従業員のモチベーション向上方法は?個人の努力依存から脱却する組織戦略を解説

  • 組織開発

「従業員のモチベーションを上げたい」と悩む経営者や人事担当者は多いのではないでしょうか。しかし、個人の感情やその時々の状況によって変動しやすい「モチベーション」に依存したマネジメントには、組織運営上の課題があります。
本記事では、やる気に頼るリスクや、従業員の意欲低下を招く評価・キャリアなどの構造的な原因について詳しく解説します。その上で、個人のモチベーションを組織との強い結びつきである従業員の「エンゲージメント」へと昇華させるための移行ポイントや、具体的な仕組み作りのステップ、陥りやすい失敗例までを網羅的に紹介します。

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組織における従業員のモチベーションとは?

組織の課題を解決するために、従業員のモチベーションが何をさす言葉なのかを正しく把握しておきましょう。モチベーションとは、人が目標に向かって行動を起こし、それを維持するための原動力や意欲のことです。一般的には、報酬や評価など外部から与えられる「外発的動機づけ」と、仕事への興味ややりがいなど自らの内面から発生する「内発的動機づけ」の二つにわけられます。 あくまで個人の中に存在する動的なエネルギーをさしているため、会社側がどれほど外発的な刺激を与えても、個人の価値観やその時々の状況によって効果が大きく変動しやすい性質があります。個人の内面で完結するモチベーションだけに着目するのではなく、会社と個人の相互の結びつきである従業員エンゲージメントに視点を広げることが組織運営にとって重要になるのです。

個人のモチベーションに依存するマネジメントが招くリスク

従業員のやる気に依存したマネジメント手法には、組織運営において限界が存在します。個人の感情は外部要因で変動しやすく、組織として安定したパフォーマンスを維持することが困難になるためです。ここでは、個人のモチベーション管理に頼りすぎることで生じる組織的な課題について解説します。

比較項目モチベーション管理エンゲージメント管理
注目点個人の内面的な感情や意欲に注目する組織と個人の信頼関係や結びつきに注目する
効果の持続性一時的であり変動しやすい性質構造的であり長期的に持続しやすい状態
解決へのアプローチ個人の意識改革や精神面をフォローする人事制度や労働環境などの仕組みを改善する

感情に依存した手法ではモチベーションが維持できなくなる

従業員個人のモチベーションは日々の出来事や体調によっても上下するものです。上司からの激励や一時的な特別報酬が提供された直後は意欲が高まりやすいですが、数週間後には元の状態に戻ってしまうことも少なくありません。感情の起伏に依存して業務の質が左右される状態は、企業にとって大きなリスクとなり得ます。持続的な成果を出すために、感情の波に影響されない業務プロセスや仕組みの構築をめざしましょう。

精神論に偏重した指導が従業員を疲弊させてしまう

「もっと頑張ろう」「気合で乗り切ろう」といった精神論にもとづくマネジメントは、真面目な従業員ほど疲弊させてしまう可能性があります。業務量の偏りや非効率なシステムが原因で成果が出ない場合でも、個人の努力不足として処理されてしまう可能性があります。このような環境下では、従業員は会社に対する不信感を募らせ、結果的に離職を選択する可能性が高まりかねません。精神論に頼るのではなく、業務の妨げとなっている物理的・制度的な要因を取除くアプローチが必要です。

個人の責任として扱われ、本質的な課題への対応が後回しになる

個人の意欲に問題の焦点を当てると、組織が抱える根本的な環境課題が見過ごされやすいと言われています。たとえば、特定の部署で意欲低下が著しい場合、原因は個人の性格ではなく、評価制度の不備や管理職のマネジメント不足にあるケースが考えられるでしょう。モチベーションの問題として片付けてしまうと、人事制度の改定や業務フローの見直しといった本来必要な組織改革が後回しになってしまいます。個人の問題と組織の課題を切り離し、環境の改善に目を向けましょう。

従業員のモチベーションが低下する構造的な3つの原因

従業員の意欲が低下する背景には、個人の性格や耐性ではなく、組織の構造的な問題が潜んでいることが多いです。多くの企業で共通して見られるのは、評価、キャリア、そして人間関係という3つの大きな要素における課題です。原因を正しく把握することが、改善への第一歩となります。

構造的な原因現場で発生しやすい具体的な事象
評価の納得感不足頑張っても給与に反映されないという不満の声が増加する
キャリアの不透明さ5年後や10年後に自分がどうなるか想像できないと相談される
心理的安全性の低さ会議で意見が出ず、ミスを隠蔽しようとする動きが見られる

評価基準が不透明で納得感が得られない

従業員の意欲を削ぐ大きな原因の一つが、人事評価に対する納得感の欠如です。どれだけ成果を出しても評価基準が曖昧であったり、上司の主観で評価が決定されたりすると、従業員は努力する意味を見失ってしまうでしょう。厚生労働省の調査などでも、仕事へのモチベーション低下の理由として評価制度への不満が上位に挙げられる傾向があります。評価プロセスを明文化し、従業員が「どうすれば評価されるのか」を明確に理解できる状態を作る必要があるのです。

