豊富な機能を駆使し“受講率100%”を継続!日本コムシスが取り組むLStepを活用した育成施策
学習管理システム「LStep」を導入し、社員育成にご活用頂いている日本コムシス様の事例をご紹介します。
業界・業種 | IT・情報通信 |
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従業員 | 9,300人 |
国内外に広く通信やデータセンター事業を展開し、主に法人のお客様向けに信頼性の高いネットワークやプラットフォーム、アプリケーションサービスを提供するIT業界のリーディングカンパニーです。
―貴社の事業内容をお聞かせください。
国内/国際電話を初めとした様々な通信ネットワークサービスを国内外で提供していることは皆さんよくご存知だと思いますが、クラウドやデータセンター、様々なアプリケーションとコンテンツも幅広く提供しています。私達がめざしているのは、先進的なICT技術を活用して世界中のお客様にシームレスなソリューションを提供することで、生活や産業、社会に革新的な進化をもたらすことです。
―その中で危機管理室の役割、業務とはどのようなものなのでしょうか。
災害や大規模な故障など、各種サービスひいては事業全体に大きな影響を及ぼす危機的事象に直面した際に、全社的に情報や対応を収集・統制していく役割を担っています。また、そのような危機的状況下でのNTTグループ各社間の情報共有や連携、政府・行政機関や外部との対応を一元的に行っています。
―これまでの貴社(NTTコミュニケーションズ)のBCPの取組みについて教えて下さい。
2008年にBCP基本方針を全社で定めた後、各組織・各サービスそれぞれで検討を進め、2016年末に全社共通の「BCPガイドライン」を制定しました。また2016、2017年と自然災害が頻発したことなどを受け、BRM(ビジネスリスクマネジメント)委員会で多くのビジネスリスクへの対応の優先順位を問うたところ、2017年から2年連続で「BCP」が1位になり、さらに取り組みへの機運が社内で高まりました。
―弊社がご相談を受けた段階で、どのような課題があるとお考えでしたか?
深村室長 組織全体としてのファンクションデザイン(設計)があるべきで、そのためには各業務のタスクやボリューム、スキルが見えていないといけないはずなのにそれが決まっていませんでした。これまでは経験値で埋めてきたのですが、きちんとデザインし、社内でも示していきたいと思っていました。
松浦部長 具体的には、まず、ドキュメントの体系化ができていませんでした。マニュアルや手順書はあって、わかる人が探し出して使えば有効なのですが、わからない人は、そもそもありかすらわからない。全てのドキュメント、マニュアルが1本の線でつながり、わからない人でもゴールにたどり着けるような仕組みを作りたいと思っていました。次にフォーメーションの体系化です。私達の組織には営業への対応、サービスや設備のオペレーション、グループ会社や外部との折衝、そして全体統制といったポジション(役割)がありますが、今は、たまたま適任であり高スキルな人材が各ポジションに揃っているので、放っておいても業務が円滑に回っています。本来は危機管理室としてのフォーメーションを考えた人事や人材育成をしていかないと組織はうまく回っていかないのですが、今はまだできていない。人数が揃っていればそれでいい、という訳ではないのです。
―人材育成や人事についての課題意識を当初からお持ちだったようですね。もう少し詳しくお聞かせ下さい。
松浦部長 当社には専門分野(職種)ごとの「プロ人材育成体系」というものがあります。私自身これまで「ネットワークエンジニア」というカテゴリーでずっと来たのに、危機管理室に着任した瞬間に、自分のスキルが何も評価されるものがない、これからどうプロとして生きていけばいいんだろうと悩みました。その結果、会社として「災害対応」や「危機管理」というカテゴリーが想定されておらず、育成体系も無いのなら「新たなカテゴリーを作ればよい」という発想を持ちました。
やや順序が逆かもしれないですが、育成体系が確立していないから、有スキル者の把握ができない。災害対応業務は、誰ができて誰ができないのかが、わからないということですね。だから誰を「災害対応」や「危機管理」の業務に携わるメンバーとして推薦していいのかもわからずに、結局、知っている人に聞くような属人的な思い付きの人事になってしまいます。スキルの明確化、可視化ができていないからです。
―今回、外部の力を使おうと思われたのはなぜでしょうか。
深村室長 私も昨年の7月にこの組織に来たばかりです。そして着任数日後に、中国豪雨で中継系ケーブルが切れるという大きな故障が起きました。その時に感じたことは、現在のメンバーはみんなベテランで経験豊富。何かあってもマニュアルも手順書も、極論すれば指示すら必要なく、危機管理の仕事ができてしまう。本当にすごいんです。でも何年か後には異動や退職でいなくなる人もいる。そこで私が持った危機感は、このノウハウをシステムにしなければいけない。システムとはデジタル化ということではなく、仕組みにしておかないとまずいなという思いがあって、御社に声をかけました。
