交通インフラ企業

DX人材育成を“自社の力で”――アドバイザリー×伴走支援で実現した内製化の仕組み

  • 建設・製造・運輸
  • 1,001人~
  • 社内トレーニング
  • 学習支援
  • DX

株式会社NTT ExCパートナー ラーニングソリューション事業部 ビジネス開発営業部門 営業担当 栗田 佳奈

DX基本方針の策定から支援するDX人材育成研修
交通インフラ企業

業界・業種建設・製造・運輸

従業員1001人~

交通インフラをはじめとする多角的な事業を展開する企業。人材育成においては、階層別研修や自律的キャリア形成支援を重視し、社員の主体性と成長を促す風土が根付いている。

「社内でDXを加速するための研修を実施したけれど、現場の行動が変わらない…」
「専門家(外部コンサル)に頼りすぎて、自社にノウハウが溜まらない…」
そんな課題を抱える企業は少なくありません。

今回ご紹介するのは、自社のDX推進について、社員育成の切り口で組織横断的に取組んだ事例です。登場するのは、事業を多角的に運営する交通インフラ企業。さまざまな事業組織、グループ会社の統廃合を繰り返すなかで、当社がDX推進の取組みに伴走し「現場で活きる・現場が変わるDXでの“課題解決”」を実現。
また、“自社による自社しかできないDXとは何か”を全社目線で考え、DX人材を育成し“専門家に頼りきらないDX”を具現化しました。その支援を行ったNTT ExCパートナーの栗田が、方針策定から研修設計・内製化支援、そして成果までを振り返ります。

本事例のポイント

DX推進を支える全社共通の視点・言語づくり


頻繁な組織改編や統廃合で「DXの考え方」がバラバラなことに課題を感じていたお客さま。本施策において、「DXによりどのような変化をめざすのか」を何度もお客さまとディスカッション、整理をしました。結果的に、全社のDX推進のコンパスともなる方針が作成され、人材育成計画を検討・推進するための土台が整いました。

専門家に頼りきらない持続可能な社員の成長を実現


社内にしっかりとノウハウを溜め、専門家が離れても持続可能な組織と社員の成長を本施策内でめざしました。DX人材の育成だけではなく、「DX人材を育てられる人材」の育成も行うため、研修期間中から受講者に伴走するチューターを育てる仕組みを取り入れました。 これにより、 研修後も学びと実践が継続する体制を確立しました。

わずか3ヶ月で受講者の8割が業務改善を実現「人が動くDX」が始動


たった1回の研修で人が変わることは難しい、そう言われますが、本施策では、受講生の約8割が業務改善を実現しました!全社共通となったDX方針から考えたマインド醸成研修と、チューターによる日常的な伴走支援により、現場で成果が生まれる取組みが短期間で動き出しました。

第1章 背景・課題――DX化が進まなかった本当の理由

“DX方針のズレ・ブレ”がDX推進を停滞させていた現実

――お客さまが抱えていた課題はどのようなものでしたか

お客さまは、事業計画上、中長期的な大規模プロジェクトを見据えており、DX推進が急務でした。しかし、グループ再編や事業統合を繰り返すなかで、多様な文化や価値観を持つ組織や人が混在し、DXの方向性も統一されていませんでした。DXの捉え方もそれぞれで異なり、ある部門では「ツール導入」、他の部門では「業務効率化」をさす、といった状況でした。
各組織、各人が別々の方向を向いて進もうとしていたことで、“DX推進”という、そもそもの考え方にもズレ・ブレが生じ、現場の意見や施策が噛み合わない状態に陥っていました。一方で、中長期の大規模プロジェクトのスタートが迫るなか、生産性向上のための業務改善と、新たなアイデアによる付加価値向上が求められ、DX推進は待ったなしの状況となっていました。

現場で起きていた“研修の形骸化”

