人事制度改定の進め方と注意点|経営戦略と連動させる実務手順

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「若手・中堅社員の離職が止まらない」「現行の評価制度が現場の実態と合っていない」など、人事制度の課題に悩んでいませんか?経営戦略の転換や現場とのミスマッチが生じたときは、人事制度改定を検討するおすすめのタイミングです。
本記事では、人事制度の刷新をめざす経営層や人事担当者に向けて、経営戦略と連動した見直しの進め方や、適切な順序(等級・評価・報酬・育成)を実務レベルで解説します。さらに、現場へのスムーズな定着ポイントや、外部の専門家へ依頼するかの判断基準も網羅しています。

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人事制度を改定するタイミングと必要な事前整理

人事制度の改定は、企業にとって非常に大きなエネルギーを必要とする取組みです。どのような状況では人事制度の見直しを視野にいれたほうがよいのか、具体的なサインと事前準備について確認していきましょう。

見直しのきっかけ現場で起きている具体的な事象放置した場合のリスク
経営戦略・事業戦略の転換M&Aや事業再編、市場環境の劇的な変化により経営方針が大きく変わる戦略と人事制度の不整合により、組織全体の変革推進力が低下
評価基準と現場行動の乖離新規事業の売上が評価されず旧事業の担当者が優遇される、またはビジネスモデル変化に対応できていないイノベーションの停滞と優秀層の流出
昇格基準や処遇への不満「昇格基準が属人的で納得できない」「どれだけ努力しても給与に反映されない」といった声が多く寄せられる評価に対する不公平感の蔓延とモチベーション低下

きっかけ①:外部環境変化に応じて経営や事業の戦略転換が起こる時

M&Aや事業再編、市場環境の変化などにより、経営戦略や事業戦略の大きな転換を迫られる場面もあるでしょう。外部環境の変化に直面したとき、既存の人事制度のままだと新しい経営方針の実現が困難になることも少なくありません。グローバル展開の加速、デジタル化への対応、業界構造の大きな転換など、企業全体の進むべき方向性が大きく変わる局面では、それを支える人事制度の抜本的な見直しが求められます。経営戦略の転換期には、採用基準から評価体系、キャリアパスに至るまで、人事制度全体を新しい戦略に合致させることで、組織全体が一体となって変革に取組む体制が整備されるでしょう。

きっかけ②:評価基準と現場行動に乖離が生じた時

経営トップが掲げる企業の戦略と現場の行動様式に違和感を感じた時も、人事制度見直しのタイミングです。ビジネスモデルが変化しているにもかかわらず、過去の成功体験にもとづく評価基準が残っていると、従業員は新しい挑戦を踏み出しにくくなります。たとえば、企業としてデジタル化の推進や新規事業の創出といった変革を起こす行動を促したい状況では、評価軸の刷新が求められます。現場の従業員が「会社が求めていること」と「自分の評価されるポイント」に矛盾を感じはじめたら、制度改定のサインと考えられます。

きっかけ③:昇格基準や処遇への不満が表面化した時

従業員満足度調査や退職者との面談から、人事制度への不満が明確になった場合も見直しを検討すべきタイミングです。特に「評価基準が属人的で納得できない」「どれだけ努力しても給与に反映されない」といった声が多く寄せられるようであれば注意が必要でしょう。評価への不満は従業員のエンゲージメントを低下させ、最終的には組織全体の生産性に悪影響を及ぼしかねません。評価に対する不透明感が組織の根幹を揺るがす前に、基準の明確化に向けた行動を起こすことが求められます。

事前整理:改定前に戦略と現体制のギャップを定量化する

改定を進めるにあたり、最初に行いたいのは「理想と現実のギャップ」を正確に測ることです。経営陣が思い描く数年後の組織図に対し、現在の人員構成や人件費のバランスをデータで可視化しましょう。各部署の年齢構成、役職者の割合、人件費の推移などから、論理的に課題を抽出できるようになるはずです。課題の所在を正確に特定するため、十分な時間をかけて丁寧に整理することが求められます。

等級・評価・報酬・育成体系を見直す順序とは

人事制度は複数の要素が複雑に絡み合って構成されています。全体の一貫性を保つためには、推奨される順序で設計を進めることがおすすめです。要素をどのような流れで組み立てていくべきか、具体的なステップを解説します。

