従業員エンゲージメント向上を実現するには?具体的な施策リストと失敗しないプロセスを解説

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「従業員サーベイを実施したが、スコアを見て一喜一憂するだけで終わっている」
「現場に改善を求めても、具体的に何をすればいいかわからないと言われてしまう」
このような悩みを抱える人事担当者の方は多いのではないでしょうか。人的資本経営への注目が高まる中で、従業員エンゲージメント向上は単なる「福利厚生の充実」ではなく、企業の競争力を左右する「戦略的な投資」へと変化しています。重要なのは、集めたデータをどう読み解き、いかにして現場の育成や最適な配置といった具体的なアクションにつなげるかという点にあります。
この記事では、プロフェッショナルの視点から、従業員エンゲージメント向上を形骸化させないための実効性のあるプロセスと具体的な施策を詳しく解説します。

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    • 診断、打ち手、効果測定まで一気通貫で設計
    • 6つの対策領域で組織課題を網羅
    • 経営と現場をつなぎ、実行力を強化

従業員エンゲージメント向上がなかなか進まない理由とは?

多くの企業が従業員エンゲージメントを高めるために工夫を凝らしていますが、思うように変化を感じられない背景には、いくつかの共通した理由があります。よくあるケースとして、「調査(サーベイ)を行うこと自体がゴールになってしまっている」ことや、「周囲の協力を得るための事前の準備が少し足りなかった」といったことが挙げられます。まずは、自社がどのような部分で足踏みしてしまいやすいのか、その「きっかけ」を正しく知ることが、職場を本質的に改善していくための大切な第一歩となります。

サーベイ(定量調査)の実施自体が目的化しているため

エンゲージメントの測定はあくまで今の状態を知るための「手段」ですが、時には調査を実施すること自体がゴールになってしまうケースも見受けられます。結果をまとめることに力が入りすぎて、その後の「どう改善していくか」という対話やアクションが後回しになると、従業員は「答えても何も変わらない」と、無力感を感じてしまいかねません。こうした状態が続くと、次第に回答への熱意が失われ、職場の本当の姿が見えにくい「形だけのデータ」ばかりが積み上がってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

現場のマネージャーを巻き込めていないため

従業員のエンゲージメントに響きやすいのは、日々の職場環境です。人事部だけで施策を完結させようとするのではなく、いかに現場のマネージャーや従業員と手を取合えるかが重要になります。現場のマネージャーが、調査結果を「自分たちのチームをもっとよくするためのヒント(鏡)」として活用できず、人事からの一方的な「宿題」と捉えてしまうと、改善はなかなか進みません。リーダーたちが「自分たちのために、まずはここから変えてみよう」と前向きに取組めるよう、丁寧なフィードバックや動機付けを行うことが、組織全体の活力を高めるための鍵となります。

従業員エンゲージメント向上プロセスの改善アクション

従業員エンゲージメントの向上を確かな成果につなげるためには、データを「活動の道しるべ」として活用する仕組みを整えることが大切です。単に今の不満を解消するだけでなく、「働く人一人ひとりの意欲を、組織の力に変えていく」という視点を持って、日々のプロセスを丁寧に考えていくことが求められています。ここでは、デジタルの力を味方につけながら、どのチームでも着実に実践できる「改善のステップ」についてご紹介します。

プロセスのステップデータの活用ポイントめざしたいゴール
1:現状の構造的把握属性クロス集計・離職相関分析課題の真因と優先順位の特定
2:実行性あるアクションプラン策定過去データとの比較・改善シミュレーション具体的で納得感のある実行計画
3:人事施策(育成・配置)への統合スキルデータとの連携・配置の最適化個人の成長と組織成果の同期

手順1:サーベイ結果を多角的に分析する

まずは収集したデータを多角的に分析し、組織に潜む課題の真因を特定することからはじめます。全社平均のスコアを眺めるだけではなく、部署、職種、年代、勤続年数といった属性を掛け合わせ、どこに「エンゲージメントのボトルネック」があるのかを可視化しましょう。ツールを活用すれば、離職傾向との相関分析や、特定の設問に対する回答の偏りを把握しやすいため、「経験や勘」に頼らない客観的な現状把握につながるでしょう。

手順2:現場が納得する「優先順位」を定めて実行可能な計画を作る

目の前にある課題のすべてに一度に取組もうとすると、リソースが分散し、十分な成果が得られないまま終了する可能性があります。分析結果をもとに「効果が大きく、かつ取組みやすいもの」から優先的に進めるための計画を立てていきましょう。たとえば、会社全体の理念が伝わりにくいと感じるなら「社内の情報発信」を、特定の部署で安心感が足りないと思うなら「マネージャーへのサポート」を優先しましょう。状況に合わせて「的を絞った工夫」を一つひとつ重ねていくことが、確実に職場を変えていくための近道です。