――他にはどんな課題があったのでしょうか

お客さまはもともと「社外の専門家に頼らず、自分たちでDXを進めたい」という強い想いをお持ちで、社内で多くの研修を独自に企画・運営するなど、多くの取組みを実施されていました。しかし、研修時に最も重要な「なぜこの研修を受けるのか」「業務との関係」「受講生の役割」など、目的理解や主体的な関わりへのアプローチが定められておらず、研修が形骸化している状況でした。その結果、研修の学びを職場で実践することができたのは、一部の自律的な社員に限られていたのです。経営幹部からも「育成しても現場が変わらない」という声が上がっており、知識は増えても、組織全体として変わらないというジレンマが生じていました。
このように、“企業戦略とDX方針の整合・標準化”と“人材開発のミッションと実践プロセス”という2つの課題が連鎖していたのが当時の実態でした。

第2章 提案・設計――DXを進め、社内に“根づかせる”仕組みづくり

【提案】まずは“全社のコンパス”となるDX方針づくりから

――第1章で挙げられた課題に対して、どのような支援を行ったのでしょうか

DX推進を本質的に機能させるには、育成などの施策を行うよりも先に、全社共通のDXの目的を定めることが不可欠と考えました。そこでわたしたちは、「DX方針」づくりそのものの支援からスタートしました。
お客さまは、既存のDX基本方針について、部署ごとの認識のズレから「この方針で本当に良いのか」という不安を抱えていらっしゃいました。そこで、「現場の社員」「マネジメント層」「NTT ExCパートナーの講師兼コンサルタント」を交えた全4回のヒアリング/ディスカッションを実施し、「DXで実現したい姿」「誰にどんな行動変革を起こしたいか」を丁寧に言語化していきました。

各回で得られた示唆や修正点を次回に反映しながら、地道な調整を重ね、最終的に経営幹部の承認を得られる水準まで完成度を高めたDX方針を、お客さまと共に策定しました。その結果、全社で「DXによりどんな変化をめざすのか」という共通認識を作ることができ、DX人材育成の計画を立てるうえでの基盤・土台を形成するに至りました。これにより、その方針達成に必要な人材を育成するための、研修とチューター制度を設計することにもつながったのです。

【設計】マインド醸成とチューター制度による内製化支援

ステップ① マインド醸成――「なぜDXを学ぶのか」を共有する

――策定したDX方針は研修設計にどのように関わっているのですか

策定したDX方針は、単なる文書ではなく“学びの共通言語”として研修設計にも活用しました。研修は約3か月間で、①DX基礎研修(課題特定とアクションプランの策定)⇒②職場実践⇒③成果発表会という形で進みます。

施策全体像(イメージ)①DX基礎研修 ②職場実践 ③成果発表会
  • 塗りつぶし部分が弊社実施範囲

  • チューターが受講生支援をしながら、実は講師がバックについてフォローしているという全体像で設計。

まず、この3か月間の研修の最初①DX基礎研修(課題特定とアクションプランの策定)の段階で、DX方針をもとに、研修を経て「自分たちはどんな変化をめざすのか」、「DXを自分の業務にどう結びつけるのか」を全員で共有するというマインドセットを行いました。これにより、受講者に研修の意義を腹落ちさせ、モチベーション高く取組む土台ができたのです。
「目的が明確だから最後までやり切れた」、「途中で軌道修正が必要な時も、いち早く目的とのズレに気づき、修正できた」という声も多く、このマインドセットが3か月間の実践全体を支えるエンジンになったと思います。

ステップ② チューター制度――“教える人を育てる”内製支援モデル

――チューター制度を取り入れた理由を教えてください

研修後の受講者の行動変化は一時的なものになりがち、職場で自律的に継続させる仕組みがなければ、変化は根づきません
そこで、単発の研修にとどまらず、研修から職場実践、さらに成果発表までを一連のプロセスとして設計しました。加えて、受講者の職場実践を支援する伴走者として「チューター」を任命し、進捗や課題を日常的にフォローする仕組みを導入しました。

重要なのは、チューターはあくまで社員(お客さま)である、ということです。DXの知識を持っていても、一朝一夕に受講者のサポートができるようにはならないため、チューター育成の支援も行いました。NTT ExCパートナーの講師がチューターに対して、状況のヒアリングを行いながら「どんな支援が効果的か」について丁寧なフィードバックを提供し、チューター同士が情報交換を行える機会も設けました。