制度の名称役割と目的設計における中心的な問い
等級制度従業員の成長ステップと役割の定義どのような基準で人材を階層化するか
評価制度行動や成果の測定とフィードバック何を重視し、どうやって貢献度を測るか
報酬制度評価結果にもとづく適正な分配どのような基準で給与や賞与を決定するか
育成体系求める人材像に向けたスキル開発次の等級に上がるために何が必要か

手順1:経営方針から人材要件を定め「等級」を設計する

すべての土台となるのが等級制度です。経営戦略を実現するために「どのような役割を担う人材が、どのくらい必要なのか」を言語化し、階層として定義します。従来の勤続年数を考慮する職能資格制度から、担う業務の大きさを重視する役割等級制度へ移行する企業も増えています。自社の社風や今後の事業展開に合わせて、従業員がどのようなステップで成長していくべきか、大枠のストーリーを固めることが大切です。

手順2:期待役割を測る「評価制度」を設計する

等級の枠組みが決まったら、それぞれの等級に対して「具体的にどのような行動と成果を期待するのか」を評価制度に落とし込みます。管理職には部門の業績達成や部下育成を求め、一般従業員には業務の正確性やプロセス改善を求めるなど、階層ごとに基準を明確にする作業です。目標管理による業績評価と、日々の行動プロセスを見る行動評価のバランスをどう取るかが鍵となります。現場の管理職が納得して運用できる、シンプルかつわかりやすい評価指標をめざしましょう。

手順3:評価と連動した「報酬制度」を構築する

評価の仕組みが整ったら、評価結果をどのように給与や賞与へ反映させるかを決める報酬制度を設計します。高い成果を出した従業員に報い、そうでない従業員とは明確に違いを設ける仕組みが理想的です。基本給の改定ルールや賞与の支給係数など、限られた原資をいかに効果的に配分するかを財務的な視点も含めて検討しましょう。評価と報酬は従業員の生活に直結するデリケートな部分であるため、不利益変更に対するリスクも視野に入れながら、慎重に設計を進めることが求められます。

手順4:人材像に沿うスキル要件と「育成体系」を紐づける

人事制度は単なる査定の道具ではなく、従業員の成長を促進する仕組みでもあります。等級、評価、報酬のルールが固まったら、従業員が上の等級をめざすために必要な研修や自己研鑽の支援策をあわせて整備する段階です。現在の評価と次に求められるスキル間に関連性を持たせることで、従業員は自律的にキャリアを描けるようになるでしょう。育成の観点が抜け落ちてしまうと、評価結果を伝えるだけの形式的な制度になりかねないため、評価と育成を確実に連動させる必要があるのです。

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人事制度改定を円滑に進めるプロジェクトステップ

人事制度の改定を人事部門だけで完結させることは容易ではありません。半年から1年ほどの期間をかけて、現場を巻き込みながら段階的に進めていくのが理想です。ここでは、失敗を防ぎつつプロジェクトを進行させるための具体的な手順を解説します。

プロジェクトの大まかな流れ主な実施事項
1.体制構築と方針策定プロジェクトチームの発足
現状分析
従業員ヒアリング
基本コンセプトの決定
2.制度の詳細設計等級・評価・報酬・育成ルールの具体化
評価シートの作成
3.シミュレーションと調整新旧制度の給与比較
人件費の変動予測
不利益変更の調整
課題の洗い出しと対応検討

ステップ1:経営層と現場キーマンで推進体制を組む

人事制度の改定は、人事部門だけで完結できるものではなく、経営層や現場部門を巻き込んだ取組みが求められます。経営陣からのコミットメントを引き出せるように組織の立ち位置を整えるとともに、各部門で一定以上実績や人望のある従業員と影響力のある管理職をプロジェクトメンバーに選任しましょう。現場の率直な声を反映させながら制度をつくることで、完成後の抵抗感を抑えやすくなる点もメリットの一つです。「自分たちで作り上げた制度だ」という当事者意識が、のちの社内浸透において力になり得るのです。