手順3:一時的なイベントに終わらせず、育成や配置といった本質的な課題につなげる

従業員エンゲージメントを高める一番の目的は、一人ひとりが自分のよさを最大限に発揮し、納得感を持って働ける環境をつくることです。単に楽しいイベントを開催したり、福利厚生を充実させたりするだけでなく、一歩踏み込んで「その人の才能をどう育てるか」という育成計画や、適材適所の配置につなげていく必要があります。調査(サーベイ)を通じて、「本当はこんなことに挑戦したい」という想いと今の仕事との小さなズレをいち早くキャッチし、新しい役割やスキルアップの機会を提案していきましょう。そうした歩み寄りが、「会社が自分の成長を心から応援してくれている」という実感に変わり、深い信頼関係を育んでいきます。

従業員エンゲージメントを向上させる施策リスト

分析で見えてきた課題に対して、どのようなアクションを考えていけばよいでしょうか。従業員エンゲージメントを構成する要素はさまざまですが、本質的な改善につながる取組みは、いくつかのカテゴリーに整理できます。自社の状況に合わせてこれらを組み合わせ、一貫性を持って進めていきましょう。

施策カテゴリ具体的な取組み例期待される効果
理念・共感経営トップによるビジョン発信
理念浸透ワークショップ
組織の方向性への納得感
帰属意識の向上
成長・支援社内公募制度
リスキリング支援
1on1ミーティング
自己成長実感
主体的なキャリア形成
環境・対話心理的安全性の確保
フリーアドレス導入
社内SNS活用
孤独感の解消
円滑なコミュニケーション
承認・称賛サンクスカード
ピアボーナス
社内表彰制度
自己有用感の向上
ポジティブな文化の醸成

1.理念の浸透とビジョンへの共感を促す

従業員が「自分の仕事には価値がある」と確信するためには、会社の掲げるビジョンや理念が自分自身の価値観と重なっている必要があります。経営トップが自らの言葉で繰り返しビジョンを語る場を設けるだけでなく、日々の業務がどのように社会貢献や顧客満足につながっているのかをストーリーとして共有する取組みがおすすめです。理念を形だけのものにせず、具体的な決断の基準として運用してみましょう。一貫した姿勢を見せることで、従業員が「この組織を信じられる」と感じ、誇りを持って働ける土壌が整っていきます。

2.自律的なキャリア形成と成長を支援する

「この会社にいれば成長できる」という実感は、従業員エンゲージメントを高める強力なきっかけとなります。会社が一方的にキャリアを押し付けるのではなく、従業員が自ら手を挙げて挑戦できる社内公募制度や、副業の容認、スキルアップのための学習支援などを積極的に提供することが求められます。自らキャリアを切り拓こうとする姿勢を会社が応援することで、主体的な行動が生まれやすくなります。従業員一人ひとりの意欲が引き出されることは、結果として組織を元気に動かす大きな力へとつながります。

3.心理的安全性を高めるコミュニケーションを仕組み化する

風通しのよい組織文化を作るためには、上司と部下の間、あるいはチームメンバー間で意見を言い合える心理的安全性を確保しなければなりません。そのための有力な手法が、定期的な1on1ミーティングの仕組み化です。評価のための面談ではなく、部下の悩みやキャリアについて「聴く」ことに徹する対話の時間を設けると、信頼関係が深まる助けになります。また、部署を越えたコミュニケーションを促すシャッフルランチやサンクスカードの導入など、相互承認の文化を育む施策もおすすめです。

4.「承認と称賛」の組織づくり

人は、自分の頑張りを誰かが見ていて、認められていると感じたときに、大きなモチベーションを感じると言われています。特別な成果を上げたときだけでなく、日々の小さな貢献に対しても光を当て、感謝を伝え合う文化を育てましょう。たとえば、従業員同士で感謝のメッセージを送り合う「サンクスカード」や、少額の報酬を贈り合う「ピアボーナス」といった仕組みを導入する企業もあります。「承認」のサイクルが社内で日常的に回るようになると、従業員一人ひとりが自分の居場所を再確認し、自信を持って仕事に向き合えます。

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現場マネージャーと従業員エンゲージメント向上を推進するコツ

従業員エンゲージメント向上の成否は、従業員と最も接点の多い現場マネージャーの振る舞いに左右されると言っても過言ではありません。人事部がどれほど立派な施策を導入しても、日々のコミュニケーションが機能していなければ、従業員にその想いは届かないかもしれません。マネージャーの役割を「管理」から「支援」へシフトすることが、組織変革を実効性のあるものにするための鍵となります。

メンバー一人ひとりの価値観に寄り添う対話を実施する

マネージャーに求められるのは、全員に同じやり方を当てはめることではなく、メンバーが仕事に何を求めているのかを深く知るための対話です。一人ひとりが描く将来像や大切にしている価値観に耳を傾け、それらが今の仕事とどう結びついているのかを一緒に見つけていく姿勢が求められます。「自分の考えが尊重されている」という実感は、メンバーの「この組織のために頑張りたい」という自発的な意欲を引き出し、お互いに安心して背中を預け合える強いチームへとつながっていきます。

