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パーパスを「会社の話」で終わらせない―パーパス浸透の鍵となる「自分ごと化」を促す研修設計とは

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パーパス浸透を進めるため、自分ごと化を促すワークショップを実施。また、研修導線を一元設計し、大規模展開でも理解のばらつきを抑えることで、組織全体の共通認識形成につなげた事例です。

パーパスを策定したものの、
「説明や研修は行っているが、現場の行動は以前と変わらない」 
「パーパスは自分の仕事には関係ないと感じている社員もいる」
と、社員へのパーパス浸透に難しさを感じる企業は少なくありません。

パーパスは、掲げただけでは現場に根づかず、社員にとって「会社が決めた方針」という理解にとどまってしまうと、日々の判断や行動には結びつきにくいものです。その結果「パーパスは理解されているはずなのに活用されない」という状態が生まれてしまいます。

そこで重要になるのが、社員一人ひとりがパーパスを“自分の文脈”で捉え直し、実際の行動に落とし込める状態をつくること、すなわち「自分ごと化」です。

本記事では、パーパスの自分ごと化に取組んだ企業の事例をご紹介します。現場に抵抗感を生まずにパーパスを浸透させるには何が有効だったのか。本案件を担当した営業担当へのインタビューをもとに、効果的だった研修設計のポイントを整理します。

本事例のポイント

パーパス浸透を進める鍵は「自分ごと化」― 行動変容へとつなげる研修


パーパス浸透においては、社員一人ひとりがパーパスを認識するだけでは十分ではありません。パーパスを「知っている状態」から、「自分の言葉で意味づけし、行動に結びつけられる状態」へと移行させる研修を行い、パーパス定着に向けた土台を形成しました。

自然な納得感を生む、パーパス自分ごと化ワークショップ


自分ごと化に向けたアプローチとして、日々の業務が生む価値を起点にパーパスとの接点を整理する方法を採用しました。パーパスを「上位概念」ではなく「自分の仕事の延長線上にあるもの」として捉えられる状態を実現しました。

数千名規模でも、理解の質を揃える研修設計


管理職・一般社員それぞれの役割特性に応じたワークショップ設計、全社員が同じ思考プロセスをたどれる研修導線によって、全社員の理解度を高めていきました。

「パーパスを自分ごと化させる方法を考えたい」

――お客さまからご相談いただいた背景を教えてください。

お客さまは、時代の変化に合わせて事業や制度の見直しを継続的に進めるなかで、組織や働き方が多様化し、社員一人ひとりが置かれる状況や役割も大きく異なるようになっていました。そこで、変化のなかでも共通の拠り所となる価値観や判断軸を改めて明確にするため、企業としての存在意義を見つめ直し、パーパスを再定義しました。

再定義したパーパスを全社員へ浸透させるにあたり、お客さまが重視したのは「自分ごと化」です。「パーパスを“知っている”状態にとどめず、社員一人ひとりが自分ごととして捉え直し、日々の判断や行動に落とし込める状態をつくる。そのために、どのような研修が有効か」というご相談をいただきました。

 

パーパスを“押し付けられる言葉”にしない― 業務起点ワークショップ

――お客さまからの相談を受けて、どのような提案を行ったのですか?

社員が無理なくパーパスを自分ごと化できるよう、「社員が日々向き合っている業務が生む価値」を起点に、パーパスと自分の接点を整理していく構成の研修をご提案しました。具体的な研修の流れは下記のとおりです。

――ワークショップの設計で工夫したポイントを教えてください。

設計で特に意識したのは、受講者がパーパスを押し付けられていると感じない設計にすることでした。

パーパスの自分ごと化には、「個人の価値観」を起点にパーパスと自分の接点を見つけるアプローチもあります。ただし、大規模に実施する場合や、普段関わりの少ないメンバーと対話する場合には、プライベートな価値観を語ることへの抵抗感が生じやすく、また、考える時間やフォローが十分でないと「パーパスと自分の価値観を無理に一致させている」と感じられてしまう可能性があります。

そこで前述のとおり、今回は思考の起点を、受講者にとって最も具体的で語りやすい「日々の業務が生む価値」に置きました。具体的には、ワークの順序を次のように設計しています。

業務の棚卸し(step1)→ 業務が生む価値の言語化(step2)→ 業務の価値とパーパスとの接点整理(step3)

この順番にすることで、パーパスが「上から降りてくる抽象的な言葉」ではなく、受講者自身が“自分の仕事の延長線上にあるもの”として捉え直し、つながりに気づける状態を狙いました。

続くグループワーク(step4)では、自らの気づきを共有し、他者の視点に触れる機会を設けました。「日々の業務が生む価値」を起点にすることで対話が起こりやすく、理解の広がりや新たな気づきにつながることを期待しています。

最後に、“理解で終わらせない”ために、「行動へ落とし込む」プロセスも重視しました。受講者が自分の言葉で次の行動を語ることで、「わかった」で終わらず、研修後すぐに実務で活用できる状態までつなげます。

――事前動画作成で工夫したことは何ですか?

事前動画についても、ワークショップにつながる導線になるようシナリオ面で確認・調整を行いました。説明の順番を受講者が理解しやすい形に整え、動画でのインプットと当日のワークの問いや説明が噛み合うように設計しています。

このように、お客さまがめざす姿と現場の特徴の両方をていねいに伺いながら、「どうすれば自然に腹落ちするか」を一緒に考え、細部まで形にしていきました。

役割・特性に合わせた設計で、研修効果を高める

全社員同じ内容ではなく、管理職向けと一般社員向けで研修内容を一部変更したとのことですが、どのような点を変更されたのですか?

