スキル可視化とは?目的やメリット、手順を解説

  • タレントマネジメント
  • 評価制度
  • 組織開発

「社員のスキルや能力を把握しきれていない」
「育成計画が属人化している」
といった課題をお持ちの人事担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
「スキル可視化」は、これらの課題を解決し、戦略的な人材配置や育成を実現するための重要な手段です。
しかし、スキル可視化を進めたいと思っても、「何から手をつけてよいかわからない」「具体的なメリットがイメージできない」という方も少なくありません。
特に、変化の激しい現代のビジネス環境において、企業が競争力を維持するためには、社員の持つスキルを正確に把握し、事業戦略に沿った形で活用・育成していくことが急務となっています。

この記事では、スキル可視化の目的やメリット、そして具体的な手順をわかりやすく解説いたします。

  • 資料「スキル管理を行う3つの方法 確認すべき項目とポイントを解説」のキャプチャー画像

    スキルアップの取組みポイントの1つである”スキル管理”に焦点をあて、スキル管理の方法や特徴、また、成功のためのポイントなどをご紹介します。

  • タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションのサムネ画像

    在籍社員のスキル情報等を一元化・可視化することで、現場に眠る人財発掘、スキルギャップを埋める人材育成、最適配置を実現。 NTTExCパートナーでは、カオナビに蓄積された人材データに基づき、人材育成体系を策定し、各種人材育成ソリューションまでワンストップでご提供いたします。

スキル可視化とは

スキル可視化とは、企業や組織に所属する従業員一人ひとりが持つ知識、技能、経験、資格などを明確にし、誰もが把握できる状態にすることをさします。
単に「できること」をリストアップするだけでなく、そのスキルの習熟度やレベルまで含めて客観的なデータとして把握・管理することがポイントです。

従来、従業員のスキルや能力は、OJTを担当する上司や、業務を直接見ている現場の管理者にのみ、感覚的・属人的に把握されていることが少なくありませんでした。
しかし、この状態では、全社的な人材戦略を立てたり、公平な人事評価を行ったりすることが困難になります。

そこで、スキルを可視化することによって、従業員がどのようなスキルを持ち、どの業務に適性があるのかが客観的なデータとして明確になります。
そのため、組織の現状の能力を正確に把握でき、事業戦略の実現に必要なスキルとのギャップを特定することが可能になるのです。

スキル可視化の目的・メリット

スキルを可視化する目的やメリットは、次のとおりです。

人材採用・育成の効率化

スキルが可視化されると、組織全体で不足しているスキルや、将来的に必要となるスキルが明確になります。

その結果、以下の点で効率化を図ることができます。

採用活動の効率化

不足しているスキルや経験をピンポイントで特定できるため、採用ターゲットを明確に設定できます。

これにより、入社後に必要な教育や研修の内容も具体化できるため、ミスマッチの少ない採用につながります。

人材育成の効率化

従業員個人の現在のスキルレベルと、めざすべき目標レベルとのギャップが一目でわかるため、個々人に最適化された研修プログラムやOJTを計画できます。

全社的にスキルアップが急務な領域に対して、集中的なリソース(予算、時間)を投下できるため、投資対効果を高めることが可能です。

このように、スキルが「見える化」されることで、感覚や経験則に頼っていた採用や育成計画にデータという客観的な根拠が加わり、より戦略的かつ効率的なアプローチが可能になります。

