![]()
〝やりっぱなし〟で終わらない「管理職研修」の秘訣とは?
- 体系的な管理職育成の考え方
- NTTグループの管理職研修の事例
など、育成・研修を成果につなげるポイントをご紹介します。

管理職は組織の成長を支える重要な存在です。しかし、管理職育成について「マネジメント力はあるが現場が動かない」「リーダーシップが弱くチームのまとまりに欠ける」といった悩みを抱える企業さまも多いのではないでしょうか。従来の“管理型マネジメント”だけでは限界を迎えつつある今、求められるのは“人と組織を動かす力=リーダーシップ”の強化です。本コラムでは、マネジメントを促進するリーダーシップや実践につながる研修設計、支援のあり方を解説します。
現場で成果を上げる管理職を育てるには、「マネジメント」と「リーダーシップ」の違いを正しく理解することが出発点です。人材育成において両者を混同したままだと、目標達成に至らない結果に陥りかねません。本章では、それぞれの役割と本質を明らかにし、組織における相互補完性を捉える視点を解説します。
マネジメントとは、目標を達成するための計画・組織・統制・評価を通じて、業務を効率的に進める役割をさします。管理職がKPIや業務フローを整備し、部下の進捗を確認・調整するのは典型的なマネジメント行動です。組織運営において安定性や再現性を担保するために欠かせない要素といえます。
一方、リーダーシップは人や組織に影響を与え、自発的な行動や変革を促す力をさします。ビジョンを語り、共感を呼び、行動変容を引き出す力がリーダーシップの本質です。たとえば、変化の激しい環境下で新たな方向性を打ち出し、部下の不安を払拭しながら前進させる力は、管理職の重要な資質のひとつでしょう。
マネジメントが「業務の管理」に重きを置くのに対し、リーダーシップは「人を導く」ことに主眼を置きます。管理職が組織の成果を最大化するには、計画や評価といったマネジメント力だけでなく、人の感情や行動に働きかけるリーダーシップが不可欠です。つまり、両者は対立する概念ではなく、むしろ補完関係にあるのです。
近年は、従来のようなマネジメント一辺倒では現場は動かず、変化に強い組織づくりには「管理」と「導き」の両立が不可欠です。 人事部門も研修や制度設計において、マネジメントとリーダーシップの両面からのアプローチが求められています。
本章では、なぜリーダーシップが重要とされているのか、社会的変化の観点、人事戦略の観点からポイントをお伝えします。
現代の企業は、DXの加速、働き方改革、リモートワーク、ジェンダーや価値観の多様性など、急激な変化への対応を迫られています。このような不確実性の高い時代において、マネジメントの「計画通りに進める力」だけでは限界があります。現場で意思決定を促し、状況に応じた柔軟な行動を引き出すリーダーシップが不可欠です。
従来型のトップダウン組織は、変化のスピードに追いつけず、現場の実行力も低下しがちです。その結果、管理職は「上の意向を待つだけ」の存在になりやすく、組織全体の機動力の低下につながるおそれがあります。これに代わり、現場自らが考え行動する“自律型人材”の育成と、それを促すリーダーシップの発揮が求められるようになっています。
人事戦略においても、管理職像は変化しています。従来は業務の進捗を管理する管理者であることが求められていましたが、今はチームの方向性を示し、変化を先導する変革の推進者としての役割が強調されるようになっています。これにより、単なるマネジメント研修だけでなく、リーダーシップを中心に据えた育成計画が不可欠となっています。
単なる理論やスキルの詰め込みではなく、現場で実際に動ける管理職を育てるには、リーダーシップの概念を制度や文化にまで落とし込むことが必要です。人事部門が率先して、マネジメントとリーダーシップのバランスを見極めた育成体系を構築できるかが、組織変革の成否をわけるのです。
![]()
など、育成・研修を成果につなげるポイントをご紹介します。
前章でリーダーシップも取り入れた育成施策の必要性を解説しましたが、そのひとつとして管理職研修を実施しても、現場で変化が見られない。そのようなお悩みを抱える人事担当者さまも多いのではないでしょうか。本章では、リーダーシップ不足がもたらす問題とその構造的な要因について解説します。
目標を達成するためのマネジメントスキルは身についていても、状況が変化した際に部下を導くリーダーシップが発揮できない管理職が少なくありません。指示待ち、上司への過度な依存、責任回避──こうした受け身型管理職は、組織の変化にブレーキをかける存在になってしまいます。
動けない管理職が生まれる背景には、リーダーシップ開発の機会が圧倒的に不足していることがあります。多くの企業では、管理職登用後にOJTで適応してもらう現場任せの育成に依存しています。しかし、リーダーシップは経験とフィードバックを通じてはじめて磨かれる力です。計画的な育成がなければ、管理主体のマネジメントに偏った管理職が増える一方です。
さらに見落とされがちなのが、「組織風土」です。失敗が許されない雰囲気、上下関係に縛られた意思決定、上司の顔色をうかがう文化が根付いた職場では、リーダーシップを発揮しようにもリスクを避けて動かない選択をするのが自然な行動となります。リーダーシップの不在は、個人の問題ではなく、組織の問題でもあるのです。
管理職がリーダーシップを発揮できないと、部下の自律性も損なわれ、現場の停滞や人材の離職につながります。新たな挑戦が生まれず、変革の芽が育たず、結果として組織全体が“現状維持”にとどまり、競争力を失っていきます。
現場をリードするスキルが不足した管理職が組織の停滞を招く一方、環境変化に柔軟に対応しながら成果を上げる管理職も確かに存在します。その違いを生むのは、明確なリーダーシップのあり方にあります。本章では、成果を出す管理職に共通するリーダーシップの要素を解説します。
