社員情報管理とは?目的と管理方法、システムのメリット・選び方を解説

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  • 生産性向上

人事業務では、社員のスキルや仕事の評価などに関する膨大な量の情報を取扱います。ただ、これらの情報の管理に手間取っていたり、価値ある情報を十分に活用できていなかったりする企業が少なくありません。現状の情報管理体制を改善して、社員情報を効果的に活用できる状態をめざしましょう。

この記事では、人材管理の課題を解決するために、「社員情報管理」の施策を実践する方法を解説します。具体的な管理方法や、管理業務で役立つ「社員情報管理システム」の選び方までお伝えするため、人事業務のご担当者さまはぜひ参考にしてみてください。

社員情報管理の概要

はじめに、社員情報管理に関する基礎知識を解説します。人事業務のご担当の方は、基本を理解しておきましょう。

社員情報管理とは?

社員情報管理とは、自社の従業員に関するあらゆる情報を適切に管理し、必要に応じて活用することをさします。管理対象となる社員情報は、「社員の基本情報」「社員の能力・保有スキル」「職務内容・実績」などです。管理する情報の具体例について、詳しくは後の見出しでご紹介します。

社員情報管理と個人情報保護法の関係

社員情報管理の施策では、「個人情報保護法」の遵守が不可欠です。社員情報の中には、氏名や生年月日をはじめとした個人のプライバシーにかかわる情報が含まれます。そのため、ご担当者さまは個人情報保護法のルールを守って、社員情報を適切に管理し、必要に応じて活用しなければなりません。

社員情報管理を行う目的

なぜ社内の人材情報の管理や活用が重視されているのでしょうか。社員情報管理の効果を最大化するために、改めて目的から確認してみましょう。

人的資本経営および戦略人事の実現

社員情報管理に取組むことで、人的資本経営や戦略人事を実現できます。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉えて価値を引き出し、中長期的に企業価値を向上させる経営手法です。社員情報の適切な管理は、法律に従って正確な人的資本情報を開示する際に役立ちます。また、適材適所の人材配置によって、自社の人的資本の価値を最大化することが可能です。

戦略人事とは、経営戦略と連動させながら人事戦略を実施することです。社員情報管理は、人材の採用・育成・評価を最適化し、経営目標に沿った人材マネジメントに貢献します。また、自社の未来を担う次世代リーダー層を的確に抜擢する上でも、社員情報の有効活用が不可欠です。

業務効率化によるコスト削減

社員情報管理の一環で定型業務を効率化すると、ご担当者さまの作業時間が大幅に抑えられ、コスト削減につながります。たとえば、情報の入力・集計・検索・分析・共有といった作業をスムーズに行えるようになると、業務のスピードアップが期待できるでしょう。

適切な採用基準の設定

社員情報管理によって自社で活躍する人材のコンピテンシー(=行動特性)を分析することで、求める人材像が明確になり、適切な採用基準を設定できます。採用選考の際に、ご担当の方によって評価基準にばらつきが生じることのないよう最適化するとともに、人材とのミスマッチを防止できます。

離職率の低下

社員情報管理の施策では、社員の適性にもとづいた人員配置を実現できるため、人材が職場に定着しやすくなります。一人ひとりの社員が自分の強みを生かして働けるようになるので、従業員満足度の向上も期待できるでしょう。こうした理由から、離職防止にも有効だと考えられています。

人材育成の強化

社員情報管理に取組むと、社員一人ひとりのスキル・知識のレベルを把握できることはもちろん、社内全体の水準を把握することが可能です。自社に不足するスキルや知識が可視化されると、ギャップを補うために効果的な人材育成の計画を立てられるようになります。

公平な人事評価の実現

社員情報管理によって社員の能力・保有スキル・業績などの情報が可視化されると、評価者の主観に偏ることなく、データにもとづいた客観的な人事評価を実現できます。評価の理由が明確になることで、従業員の納得感が高まり、モチベーションやエンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

適切な労務管理の実現

社員情報管理では、従業員の労働時間などの勤怠データも管理の対象となります。長時間労働をはじめとした労働環境の問題がないか確認し、是正に努めることで適切な労務管理の実現につながります。労務管理業務を強化し、働きやすい職場づくりに貢献することが可能です。

人事や労務の業務効率化

人事や労務に関する情報は、社員のライフイベントや人事異動にともない頻繁に変更が発生するため、現場で対応に手間取ってしまうことが少なくありません。このように煩雑な管理に多くの工数がかかっている場合は、情報の一元化によって業務効率化や生産性向上を実現できます。

