大きな違いです。

相対評価と絶対評価は、目的や場面に応じて使い分けられています。場合によっては両者を併用するケースも珍しくありません。たとえば、はじめに絶対評価を行った上で、各ランクのバランスを取るために相対評価で調整を行う方法が挙げられます。絶対評価を行った結果、全体の大多数が「Bランク」以上となったとします。その際は、「Bランク」のうち下位の何割かの人を「Cランク」に割り当てるといった方法によって、バランスを取ることが可能です。

人事評価で相対評価を行うメリット

相対評価を運用すると、企業側には以下のメリットが期待できます。評価手法の見直しを検討されている方は、相対評価を導入するメリットを改めて確認してみましょう。

公平な評価が可能になる

相対評価では、全員が他者との比較によって順位づけられるので、評価に公平性がある点が大きなメリットです。客観的な順位によって評価が決まり、評価者の個人的な感情や人間関係を含む主観に左右されにくいという特徴があります。評価者である上司や人事担当者だけでなく、評価対象者側も順位づけの理由を客観的に理解しやすいといえます。評価者・評価対象者ともに納得度が高く、不公平感が生まれにくい評価方法だといえるでしょう。

競争が活発化する

相対評価は社内の競争の活発化につながるので、結果として組織全体の成果向上が期待できます。相対評価において従業員の評価は同僚との比較によって決まるため、社内で自然とライバル意識が芽生えやすいといえます。順位の向上をめざす意欲的な従業員は、業務の知識や技術を率先して身につけるようになり、スキルアップのモチベーションが高まるでしょう。組織内で切磋琢磨することで成果に結びつき、企業にメリットがもたらされます。

人件費を抑えられる

相対評価を導入する企業では、社内全体の報酬の上限が決まっているため、人件費を管理しやすいというメリットがあります。たとえば、高評価の「Aランク」のみにインセンティブが発生する場合、相対評価では決められた人数や割合に属する人のみが報酬の対象者となります。一方、絶対評価では基準を満たせば全員が「Aランク」となる仕組みなので、全員が報酬の対象者となる可能性があるでしょう。このように、相対評価では査定で昇給や賞与が発生するときの予算を見積もりやすくなります。

組織内の評価をコントロールしやすい

相対評価では、一定の人数や割合でバランス良くランク分けが行われるので、組織内の評価をコントロールしやすいといえます。あらかじめ“高評価の「Aランク」は〇人”といった形で設定されるため、ランクごとの人数に偏りが生じるのを避けることが可能です。それに対して絶対評価の場合は、特定のランクの人数に偏りが生じる可能性があります。相対評価なら、組織内の大部分の人が高評価の「Aランク」になったり、大部分の人が低評価の「Cランク」になったりする心配がありません。

評価者の作業負荷を軽減できる

相対評価は、比較的容易に評価がしやすい手法だとされています。その理由は、順位づけを決める場合、「売上金額」や「顧客獲得数」といった評価項目の点数が高い順に評価担当者を並び替えるだけでランキングが完成するためです。経験の浅い評価者でも、時間をかけずに適正な評価がしやすいといえます。人事考課の度に多くの時間がかかり、評価者の負担が懸念されている企業では、相対評価の導入によって上司や人事担当者の作業負荷を軽減できるでしょう。

人事評価で相対評価を行うデメリット

相対評価には多くのメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットもあります。制度の問題点を踏まえて導入を判断することが大切です。続いて、相対評価を行うデメリットをご紹介します。

成長の評価が難しい

相対評価には、個人ごとの成長の評価が難しいというデメリットがあります。たとえば、ある従業員の業績が5%向上したとしても、大多数の従業員の業績が10%向上していたら、相対評価では個人の5%の成長が評価されないことになります。また、成果のみが評価の対象となり、成果に至るプロセスが評価の対象とならない場合、従業員が自己成長を実感しにくくなる点にも注意が必要です。特に、成長過程にある若手社員の不満につながりやすいといえます。

モチベーションの低下につながる

相対評価では従業員の順位づけが長期的に固定化される可能性があり、下位の従業員のモチベーションが低下するおそれがあります。その反対に、上位の従業員が最高評価に達して以降も、モチベーションの低下が懸念されます。たとえば、営業成績トップの従業員の売上金額が800万円であっても1,000万円であっても、相対評価の場合はインセンティブに差がつきません。一定以上の成果をあげても評価の対象とならないので、優秀な従業員が高いパフォーマンスを発揮するモチベーションを失いやすいといえます。

チームの一体感を損ねやすい

相対評価では組織の競争力が高まる反面、チームの協調性が損なわれるリスクが存在します。ランキングでの評価を高めるために、チームの成果よりも個人の成果を優先する意識が強くなるおそれがあるでしょう。チーム内で良好な協力関係が築けない場合は、結果として組織の生産性を低下させることにもつながりかねません。