その結果、チューター自身は受講者を支援する過程で学びを深め、受講者はチューターの支援を受けながら職場実践を通じてスキルを定着させ、経験を積んだ受講者が次世代のチューターへと成長していく循環が生まれました。さらに、その循環のなかで受講者・チューター・OB・OGのつながりが創出されることで、成長を促し合う持続可能なコミュニティと風土が形成されていきました。

DXはICT専門家の領域と思われがちですが、実際の成功要因は「専門家に頼らず、自社の中で人を育て続ける文化」にあります。外部に任せっきりにするのではなく、自分たちで再現できるよう設計し定着化まで伴走支援する。それこそが、わたしたちがめざした“持続可能なDX育成”のあり方です。

第3章 成果と変化――“人が動くDX”が成果を生んだ

――取組みの成果を教えてください

こうして、DX方針を共有し、学びを支える「社内DXチューター制度」を構築したことで、現場では“人が動き、成果を求めるDX”の兆しが見え始めました。
3か月後の成果発表会では、受講者が自ら設定した業務課題をDXで解決した事例が次々と具体的に発表されました。たとえば、「電話対応を完全デジタル化して業務効率を大幅に改善」したり、「Excel集計をkintoneに移行し、作業時間を1週間からわずか1.5時間に短縮」したりしたケースなどです。
これらの成果がたった3か月という短期間で生まれたのは、現場起点の課題設定と、チューターによる日常的な支援があったからこそ。研修で得た知識をすぐに業務へ当てはめ、小さな成功体験を積み重ねる――この繰り返しが大きな変化を生み出しました。

施策の結果として、受講者の約8割が「業務課題をDXで解決できた」という実感が得られました。成果発表会には受講者の上長をはじめ、グループ各社の取締役も参加され、当初の想定を上回る大規模な会となったのですが、「現場がここまで変わるとは思わなかった」、「この動きを他部門にも広げたい」といった声が多く寄せられ、社員主導の変革が経営層にとっても刺激になったと好評いただきました。
発表会後も、チューターや受講者が自主的に勉強会を立ち上げ、学びの循環が組織内で回り始め、DXの部署を立ち上げたグループ会社も生まれたほどで、DXが“現場の文化”として根づく兆しが見えただけでなく、自ら変革を起こす力も培われたと感じています。

今回の成果は、単なる成功事例にとどまらず、方針・マインド・仕組みが連動すれば“DXは文化として定着する”ことを証明する結果でもありました。

第4章 今後に向けて――理想像から逆算する育成を

――今回の取組みを通じて、営業担当者として他のお客さまへの支援に生かせる点や、一番強く感じたことは何ですか

現場で成果が生まれた背景には、単なる施策の積み重ねではなく、方針・マインド・仕組みが連動した設計思想がありました。単発の研修やツール導入だけでは成果は一時的なものになりがちです。「理想の姿から逆算して設計し、現場実践までを一貫して支援すること」それが、真の意味での「DX人材育成」だと実感しました。
また、施策後にお客さまのなかに何を残すのか、を考え設計する“共創”のプロセスが、信頼関係と成果の両方を生むのだと改めて感じています。

  • 文中に記載の企業名・組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2025年10月時点(インタビュー時点)のものです。

VOICE

株式会社NTT ExCパートナー
ラーニングソリューション事業部 ビジネス開発営業部門 営業担当 栗田 佳奈

DX人材育成は「知識を教える」ことではなく、現場が自ら考え、動ける状態をつくることが目的です。もし今、DX推進がうまく進んでいない、あるいは研修が成果につながっていないと感じているなら、まずは理想の姿から逆算した育成設計を一緒に描いてみませんか。 NTT ExCパートナーは、DX方針づくりから現場の実践・内製化支援までを一貫して伴走し、その理想像をともに描き、実現へ導くパートナーであり続けたいと考えています。

ExCの強み

  • NTTグループの技術力を活用した
    先端ソリューション

    • NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現

  • 人事・総務の各領域に精通した
    プロフェッショナルが伴走

    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

    施策効果の振り返りまでを
    実施して改善サイクルを実現

    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

30年以上のご支援で
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800社以上の企業での
導入実績