法令遵守の徹底

社員情報管理の取組みは、法令遵守(コンプライアンス)の観点でも有効だとされています。現状の情報管理体制を見直して改善を図ることで、「個人情報保護法」などの法律や社内ルールに則って情報を適切に管理できるようになります。

管理する主な社員情報

社員情報管理では、具体的にどのような社員情報が管理の対象となるのでしょうか。社員管理で扱う人事データの具体例をご紹介します。

社員の基本情報

社員一人ひとりを識別・特定するための、人事データの基本となる情報です。個人情報が含まれるため、厳重な管理が求められます。

具体例:氏名、生年月日、住所、顔写真 など

社員の能力・保有スキル

社員の能力・保有スキルなどの業務遂行に関する情報です。今後の人材育成を検討する際に役立てられます。

具体例:資格、業務スキル、職務経験、業界知識 など

職務内容・実績

社員の職歴や入社後の配属部署など、仕事の役割や実績に関する情報です。適切な人材配置の実現に役立てられます。

具体例:職歴、所属部署、異動履歴、役職、実績 など

人事評価

社員が周囲からどのような評価を受けているか、人事評価に関する情報です。社員の今後の成長を予測する際に役立てられます。

具体例:360度評価の結果、目標達成率 など

価値観や志向性

社員が仕事に対してどのような価値観や志向性を持っているかを把握するための情報です。人材育成やキャリア形成の参考になります。

具体例:働き方の志向性、キャリアの志向性、意思決定の傾向 など

勤怠状況

社員の働き方に関する情報です。労働環境に問題がないか、心身に不調がないかを確認できます。

具体例:出退勤時刻、労働時間、欠勤の有無 など

社員情報管理の主な方法

社員情報管理の手法として、「紙や表計算ソフトを利用する方法」や「専用の管理システムを導入する方法」などが挙げられます。ここでは、それぞれの管理方法の仕組みについてお伝えします。

紙や表計算ソフトの利用

紙の書類や表計算ソフトのテンプレートを使って管理する方法です。紙で管理する場合は保管場所の確保が必要となり、管理作業が煩雑になりやすいことがデメリットだといえるでしょう。また、表計算ソフトで管理する場合の注意点として、情報更新が手作業となりリアルタイムでデータを参照できない点が挙げられます。

専用の管理システムの導入

社員情報管理に特化した、専用の「社員情報管理システム」を導入する方法です。システム上で情報のデータ化・収集・分析が可能となります。また、入力支援や自動化などの便利な機能が充実しているため、人事業務のご担当者さまの業務負担の軽減につながります。人材管理の課題解決をめざす場合は、専用システムを導入する方法がおすすめです。

紙や表計算ソフトと比較した「社員情報管理システム」導入のメリット

人事業務に特化した「社員情報管理システム」は、紙や表計算ソフトと比較して、業務効率化やデータ活用に強みを持っていることが特徴です。ここでは、社員情報管理システムの導入メリットをご紹介します。

情報管理を効率化しやすい

社員情報管理システムは、システム上に情報を集約して一元管理できるため、大量のデータを効率的に管理したいケースに適しています。特に、社員数が多い場合は管理するデータ量が増えるので、表計算ソフトではファイルの動作が重くなりやすいことに留意しておきましょう。

社員情報を分析しやすい

社員情報管理システムには高度な分析レポートの機能が搭載されているため、組織の現状を迅速に把握することが可能です。さらに、タレントマネジメントシステムとの連携によって、戦略的な人材配置や評価制度の改善を実現できます。一方、紙や表計算ソフトで管理する場合は、専用システムのように高度な分析を実施することは難しいといえます。

社員の能力やスキル、職務経験を可視化しやすい

社員情報管理システムにデータを集約すると、社員の能力・スキル・職務経験の全体像が明確になります。分析機能を活用すれば、社員の不足スキルを踏まえた能力開発や、保有スキルの有効活用が期待できるでしょう。システム化によって適材適所の人材配置や人材戦略を実現できます。

情報をリアルタイムで更新・共有しやすい

専用システムに登録した情報はその場でデータベースに反映されるため、利用者はリアルタイムで最新のデータを確認することが可能です。たとえば、人事異動で社員の所属部署に変更があった場合も、登録後は即座に正確な情報を閲覧できる状態になります。それに対して、表計算ソフトでは更新時に複数のファイルで修正作業が発生する場合があり、更新漏れやバージョンの混在などが懸念されます。