管理職は、部門方針や組織課題を踏まえた判断を日常的に行っている一方で、一般社員は「目の前の業務を正確に遂行すること」が優先になりやすく、パーパスを意識する機会が少ないケースもあります。 
その結果、同じ問いを投げかけても、管理職は議論が深まりやすい一方で、一般社員では「どのように考えればよいかわからない」「発言しづらい」といった状態が生じやすくなります。

そこで本施策では、一般社員向けのワークショップにおいて、こうした“考えにくさ”を解消することを重視し、主に次の観点で設計を見直しました。

  • ワークの比重を高める
    研修時間を単純に延ばすのではなく、構成を分単位で調整し、接点を整理するワークの時間を可能な限り確保しました。限られた時間のなかでも、受講者自身が考える時間を十分に取ることを重視しています。
  • 支援体制を厚くする
    サブ講師を配置し、議論が止まりやすい班には講師が適宜介入できる体制を整えました。これにより、迷いや思考の停滞をその場で解消できる環境をつくりました。

こうした設計によって、一般社員でも研修の問い(ワーク)に無理なく向き合える環境を整えました。

大規模展開で起こる「理解度の差」を防ぐ学習体験設計

――数千名規模での展開のなかで、全社員の理解度を高めるために工夫したことを教えてください。

大規模な人数の研修では、クラス単位で段階的に実施するため、どうしても受講タイミングにばらつきが生まれます。このばらつきは単なるスケジュールの違いにとどまりません。全体の設計を十分に行わない場合、受講時期によって学習の流れ・ワークショップの質・フォローの程度に差が生じる可能性があります。
その結果、理解度に差が生まれ、組織内で語られるパーパスの意味や文脈が少しずつズレていくことにもつながります。

今回の研修では、事前動画でパーパスの背景や考え方を理解し、ワークショップのなかで自分の業務とのつながりを考え、さらに行動目標の設定や振り返りを通じて、自分の言葉で整理していく。この一連の思考プロセスを重視していました。

そのため、このプロセスを誰もが迷わずたどれるようにする基盤として、学習管理システム(LMS)を活用しました。動画視聴、資料確認、ワーク、振り返りまでを、LMS上のひとつの研修導線として整理することで、受講タイミングが異なっても、同じプロセスで理解を深められる環境を整えました。

また、LMS上で進捗を確認し、進み方に応じたフォローを行うことで、理解の遅れや解釈のばらつきを抑制しました。

さらに、パーパスを自分ごととして捉えた証となる「行動宣言」を全社員から収集することで、理解の状態を可視化しながら、組織全体としての認識を揃えることにつなげました。

これにより、受講タイミングや所属にかかわらず、全社員一人ひとりが自分なりにパーパスを捉え、日々の業務のなかで意識できる状態の実現をめざしました。

パーパスを「知っている状態」から「行動につながる状態」へ

──実施した結果はいかがでしたか?

ワークショップ実施後のアンケートでは、満足度が8割を超えました。
受講者からは、
「自分の日々の業務がパーパスとつながっていると気づくことができました」 
「パーパスを自分の言葉で捉え直すことができ、業務との関係をより具体的に理解できました」 
「パーパスを意識して、明日からの業務で何を大切にするかを考えることができました」 
「グループメンバーの考え方に触れることで新たな視点を得ることができ、自身の今後の業務に活かそうと思った」
「他拠点・他部門の考え方を知ることで、自分にはなかった視点に気づくことができました」 
など、自分の仕事とパーパスのつながりを整理できた、グループ内での意見交換が新たな気づきにつながったという意見が多く見られました。

今回の研修を通して、パーパスと日々の業務の接点に気づき、行動変容につなげるための土台を形成することができました。一方で、継続的な行動変容や、それを組織文化として定着させるためには、繰り返しの意識づけと実践が不可欠です。
理念を実践へとつなぐ“生きたパーパス経営”の実現に向けて、私たちは今後もお客さまと伴走しながら、社員一人ひとりの意識と行動の変化を継続的に支援していきたいと考えています。

“組織特性に応じた”パーパス浸透施策の重要性

――今回の取組みを通じて、営業担当者としてほかのお客さまへの支援に生かせる点や、一番強く感じたことは何ですか?

本事例から得られる示唆は、パーパス浸透においては「伝え方」だけでなく、「どの視点から自分ごと化するか」の設計が重要であるという点です。
今回、日々の業務の価値を起点とする研修設計を行いましたが、社員の業務特性や組織の前提条件によって、有効なアプローチは異なると考えています。例えば、少人数のチームで心理的安全性が確保された組織では、業務を起点とするよりも、個人の価値観を起点としてパーパスとの接点を見つけることで、より深い共感を生む可能性もあります。
お客さまの課題やめざしたい姿、組織規模、組織文化などを多角的に踏まえ、最適な設計を行うことの重要性を改めて実感しました。

――最後にお客さまへのメッセージをお願いいたします

今回の取組みでは、お客さまが大切にされている想いや背景をていねいに伺いながら、「社員の行動につながる形にどう落とし込むか」を一緒に整理していきました。
パーパス浸透に限らず、「やりたいことはあるが、具体的な設計に落とし込めない」「どこから手を付ければよいかわからない」といったお悩みをお持ちの場合は、ぜひ一度ご相談ください。状況に合わせて、進め方の選択肢をご提案いたします。

  • 文中に記載の企業名・組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2025年12月時点(インタビュー時点)のものです。

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