優れたリーダーは、チームが向かうべき未来像を言語化し、それを共通の目的として伝える力を持っています。たとえば「このプロジェクトで何を実現するのか」「自部門の存在意義は何か」といったビジョンを明確にし、部下の共感と主体性を引き出すのがリーダーシップの第一歩です。ただ業務を管理するマネジメントとは一線を画す、感情と意味づけの領域です。
リーダーシップの基盤は信頼関係です。部下の価値観や悩みに耳を傾け、対話を通じて共感を示す力が問われます。特に多様性が進む組織では、「画一的な指導」ではなく「個を尊重したコミュニケーション」が成果を分けます。心理的安全性の高い関係性が、チャレンジや提案を生み出し、チーム全体のパフォーマンスを高めます。
現場では、曖昧な状況での判断が求められる場面が多くあります。成果を出す管理職は、情報が不完全でも意思決定を先送りせず、自ら行動を起こすスピード感を持っています。この“動くリーダーシップ”こそが、部下の信頼を得て、組織全体を前に進める原動力となります。
リーダーシップは部下の成長を支援する力でもあります。成果だけでなく、プロセスや行動に目を向けたフィードバックを行い、学びの機会を与えることが、持続可能な成果を生むチームをつくります。1on1や日常の声かけを通じて、部下一人ひとりの強みを引き出すコーチング型マネジメントが今後ますます重要になります。
どれほど素質のある管理職候補がいても、リーダーシップを育む土壌が整っていなければ成長は期待できません。ここでは、リーダーシップを自然に発揮できるようにするために必要な組織の仕組みを文化、制度、支援体制の観点から解説します。
リーダーシップは、挑戦や意思表示ができる土壌があってこそ育まれます。失敗を責められるのではなく、学びの機会として受け入れる「挑戦容認の文化」が必要です。また、上司や同僚との関係において、自分の意見を安心して発言できる心理的安全性の高い職場は、リーダーシップ発揮の前提条件です。この文化がない限り、どんなに研修を重ねても管理職は受け身のままとなってしまいます。
リーダーシップは役職や年次に関係なく発揮できる力です。そのためには、「年功序列」や「肩書き主義」に偏った評価制度から脱却し、チームへの影響力や部下育成への貢献など、リーダーシップそのものを評価する制度設計が求められます。成果だけでなくプロセスや行動を評価に反映することで、管理職が主体的に動ける風土が形成されます。
制度や文化を整えても、日々の関わりが伴わなければ形骸化します。特に重要なのが、上司や人事による定期的な1on1やメンタリングです。業務指示ではなく、キャリアや価値観に踏み込む対話を通じて、リーダーシップの芽を丁寧に育てる継続的な関与が欠かせません。こうした支援が、マネジメントの質を底上げし、組織全体のリーダーシップ力を引き上げます。
リーダーシップは「研修を一度受ければ身につく」という類のスキルではありません。段階的・継続的なアプローチこそが成果を生む重要なポイントです。本章では、現状分析から実践・フォローまで、管理職のリーダーシップ育成を体系的に設計する方法を解説します。
どの階層の管理職に、どのようなリーダーシップが求められているのかを明確にするには、まず現状の可視化が必要です。個々の管理職の強み・弱みを把握するために、360度フィードバックやアセスメントツールを活用すると効果的です。また、部下からの信頼度や関係性もリーダーシップ評価の指標として取入れたい要素です。
課長層と部長層では求められるリーダーシップの種類も異なります。たとえば、課長層には「現場を巻き込む実行型リーダーシップ」、部長層には「変革を牽引する戦略的リーダーシップ」が必要とされます。自社の人事課題に合わせて、ターゲット層ごとに育成目標を設定し、最適なカリキュラムを設計することが成果につながる鍵です。
効果的なリーダーシップ育成は、単発の研修ではなく「育成サイクル」を回すことがポイントです。具体的には、
という流れを、3から6か月単位で繰り返すのが理想的です。
![]()
など、育成・研修を成果につなげるポイントをご紹介します。
ここまでマネジメントとリーダーシップの違いからはじまり、組織としてどのように管理職を育てていくべきかを段階的に解説してきました。管理職育成の最初の一歩は「現状の仕組みの見直し」にあります。まずは「現状の育成のどこが属人化しているか」「マネジメントとリーダーシップのバランスが取れているか」を棚卸しするところからはじめましょう。そこから課題を言語化し、小さな打ち手を積み重ねることが、確実な変化を生み出す第一歩になります。
NTT ExCパートナーでは、管理職育成をサポートするソリューションをご用意しております。課題に合わせた柔軟な研修設計と、振り返りや分析を通した「やりっぱなし」にしないサポートでお客さまの着実な変化を支援します。
タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションでは、在籍社員のスキル情報等を一元化・可視化し、データに基づいた人材育成体系を策定、各種人材育成ソリューションまでワンストップでご提供いたします。計画的に管理職の育成施策を実施するうえでもご活用いただけますので、お気軽にお問い合せください。
NTTグループの研究開発の実績や技術力を基盤にしたソリューションで、一歩先を行く、科学的アプローチを実現
30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走
ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。
30年以上のご支援で
培われたノウハウで
800社以上の企業での
導入実績