手作業によるミス(ヒューマンエラー)が起こりにくい

専用システムには、プルダウンリストやチェックボックスなど入力支援の機能が搭載されているため、情報を手書き・手入力する場合と比べて人的ミスが起こりにくいといえます。また、紙で管理する場合のように書類を物理的に紛失したり、誤って破棄したりするリスクを回避できるでしょう。

各種手続きの手間を削減しやすい

専用システムで情報を電子化すると、紙の書類や資料が不要となり、人事業務のペーパーレス化を推進できます。クラウド型のシステムなら、ご担当者さまがオンラインからアクセスできるため、テレワークにも対応可能です。紙で申請や承認を行う場合よりも、手続きの手間を削減できます。

セキュリティを強化させやすい

社員情報管理では、社員の勤怠情報や給与情報といった機密情報を取扱います。システムで管理する場合は、特定の情報にアクセスできる社員の権限を所属部署や役職ごとに細かく設定できるため、容易にセキュリティを強化することが可能です。

社員情報管理システムを選ぶポイント

社員情報管理システムを導入する際は、以下のポイントで比較検討して自社に適したサービスを見つけましょう。最後に、システム導入へ向けて選び方のポイントを解説します。

自社への適合性

企業の規模、業界・業種、導入目的に適合したシステムを選択しましょう。システムによって想定される利用人数や搭載されている機能が異なるため、「自社の人数に適しているか」「必要な機能は網羅されているか」といった観点で確認しておくことが大切です。

カスタマイズ性の高さ

社員情報管理で取扱う項目は、企業によって異なります。そのため、カスタマイズに対応可能なシステムを選ぶと、自社の業務に合わせて柔軟に運用しやすくなります。特に、独自の項目や複雑な評価制度などを採用しているケースでは、カスタマイズ性を重視しましょう。

操作性の高さ

導入後は日々の業務でシステムを使用するため、現場のご担当者さまの利便性を考慮することがポイントです。使いづらいシステムは、かえって効率の低下を招いたり、ご担当者さまのストレスにつながったりするおそれがあります。ユーザーフレンドリーで直感的に操作できるシステムを選びましょう。

既存の別システムとの連携性

学習管理システム(LMS)をはじめとした既存の人事システムとの連携によって、導入効果を高めることが可能です。システム間の連携によってデータの活用方法がさらに広がります。どのようなシステムと連携可能なのかを確認しておくことをおすすめします。

セキュリティ対策

社員情報管理では、個人情報を含む社内の機密情報を取扱うため、システムには高度なセキュリティ対策が不可欠です。搭載されているセキュリティ機能や、システム提供会社の「個人情報保護方針」「情報セキュリティポリシー」などを確認して、安全に利用できるサービスを選ぶ必要があります。

システム提供会社のサポート体制

導入準備や運用後のトラブル発生時には、システム提供会社によるサポートが必要です。なかには導入前後に専任のサポート担当者による支援を受けられるサービスもあります。サポート内容が手厚く、継続的に伴走してもらえると運用側の安心につながります。

無料トライアルの有無

システムの無料トライアルを利用すると、導入前に機能や使用感をチェックできます。また、システム提供会社によってはウェビナーやダウンロード資料などで製品の詳細を紹介している場合もあるので、事前に問い合わせてみることをおすすめします。

料金プラン

システムの初期費用や月額費用の金額、対応可能なユーザー数など、各社の料金プランを比較検討します。追加機能を利用する場合は、オプション料金も含めた総額を確認し、コストパフォーマンスが適切であるかを見極めましょう。

システムの移行しやすさ

既存システムからのリプレイスを検討している場合は、データ移行のしやすさや、導入支援などをチェックするとよいでしょう。その際、導入実績が豊富なシステム提供会社は、システム移行のノウハウも有しているため、事前に相談しておくと安心です。

タレントマネジメントシステムで社員情報管理を実現しましょう!

ここまで、「社員情報管理」の施策を実践する方法を解説しました。社員情報管理に取組む際は、人事業務に特化した「社員情報管理システム」を導入して管理する方法がおすすめです。NTT ExCパートナーでは、社員情報管理によって在籍社員の可能性を最大化するタレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションをご提供しています。

タレントマネジメントシステムに蓄積された人材データにもとづき、最適な人材配置・人材育成体系を策定するとともに、オーダーメイド研修をはじめとした人材育成ソリューションをご提案いたします。システム上で人材配置をシミュレーションしながら、適材適所の組織体制を構築することが可能です。人事を担当している方は、お気軽にNTT ExCパートナーまでご相談ください。

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