自社でのキャリアの先行きが見通せない

今の会社で働き続けた先のキャリアパスが不透明であることも、意欲低下の要因となり得ます。優秀な若手従業員が、自身の市場価値を高めたいという成長意欲を強く持っていることも少なくありません。会社から期待される役割や、将来挑戦できるポジションが提示されないと、自身の成長スピードが鈍化すると感じて離職を検討しはじめるきっかけになってしまう可能性があります。定期的な面談を通じて個人のキャリアビジョンを引き出し、会社としてどのような機会を提供できるかをすり合わせる機会を作りましょう。

職場の心理的安全性が低く発言しにくい

職場における心理的安全性の低さは、従業員の活力を奪い、挑戦する意欲を失わせる要因になり得ます。心理的安全性とは、自分の意見やミスを素直に発言しても、周囲から拒絶されたり罰せられたりしないと信じられる状態です。上司が威圧的であったり、失敗を極端に責めたりする文化がある職場では、従業員は萎縮し、言われたことだけをこなすようになる傾向があります。自由に意見を交わし、失敗から学べる組織風土を醸成することが、意欲回復の鍵となるでしょう。

モチベーションからエンゲージメント基準へ移行するポイント

組織の活力を高めるためには、個人の「やる気」を管理する状態から、組織への「エンゲージメント」を高める状態へとマネジメントを移行させるのがおすすめです。ここでは、自社でエンゲージメント管理への移行を進めるための判断基準について解説します。

判断基準エンゲージメント移行に向けたチェックポイント
目標の方向性会社のビジョンと個人の目標がリンクしているか確認する
理念への共感経営理念が現場の日常業務に落とし込まれているか確認する
データの活用サーベイなどで組織の状態を定期的にスコア化しているか確認する

ポイント1:組織目標と個人目標を連動する

会社がめざす方向と、従業員個人がめざす目標の方向性が一致しているかを確認しましょう。従業員エンゲージメントが高い状態とは、従業員が会社の目標達成を自分ごととして捉え、自発的に貢献しようとしている状態です。目標管理制度において、全社目標から部門、個人へと目標が連鎖し、自身の業務が会社にどう貢献しているかを従業員が説明できるかどうかが重要な指標となるでしょう。方向性がズレている場合は、目標設定のプロセスを見直す時期だと言えます。

ポイント2:企業理念を丁寧に解説し、共感を促す

企業のミッションやビジョンに対し、従業員が心から共感できているかを確認しましょう。単に理念を覚えているかだけでなく、日々の業務判断において理念が基準として機能しているかがポイントです。理念への共感は、従業員が困難な課題に直面した際の原動力となり、組織への帰属意識を高める助けになります。もし理念が形骸化しており、現場の行動と結びついていないと感じる場合は、理念を再浸透させるための社内コミュニケーションから着手するのがおすすめです。

ポイント3:データでエンゲージメントの現状を定量把握する

組織の状態を感覚ではなく、データを用いて定量的に把握できているかも着目点となります。エンゲージメント基準への移行には、現状の課題を正確に特定し、施策の効果を測定するサイクルを整備した環境が必要です。定期的なパルスサーベイやエンゲージメント調査を実施し、部署ごとの課題や経年変化を数値で追えるのが理想です。データ収集の仕組みがない場合は、まず現状を可視化するツールの導入から検討しましょう。

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従業員エンゲージメントを高める仕組み作りの方法

従業員エンゲージメントの強化は、順序立てた仕組み作りから着手するのが望ましいです。ここでは、データにもとづいた現状把握から、評価制度や環境の改善に至るまでの具体的な手順を4つのステップで解説します。

仕組み作りの手順実施する目的・具体的なアクション内容
1.現状把握サーベイを実施して組織の課題を客観的な数値で特定する
2.評価の見直し納得感を高める評価基準を明確化し、フィードバックを充実させる
3.キャリア支援社内公募や研修制度を整備し、本人の自律的な成長を後押しする
4.環境の確保心理的安全性を高めるため、1on1などを導入し対話を促進する

ステップ1:現状の課題をデータで把握する

最初のステップとして、エンゲージメントサーベイを利用して組織の現状をデータで把握します。どの部署でどのような不満が溜まっているのか、人間関係なのか評価制度なのか、課題の所在を特定しましょう。数値化されたデータを用いることで、経営層や現場マネージャーと客観的な議論を進める根拠を強められるはずです。調査結果は従業員にもフィードバックし、会社として課題解決に取組む姿勢を示すことで、調査への協力体制を築く助けになるでしょう。

ステップ2:納得できる人事評価制度に見直す

次に、サーベイで不満が出やすい人事評価制度の改定に着手します。評価基準を明確にし、どのような成果や行動が評価されるのかを全従業員に公開しましょう。結果だけでなく、プロセスやチームへの貢献度も評価項目に組み込むことで、納得感の向上を図ります。評価結果を伝える面談の質を高め、上司から具体的なフィードバックと今後の期待を丁寧に伝える仕組みを整えることが大切です。