適切な人材配置

スキル可視化がタレントマネジメントの基盤となり、次の2点を実現できます。

適材適所の人材配置

個々の従業員が持つ潜在的な能力やスキル、さらにはキャリア志向までを把握することで、その能力が最大限に発揮できる部署やプロジェクトへ適切に配置できます。

特に、新規事業立ち上げや部門横断型のプロジェクトなどにおいて、必要なスキルを持つメンバーを迅速かつもれなく選出するために非常に有効です。

業務の標準化と属人化の解消

特定の従業員のみが持つ高度なスキルやノウハウを可視化することで、そのスキルが組織内でブラックボックス化することを防ぐことができます。

その結果、ノウハウを共有・標準化するためのマニュアル作成や研修の必要性が明確になり、業務の属人化解消、ひいては組織リスクの低減につながります。

異動や退職が発生した場合でも、後任者が必要とするスキルレベルが明確なため、引き継ぎや採用活動をスムーズに進めることが可能です。

適切な人材配置は、従業員のパフォーマンス向上に直結し、組織全体の生産性向上に大きく貢献するのです。

人事評価の公平性担保

人事評価に対する公平性や透明性の欠如は、従業員の不満や離職の原因となることがあります。
スキルを可視化できると、この評価制度の課題解決につながります。

評価基準の明確化

評価の基準となる「スキル項目」と「達成度合い(評価基準)」が全従業員に共有されるため、「何ができれば評価されるのか」が明確になります。

この結果、評価者が経験や印象ではなく、客観的なスキルデータにもとづいて評価が決定されるため、評価のブレや属人性を抑制できます。

従業員の納得感の向上

評価結果やフィードバックが、具体的なスキルレベルのデータにもとづいて行われるため、評価される側も結果を納得して受け入れやすくなります。

また、評価の過程が透明化されることで、評価制度全体の信頼性が高まり、エンゲージメントの強化にもつながります。

このように、評価制度において公平性が担保されることで、従業員が安心して働ける環境を実現できます。
その結果、組織の健全な成長につながります。

従業員のモチベーション維持

スキルを可視化することで、従業員自身のキャリア形成に対する意識を高めることができます。
スキル可視化は、モチベーションの向上・維持にも貢献します。

成長実感の提供

現在地(現状のスキルレベル)と目的地(目標とするスキルレベル)が明確になることで、「日々の業務が自身の成長につながっている」という実感を得やすくなります。

特に、スキルマップなどで自身の成長過程が視覚的に確認できると、次なる目標設定への意欲を促すことができます。

キャリアパスの明確化

従業員は、昇進や異動に必要なスキルを事前に把握できるため、自身のキャリアパスを具体的に描きやすくなります。

企業側も、従業員の持つスキルとキャリア志向をデータで把握できるため、意向に沿った業務のアサインや育成機会を提供しやすくなり、結果として離職率の減少にもつながります。

  • 資料「スキル管理を行う3つの方法 確認すべき項目とポイントを解説」のキャプチャー画像

    スキルアップの取組みポイントの1つである”スキル管理”に焦点をあて、スキル管理の方法や特徴、また、成功のためのポイントなどをご紹介します。

  • タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションのサムネ画像

    在籍社員のスキル情報等を一元化・可視化することで、現場に眠る人財発掘、スキルギャップを埋める人材育成、最適配置を実現。 NTTExCパートナーでは、カオナビに蓄積された人材データに基づき、人材育成体系を策定し、各種人材育成ソリューションまでワンストップでご提供いたします。

スキル可視化の手順

スキル可視化を成功させるためには、計画的かつ段階的なステップを踏むことが大切です。
ここでは、その具体的な手順を解説します。

スキル可視化の目的の明確化

まずは「何のためにスキルを可視化するのか」という目的を明確に定義しましょう。
目的が曖昧なまま進めると、単なるデータ収集で終わってしまい、時間と労力が十分に活かされない可能性があります。

たとえば、

  • 「営業部門の生産性向上」
  • 「次世代リーダー候補の早期発掘」
  • 「新規事業に必要な技術スキルギャップの特定」

といった具体的な目的を設定します。

この目的を人事部門だけでなく、経営層や現場の管理者と共有することで、後続のプロセス(「スキルの洗い出し」や「評価基準の設定」)が一貫したものとなり、プロジェクトの成功率が高まります。