社内の人間関係に影響を与えるおそれがある

相対評価で明確な順位づけが行われることによって、従業員が互いに会社内の序列を強く意識するようになり、人間関係に悪影響が生じてしまうケースが少なくありません。人によっては常に周りと比べられることにストレスを感じて、業務に集中しにくくなったり、職場の雰囲気に不満を感じたりする従業員もいるでしょう。

所属する組織により評価が変わる場合がある

相対評価では、従業員が所属する組織によって評価が変わる場合があるのが注意点です。たとえば、能力の高い従業員が多い部署で、ある従業員が低評価の「Cランク」となったとします。ところが、同じ従業員が別の部署では相対的に高く評価され、高評価の「Aランク」となる可能性があるのです。このように、相対評価では所属する組織のレベルによって評価が大きく変わる可能性があります。

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人事評価で相対評価を上手に用いるポイント

既存の人事評価システムを見直す場合は、以下のポイントを押さえて相対評価を導入するとよいでしょう。相対評価を上手に用いて、施策を成功へ導くためのポイントをお伝えします。

評価基準を明確にする

相対評価を導入する際は、明確な評価基準を設定した上で、従業員へ共有するといった工夫をするとよいでしょう。相対評価は周囲との比較によって評価が決まる仕組みのため、場合によっては評価基準が曖昧になりやすいといえます。また、評価対象者が所属する部署やチームによって評価が変わりやすい点にも注意する必要があります。明確な評価基準に基づき、正当な評価を行える体制を構築することが大切です。

社内の理解を得る

既存の人事評価制度を見直すときは、事前に従業員に対する説明を十分に行い、社内全体で理解を得ておきましょう。自社の現状や課題、新たな評価制度を導入した背景などを把握してもらうことで、制度変更への協力的な取り組みが期待できます。その反対に、説明不足のまま導入を進めると、従業員が変更に納得できず、不満を感じてしまう可能性があります。

評価にコンピテンシーの視点を取り入れる

「コンピテンシー」とは、パフォーマンスの高い人材に共通する行動特性のことを意味します。近年は、人事評価にコンピテンシーの視点を取り入れる企業が多くなり、注目されています。たとえば、一般的にコンピテンシーとして知られる「対人交渉能力」「意思決定能力」「ストレスマネジメント」などを評価項目に取り入れると、成果につながる行動を適切に評価することが可能です。

複数の評価制度を使い分ける

相対評価に限らず、自社の課題に合わせて複数の評価制度を使い分けることがポイントです。たとえば、営業職のような数値目標を設定しやすい職種では絶対評価を用いるといったように、部署や職種ごとに最適な評価方法を採用することが望ましいでしょう。このほかに、一次評価では絶対評価を行い、二次評価で相対評価を行うことも一つの手です。

人事評価で相対評価が用いられる主な場面

最後に、人事評価で相対評価が用いられる主な場面の具体例をご紹介します。人事評価制度の改善へ向けて、人事部門の方はぜひ参考にしてみてください。

給与の支給額を決める

従業員の給与の支給額を決める場面では、予算を適切に管理する観点から、一般的に相対評価が適していると考えられています。前述したとおり、相対評価では組織内でバランス良くランク分けが行われるので、予算の範囲でランクごとの支給額を調整することが可能です。同様の理由から、社内の役職を決定する際に相対評価が用いられるケースも見られます。

従業員同士の競争を促す

従業員同士の競争を促す場面で相対評価を取り入れる活用方法もあります。相対評価における順位づけは、従業員のモチベーションアップにつながります。競争力を高めるため自主的にスキルアップをめざす従業員が社内に増えれば、人材育成の観点でも効果的です。常に自分と周囲を比較しながら、従業員同士が刺激を与え合う職場環境を醸成できます。

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相対評価を導入して公平で納得感のある人事評価を実現しましょう!

ここまで、人事評価における相対評価の基礎知識や、導入のメリット・デメリット、具体的な活用場面などを解説しました。相対評価を採用すると、評価者ごとのばらつきが抑えられるため、公平な評価がしやすくなります。また、従業員同士の競争が活発になることで、スキルやモチベーションの向上につながる可能性があるでしょう。その一方で、個人の成長の評価がしにくい点や、場合によってはモチベーションやチームワークの低下を招くおそれがある点に留意する必要があります。自社に適した人事評価制度の選定でお悩みの際は、外部の専門家によるコンサルティングを活用することも一つの手です。NTT ExCパートナーでは、人事部門の方々をサポートする各種ソリューションをご用意しています。

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カオナビは、企業の人事戦略を支援し、組織の成長と発展に貢献するタレントマネジメントシステムです。戦略的な人員配置や育成計画をサポートします。単なるシステムによる情報管理とは一線を画し、高度な可視化機能や分析機能によって、人材のポテンシャルを最大限に引き出します。導入前後のサポートが手厚いため、はじめてシステムを活用する場合でも安心です。

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