ステップ3:従業員のキャリア自律を支援する

従業員が自身のキャリアを自律的に描けるよう、支援する制度を導入します。一つの部署にとどまらず、希望する部署へ異動できる社内公募制度や、FA(フリーエージェント)制度などの導入がおすすめです。また、スキルアップのための研修受講費用を補助するなど、成長機会を会社が積極的に提供しましょう。従業員自身が自分の意思でキャリアを選択できる環境を整えることで、仕事に対する責任感と意欲の自然な高まりが期待できます。

ステップ4:職場の心理的安全性を確保する

最後に、日常の業務環境において心理的安全性を確保するための施策を実施します。代表的な手法として、上司と部下が定期的に対話する1on1ミーティングの定着が挙げられます。業務の進捗確認だけでなく、部下の悩みや体調、キャリアの相談に耳を傾ける時間を設けましょう。マネージャー向けには傾聴のスキルを高める研修を実施し、組織全体で相手の意見を否定せずに受け止めるコミュニケーション文化を育てていくことが重要です。

エンゲージメント施策で陥りやすい失敗例

従業員の意欲を引き出そうとするあまり、逆効果になってしまう施策も存在します。よかれと思って導入した制度が、かえって従業員エンゲージメントを下げる原因になることもあるのです。ここでは、多くの企業が陥りがちな失敗パターンと理由について解説します。

金銭的な報酬だけで解決を図ってしまう

給与や賞与の引き上げだけで従業員の不満を解消しようとするアプローチは、長期的な効果を生みにくいとされています。報酬アップの直後は満足度が高まりやすいですが、時間が経つとその水準が当たり前になり、再び不満が生じる傾向にあります。また、人間関係やキャリアへの不安といった、根本的な課題をお金で解決するのは難しいのが実情でしょう。金銭的な報いも大切ですが、仕事そのもののやりがいや自己成長を感じられる環境整備と並行して進めるのが理想的です。

社内イベントでの交流を強要してしまう

コミュニケーション不足解消のために、懇親会や社内運動会などのイベントへ参加強制するのは避けるのが無難です。プライベートの時間を削られることや、心理的安全性の低い環境での交流を苦痛に感じる従業員は少なくないでしょう。特別なイベントに頼るのではなく、業務内での1on1やチャットツールでの気軽な相談など、日常的な接点を自然に増やす工夫を積み重ねる必要があります。

現場の意見を聞かずに制度を作ってしまう

経営層や人事担当者だけで新しい制度を決定し現場へ遵守を求めるのは、反発を招く要因になり得ます。よかれと思って導入した評価システムや働き方改革のルールも、現場の業務実態と合っていなければ形骸化してしまう恐れがあります。制度を作る側と利用する側の認識にズレが生じている状態では、従業員エンゲージメント向上の効率は高まりにくいのです。事前にサーベイを実施したり、現場の代表者にヒアリングを行ったりして、従業員の納得感を得ながらプロセスを進める手順を踏みましょう。

モチベーションをエンゲージメントへ昇華「エンゲージメント向上コンサルティング」

従業員一人ひとりが抱く「モチベーション」は、企業が活躍するための重要なエネルギーです。しかし、個人のやる気がそのまま業績向上に直結するとは限りません。この個人の感情を、経営指標と連動する「エンゲージメント」へと昇華させることが、強い組織づくりの鍵となると考えられます。

NTT ExCパートナーが提供する「エンゲージメント向上コンサルティング」は、単なるアドバイスに留まらない本質的な変革を支援するソリューションです。まずはサーベイを用いて現状を可視化し、組織に潜む課題の真因を特定していきます。さらに、その分析結果をもとに、経営戦略と従業員のキャリア自律を同期させるための制度改定等、根本まで踏み込んでいくのが大きな特徴です。

診断から施策の実行、効果測定まで一気通貫で伴走するため、施策を実施しただけになる心配はありません。トップダウンの取組みと現場での実践を両輪で回すことで、再現性のある従業員エンゲージメント向上サイクルを構築できます。従業員のモチベーションを確かな組織力へと変えたいとお考えの企業さまは、ぜひNTT ExCパートナーの専門家にお気軽にご相談ください。

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まとめ

この記事のポイントをまとめます。

  • モチベーション管理から従業員エンゲージメントの強化へ方針転換が求められている
  • サーベイを活用し客観的なデータにもとづいて組織の課題を特定するのがおすすめ
  • 評価制度の透明化とキャリア自律の支援で納得感のある環境を作ることからはじめる
  • 1on1ミーティングなどを通じて心理的安全性の高い職場風土を育てることが重要

個人の感情に依存するマネジメントを脱却し、従業員が自発的に貢献したくなる仕組みを整えて、強い組織を作り上げていきましょう。

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    • 30年以上にわたりNTTグループの人事・総務を担ってきたHC領域の専門家が伴走

  • 『人と組織を変える施策の実行』と『振り返りでやりっぱなしを防止』の文字を、双方に向かう矢印でサイクルになっていることを表した図。

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    • ExCパートナーのソリューションでは、実行後の振り返りを行い、次の改善活動に向けた示唆出しまでサポートします。

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