スキルの洗い出し

目的が定まったら、評価の対象となるスキルを洗い出します。

まず、職種、役職、部署ごとに、成果を出すために具体的に必要な知識、技術、経験(コンピテンシー)をリストアップしましょう。
この時、現場の管理職や優秀な社員へのヒアリングを実施し、実務で本当に求められるスキルを見落とさないことが大切です。

さらに、コミュニケーション能力や、問題解決能力、リーダーシップといった、職種を問わず求められるポータブルスキル(汎用スキル)についても洗い出しの対象に含めることで、より多角的な人材評価が可能になるでしょう。

この段階で洗い出しが不十分だと、後の評価基準設定や運用フェーズで迷いが生じるため、時間をかけて丁寧に行う必要があります。

評価対象のスキル項目設定

洗い出したスキルの中から、実際に評価の対象とする項目を設定します。

この際、項目の数が多すぎると評価者・被評価者双方の負担が増大するため、目的達成のために最も重要な要素に絞り込むことが重要です。

カテゴリは、「専門スキル」「ビジネススキル」「マネジメントスキル」といった大項目で分類し、整理しましょう。

さらに、粒度の調整を行います。
項目が抽象的すぎると評価が難しくなるため、「○○に関する知識(レベルA)」や「○○ツールを使用できる」といった、具体的な行動や成果に結びつくような粒度に設定します。

評価基準の設定

スキル項目ごとに、その達成度合いを測るための明確な評価基準を設定しましょう。
この基準こそが、評価の公平性を担保する鍵となります。

評価基準として「段階的評価」を導入するのがおすすめです。
たとえば、「レベル1:基礎知識がある」「レベル3:指示なくひとりで業務遂行できる」「レベル5:後輩の指導ができる」のように、段階的な指標(グレード)を設定します。

さらに、各グレードについて、具体的な行動や実績を記述し、「どの行動ができたらそのレベルに該当するか」を明確にしましょう。
こうすることで、評価者の主観を排除でき、客観的な評価を実現できます。

従業員への周知

設定したスキル項目や評価基準は、全従業員に対して丁寧に説明し、周知徹底しましょう。
なぜこのスキルが評価されるのか、この取組みが自身のキャリアにどう影響するのか、といった背景や目的を明確に伝えます。
評価基準そのものを公開し、評価制度の透明性を高めることが、従業員の納得感向上につながります。

さらに、特に評価を行う管理職に対しては、評価基準の解釈や、客観的なフィードバックの仕方に関するトレーニングを実施しましょう。
これにより、評価結果の均質化を図ります。

データ管理・運用のルール設定

スキルデータをどのように収集、記録、更新していくかという運用ルールを明確にします。
具体的には、次の3点が重要です。

更新頻度の設定

年に一度の人事評価時だけでなく、たとえば、プロジェクト完了時や研修受講後など、スキルが変化したタイミングで随時データを更新するルールを設定しましょう。

責任者の明確化

スキルデータの入力、承認、更新の責任者を、部署ごと、または人事部門内で明確にしましょう。

利用目的の制限

収集したデータが、どのような目的にのみ使用されるのかを明文化し、従業員のプライバシー保護と信頼確保に努めましょう。

運用開始

設定したルールに従い、実際にスキル評価とデータ管理の運用を開始します。
運用開始後も、継続的な改善が重要です。

定期的な見直しを行う

事業環境や戦略の変化に伴い、求められるスキルも変わるため、スキル項目や評価基準が現状に合っているかを定期的にチェックし、必要に応じて改訂しましょう。

フィードバック体制の構築

評価結果を単なるデータとして蓄積するだけでなく、個人面談や育成計画へ活用するためのフィードバックの仕組みを構築しましょう。

スキル可視化の方法

スキル可視化を実践するための具体的なツールや手法には、主に「スキルマップの作成」と「システム活用」の2つがあります。

スキルマップの作成

スキルマップとは、部署やチームの従業員が持つスキル項目を一覧にした表のことです。
縦軸に「従業員名」、横軸に「スキル項目」を配置し、各項目の習熟度を色や数字で記入していきます。