ステップ2:従業員ヒアリングで課題とコンセプトを固める

体制が整ったら、アンケートや現場へのヒアリングを通じて、現行制度のどこに課題があるのかを洗い出します。洗い出した結果と経営陣のビジョンをすり合わせ、今回の制度改定で「誰にどう報いたいのか」という基本コンセプトを言語化しましょう。基本コンセプトは、以降の詳細設計で意見が対立したときに立ち返る重要な判断基準になり得ます。めざしたい方向性をプロジェクトチーム全員で深く共有し、ぶれのない軸をつくることが成功の鍵と言えるでしょう。

ステップ3:等級・評価・報酬・育成の詳細を設計する

コンセプトにもとづいて制度を具体的に設計していきます。評価項目の設計、評価配分の設計、給与レンジの設計など、実務的で緻密な作業が続く傾向にある工程です。他社の成功事例をそのまま持ち込むのではなく、自社の業務実態に合っているかを常に検証しましょう。複雑なルールにしてしまうと運用が滞る可能性もあるため、現場運用のしやすさを最優先に考えることが望ましいです。

ステップ4:移行シミュレーションで想定課題を抽出する

制度案が固まったら、全従業員を対象とした移行シミュレーションを実施します。給与の増減額と会社全体の人件費変化をデータで確認するとともに、給与計算システムや人事評価制度との整合性、制度導入時の現場対応など、運用・定着にかかわる課題を事前に洗い出しましょう。給与が下がる従業員が多数発生する場合は、調整給などの移行措置を検討し、財務的リスクと従業員のモチベーション低下を防ぐ必要があります。

新制度移行で納得感と定着を高めるポイント

優れた仕組みを設計しても、現場で正しく運用されなければ制度を設けた意味合いが薄くなってしまいます。従業員の不安を払拭し、新しい仕組みを組織の文化として育むための具体的なポイントを見ていきましょう。

定着に向けた施策失敗しやすいアプローチ成功するアプローチ
従業員への周知マニュアルを配布して各自に読ませるだけにする経営トップが自らの言葉で背景と想いを直接語る
評価者の育成人事部門が評価シートの記入方法だけを説明する目標設定や面談スキルを実践形式の研修で鍛える
運用後の改善一度決めたルールの踏襲を優先し、柔軟な見直しを行わない現場のフィードバックをもとに柔軟に微修正を重ねる

ポイント1:経営陣の意図をストーリーで語り従業員に理解を促す

従業員説明会では、評価基準がどう変わるかといったルールの解説だけで終始しないことが大切です。なぜ今、制度を変える必要があったのか、会社としてどのような未来をめざしているのかという背景を、経営トップの口から直接伝えましょう。給与が下がる可能性のある従業員も含めて、会社の置かれた状況とビジョンを真摯に説明することで、一定の納得感を得やすくなります。誠実なコミュニケーションの積み重ねが、制度への信頼につながります。

ポイント2:管理職に目標設定とフィードバックスキル研修を行う

新しい制度の成否は、実際に部下を評価する現場の管理職に影響されます。管理職が新しい評価軸を正しく理解し、部下に対して的確な目標設定とフィードバックを行えるよう、研修実施などによりスキルアップの支援を実施しましょう。単なる制度の座学だけでなく、実際の面談を想定したロールプレイングなどを通じて、具体的なコミュニケーションスキルを高めてもらうのがおすすめです。管理職自身が評価に対する自信を持つことが、部下の納得感にもつながるでしょう。

ポイント3:現場の声を収集し運用の継続改善を図る

人事制度には、完璧な答えや正解があるとは限りません。導入してから最初の1~2年はトライアル期間と割り切り、実際に運用してみて発生した不都合や矛盾に柔軟に対応する姿勢が求められます。定期的に管理職や一般従業員からのヒアリングを行い、評価シートの項目が多すぎる、基準が高すぎるといった声があれば、継続的に改善を加えていく姿勢が大切です。運用しながら改善を続けることで、自社にとって使いやすい制度へと進化していくでしょう。

人事制度改定を内製で進めるか外部の専門家に依頼するかの判断基準

人事制度の改定では、外部のコンサルタントや専門家の力を借りることも一つの手段です。プロジェクトの難易度や社内のリソース状況を踏まえて、どのように進めていくか検討しましょう。