心理的安全性を担保するフィードバックを実践する

従業員エンゲージメントを向上させるためには、失敗を責めるのではなく、挑戦を称え合い、建設的に振り返ることができる環境が必要です。マネージャーは、日頃から感謝の言葉やポジティブな評価をこまめに伝え、メンバーの自己肯定感を高める役割を担います。たとえ厳しいフィードバックが必要な場面であっても、それが本人の成長を願ったものであるという信頼関係が築けていれば、メンバーはそれを前向きに受け入れ、さらなる意欲を持って業務に邁進できると考えられます。

マネージャー自身がエンゲージメント高く働ける環境の整備

現場に負担を強いるばかりではなく、マネージャー自身が心身ともに余裕を持ち、意欲的に働ける環境を整えることも組織の重要な責務です。多くのマネージャーは、自身の実務遂行とメンバー育成の両立を求められる状況にあり、心理的な余裕を持ちにくい状況にあります。人事部や経営層は、マネージャー向けのトレーニングを提供したり、管理業務を効率化するツールを導入したりするなど、彼らが「対話」に集中できる時間を生み出す支援が必要です。マネージャーが活き活きと働く姿を見せること自体が、チーム全体の従業員エンゲージメントを高めるもっとも効果的なメッセージとなり得ます。

従業員エンゲージメント向上のための支援ツールやサービス選びの判断基準

従業員エンゲージメント向上をスムーズに、そして着実に進めていくために、外部のツールや専門家の力を借りるのもおすすめです。現在は多くのサービスがあるため、自社にぴったりのものを選ぶのはなかなか難しいと感じるかもしれません。大切なのは、単なるコストの比較だけでなく、組織の変化を長く支えてくれる「良きパートナー」を見極めるための視点を持つことです。

ポイント1:自社の課題解決に必要な分析機能があるか

ツール選びにおいて最も重要なのは、収集したデータを「アクション」に変換できる分析機能が備わっているかどうかです。単にスコアを算出するだけでなく、他社比較(ベンチマーク)が可能か、部署ごとの特徴を直感的に把握できるダッシュボードがあるか、さらにはテキストマイニングで自由記述回答から本音を抽出できるかといった点がチェックポイントになります。自社が抱える特定の課題、たとえば「若手の離職防止」や「女性管理職の育成」といったテーマに特化した分析ができるものを選びましょう。

ポイント2:専門家による伴走支援やアクションプランへのコンサルティングがあるか

サーベイを実施して数値が出たものの、結果をどう解釈して次の一手を打つべきか悩むケースは少なくありません。そこで重要になるのが、組織心理学や人事実務に精通した専門家による伴走支援の有無です。客観的な視点からデータの「裏側」にある組織課題を読み解き、自社のフェーズに合わせたアクションプランを一緒に作り上げてくれるパートナーがいれば、施策の精度は高まるはずです。単なる「ツールの提供者」ではなく、ともに組織を変える「伴走者」としてコンサルティングを提供してくれるサービスを選ぶことが、着実な従業員エンゲージメント向上への近道となります。

ポイント3:現場が負荷を感じず、継続できる設計か

どれほど優れた分析ができるツールであっても、現場の従業員やマネージャーに過度な負担を強いるものは定着しません。回答に時間がかかりすぎるアンケートや、操作が複雑な管理画面は、現場の心理的な距離を遠ざけ、形骸化を招く原因となります。スマートフォンで数分で回答できる手軽さや、直感的に状況を把握できるダッシュボードなど、日常の業務に溶け込む設計であるかを確認しましょう。現場が「これなら続けられる」と感じられる仕組みこそが、長期にわたって鮮度の高いデータを集め続け、組織にポジティブな変化を定着させる土台となります。

従業員エンゲージメント向上を診断から改革まで一貫サポート

組織の従業員エンゲージメントを高めたいと思っても「診断ツールは導入したけれど、その後どう動けばいいかわからない」「施策を実行しても、なかなか効果を実感できない」そんな悩みを持つ企業は多いものです。
NTT ExCパートナーでは、診断だけでは終わらない、トータルでのサポートを行っています。エンゲージメント診断から具体的な施策づくり、実施後の効果測定まで、一連の流れで組織づくりをお手伝いします。診断結果をもとに、それぞれの組織に合った実践的な施策をご提案し、PDCAを回しながら着実に成果へとつなげていきます。従業員の意識や行動を変え、組織を前に進めたいとお考えの企業さまは、ぜひ詳細をご覧ください。

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まとめ

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  1. 従業員エンゲージメント向上はサーベイの測定で終わらせず、デジタルツールを活用した多角的な分析と現場を巻き込んだ改善アクションへつなげる必要がある。
  2. 人的資本経営の視点に立ち、理念の共感、キャリア成長の支援、心理的安全性の確保といった本質的な施策を組織のフェーズに合わせて展開する必要がある。
  3. 信頼できるパートナーやツールの選定基準を明確にし、自社に最適なPDCAサイクルを回し続けることが成功への近道。

従業員エンゲージメント向上は一朝一夕には成し遂げられませんが、正しいプロセスで継続的に取組むことで、必ず組織の力強い成長を支える基盤となります。まずは小さな一歩から、従業員とともに「明日が楽しみな職場」の実現に向けて、本記事を参考に取組んでいただければ幸いです。

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  • IT・情報通信
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  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

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