スキルマップのメリット

スキルマップを作成することで、特定のチームやプロジェクト単位で、必要なスキルが充足しているか否かを視覚的に把握しやすくなります。
また、Excelなどで比較的、容易に作成でき、導入コストが低い点もメリットです。

スキルマップのデメリット

従業員数が多くなると管理が煩雑になり、データの更新負荷が高い点はスキルマップのデメリットといえます。

また、評価基準が曖昧になりやすく、客観的なデータ分析や、タレントマネジメントシステムとの連携が難しい面もあります。

スキル管理機能を備えたシステムの活用

スキル管理機能を持つタレントマネジメントシステムや人事管理システムを活用する方法もおすすめです。

スキル管理機能を備えたシステムを活用するメリット

従業員による自己評価や、上司による他者評価のデータ入力、集計、分析が自動化されるため、人事部門や現場の負荷を大幅に軽減できます。

また、スキルデータと人事データ(異動履歴、評価、研修受講履歴など)を一元管理できるため、より高度な人材戦略やタレントマネジメントに活用できます。

さらにリアルタイムでのデータ更新や、必要な人材の検索が容易になるため、戦略的な人材配置を迅速に行えるようになる点もメリットです。

スキル管理機能を備えたシステムを活用するデメリット

システム導入は効率的ですが、初期費用や継続的な運用コストが発生します。
また、システム選定から定着までに時間を要するため、中長期的な導入計画が必要です。

まとめ

スキル可視化は、現代の企業にとって不可欠な取組みであり、「人材採用・育成の効率化」「適切な人材配置」「人事評価の公平性担保」「従業員のモチベーション維持」といった多岐にわたるメリットをもたらします。

成功の鍵は、「目的の明確化」「客観的な評価基準の設定」「システムの活用による運用負荷の軽減」の3点です。
特に、従業員数が多い中堅以上の企業では、Excel等での手作業管理では次第に対応しきれなくなることがあります。そんな時は、持続的な運用と戦略的な活用を実現するための手段として、タレントマネジメントシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

たとえば、NTT ExCパートナーの「カオナビ×人材育成ソリューション」は、システムとノウハウの両面から、企業のスキル可視化と戦略的な人材マネジメントを強力に推進します。

スキル可視化を単なるデータ管理で終わらせず、企業の成長に直結する人材育成と戦略的な人材マネジメントにつなげるためには、適切なシステムの導入と、それを活用するための専門的なノウハウが不可欠です。

「カオナビ×人材育成ソリューション」は、この課題を解決するため、人材データの管理基盤の構築から、それにもとづく人材育成体系の策定、ソリューション提供までを一貫してサポートします。

  • 資料「スキル管理を行う3つの方法 確認すべき項目とポイントを解説」のキャプチャー画像

    スキルアップの取組みポイントの1つである”スキル管理”に焦点をあて、スキル管理の方法や特徴、また、成功のためのポイントなどをご紹介します。

  • タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションのサムネ画像

    在籍社員のスキル情報等を一元化・可視化することで、現場に眠る人財発掘、スキルギャップを埋める人材育成、最適配置を実現。 NTTExCパートナーでは、カオナビに蓄積された人材データに基づき、人材育成体系を策定し、各種人材育成ソリューションまでワンストップでご提供いたします。

関連事例

CASE STUDY

NTTグループの人事制度と「NTT Group Job Board」の活用

  • IT・情報通信
  • 1,001人~
  • 働き方
  • 組織開発
  • 生産性向上
  • DX

NTTグループの人事制度の特徴や、自律的にキャリアを検討・実現していくため考え方、仕組みをご紹介いただきます。

ExCの強み

  • NTTグループの技術力を活用した
    先端ソリューション

    • NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現

  • 人事・総務の各領域に精通した
    プロフェッショナルが伴走

    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

    施策効果の振り返りまでを
    実施して改善サイクルを実現

    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

30年以上のご支援で
培われたノウハウで
800社以上の企業での
導入実績