判断の切り口自社内製の制度改定に適したケース専門家へ依頼するケース
経営戦略と人事制度の連動設計戦略を制度に落とし込む経験やノウハウが社内にある経営戦略を具体的な制度としてどう形にするかが不明確である
人事評価から研修設計の一体性評価制度と育成体系の整合性を内部で設計できる評価制度と研修設計を総合的に連動させたい
過去の経緯と外部視点の必要性過去の改定が円滑に進み、社内の信頼関係が厚い過去の課題や失敗の経緯があり、客観的な第三者の視点が必要である

経営戦略と人事制度の連動設計が困難・課題があるか

「ジョブ型を導入したい」「若手を抜擢したい」といった経営の意向があるものの、具体的な制度としてどう形にすればよいかわからない場合は、専門家の知見が役立つでしょう。経営戦略と人事制度を連動させた設計は、単なる制度構築にとどまらず、経営方針を人事施策へ具体的に落とし込むためには、高度な知見や実務経験が求められる傾向があります。専門家は他社の豊富な事例や最新のトレンドを把握しているため、自社の戦略に最も適した制度の型の提案が期待できます。ゼロから手探りで設計する時間を短縮できるため、スピーディーに改革を進めたい企業にとっては大きなメリットとなり得ます。

人事評価から研修設計まで一体で変革したいか

人事評価制度の変更に伴い、管理職向けのマネジメント研修や若手向けのキャリア開発など、育成体系の設計も同時にアップデートしたい場合は、総合的な支援が受けられる専門家への相談がおすすめです。人事評価と研修設計を別々に作ってしまうと一貫性がなくなり、従業員が混乱する要因になりかねません。外部の専門家の力を借りることで、評価基準と育成施策を整合させた一気通貫の設計が可能になるはずです。制度構築にとどまらず、組織開発の観点から深く入り込んでもらうことで、より実効性の高い変革が期待できます。

過去の経緯を踏まえ、外部有識者の知見が必要か

過去に人事制度を見直した際、従業員からの不満が出て頓挫した経験や、特定の部署との対立が生じたなどの経緯がある企業は特に、外部有識者の力を活用することをおすすめします。社内の人間だけで進めると、特定の部署の事情を優先してしまったり、過去のしがらみにとらわれたりしてしまうケースがあります。外部の有識者が客観的なデータにもとづいて「他社水準と比較した際の妥当性」を示すことで、現場の納得感も得やすくなるでしょう。社内の利害関係を整理し、円滑な合意形成を支援する役割としても有効です。

人事制度の改定から定着までをトータルサポート「人事制度設計・育成体系構築」

人事制度の改定は、単に仕組みを新しくするだけでなく、企業の持続的な成長や従業員のエンゲージメント向上に直結する重要なプロジェクトです。しかし、「自社の抱える課題に合った改定方針がわからない」「新しい制度を導入したものの、現場になかなか浸透しない」といった悩みを抱える人事担当者の方も少なくないでしょう。

そこで、人事制度の改定を成功に導くためのソリューションとして、NTT ExCパートナーの「人事制度設計・育成体系構築」がおすすめです。現状の組織分析から最適な改定方針の策定、等級・評価・報酬制度の再設計にいたるまで、一気通貫の伴走支援を行います。

さらに、制度の改定にとどまらず、人材育成体系とのスムーズな接続や、従業員への説明会を通じた浸透・定着支援までを網羅している点が大きな強みです。制度改定を一過性のプロジェクトで終わらせることなく、組織にしっかりと根づく人材マネジメント基盤として機能させるための強力な後押しとなります。自社の経営戦略と現場のニーズを融合させた制度変革をめざす企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ:人事制度改定で従業員の成長と経営戦略の実現を両立

本記事のポイントをまとめます。

  • 経営方針との乖離や従業員の不満が顕在化したタイミングで改定に着手する
  • 等級、評価、報酬、育成の順序で全体を一貫性のある仕組みとして再設計する
  • 経営層の意図をストーリーとして語り管理職への研修を通じて現場に定着させる
  • 客観的な視点や知見が不足する場合は専門家への依頼も有効な選択肢となる

自社に合った適切な人事制度を構築し、組織全体の持続的な成長を実現していきましょう。

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