うちのメンバーは危機対応に関してはすごくノウハウを持っていますが、システムにする、というところは専門外です。通常業務を行いながら、自分達だけでやりきるのは難しいと思っていました。さらに、代々その傾向が続いていたので、属人的な職人芸の世界になってしまった。同じメンバーで取り組むのか、外の力を借りてでも短期間で取り組むのかというと、やはり後者、という判断になりました。
またそういうシステムが出来上がるのなら、社内だけで使っているのはもったいない。お互いの属人的な関係ではなく、会社と会社の仕組みとして、うまく回せるようにすることで、システムの維持そのものが図れるのではないかと考えました。
松浦部長 私も着任後、ノウハウのシステム化という課題に対して1年間自分なりにやってみましたが、結局、災害や故障が起きると目の前の対応を優先せざるを得ず吹っ飛んでしまう。ベテランのメンバーにノウハウを出そうよ、と腰を据えてやろうと思った瞬間に何かが起こって、落ち着いたと思ったらまた何か起こる。そんな状態が続いて、自分が引っ張らないと、と思ってやってきたのですが、これは第三者の力を借りないと無理だなと思いました。
―今回実施された施策について、どのように受け止めていらっしゃいますか。
松浦部長 施策を決める前に全般的なヒアリングをしていただいたことで状況が整理され、中長期的な課題解決に向けた計画も提案いただき、頭がすっきりしました。その後、コンサルティングしていただきながら、課題解決に向かって外部の視点で質問を投げかけていただくことで、我々自身が新たな気付きが得られ、結果、予想していた以上に施策が進みました。
具体的には、今まで紙の資料やホームページ掲載に留まっていた業務プロセスや情報共有の仕組みを体系化し、将来的に活用し得るBPMS(ビジネスプロセスマネジメントシステム)化の基本コンセプト作りにまで発展させられた事は大きな価値がありました。
業務のプロセス、フローを一緒に作ってもらったおかげで、途中からみんながどんどんアイデアを出すようになってきて、これはただの紙で終わらせるのは勿体ない、ということになりました。最初考えていた着地点からどんどんゴールが遠くになって施策が育っていった感覚です。その過程がとても有意義でしたし、まだこれからも育っていくと思うので、お互い成長できたのでは、と感じています。
課題意識を持っていた災害対策メンバーの育成計画についても、各層(各班リーダ、事務局、実務メンバー)ごとの育成の必要性と、育成計画策定の方向性を示していただけたことも良かったと感じています。
深村室長 社内の各組織の災害対策メンバーを対象として、昨年度の中国豪雨等の対応を振り返り、改善点やノウハウを抽出する研修も実施していただきました。その研修講師をお任せしてファシリテーションをうまくやっていただいたのがとてもよかったですね。多分我々自身でやっていたら、あんなに和やかな雰囲気で多くの意見を引き出すことはできなかったと思います。
松浦部長 当日の研修の様子を見たり、アンケート結果を読んだりしても、あれほどまでに議論が白熱し、様々な意見を参加者からもらえるという効果と成果が上がるとは考えていなかったので、非常に価値がありました。次年度以降も継続し、より良い施策にしていきたいと考えています。
―課題として感じていらっしゃった業務の「見える化」はいかがですか?
松浦部長 プロセスのフローを「見える化」したことで、誰がどのプロセスで何をやるかが見えてきました。今はまだ「誰が」のところに個人の名前が書いてありますが、ゆくゆくは個人名の代わりに「全体統制」のような役割名を入れていきたい。そうするとポジションが明確になります。
深村室長 今はタスクを挙げていってもらっている段階です。各タスクを分類しそれをやるのが誰かがわかれば、デザインもできると考えています。これまでは各タスクのボリュームすら見えていなかったのが、今回かなり「見える化」されてきました。
―NTTExCパートナーのコンサルティングについての感想をお伺いできますか?
深村室長 最初は一問一答式のインタビューから少しずつ状況というか、全体のフレームと流れを把握され、その後は「それはこういうことですね」というように、上手に例えたりしながらメンバーから情報を引き出して下さったところがすごいなと思いました。個性豊かなメンバーの信頼を勝ち得て会話が噛み合うようになるスピードがとても早かったですね。と言っても我々におもねっていたかというと、そんなことはなく、適宜、問題提起もしながら議論をきっちりしていただいたので、我々自身も気づくところが沢山ありました。最終的にきちんとアウトプットとしてまとめていただいたので、非常に効率よく進めていただけたと思っています。
松浦部長 メインのコンサルタントのお二人が対照的で、組み合わせもとても良かったです。今まで何社ものコンサル会社にお願いしたことがありますが、だいたい似たようなタイプの賢そうな真面目な感じの人たちがずらっと並んで、毎回同じような資料を出してきて、会社の改善を語られる。それよりも親近感があって、メンバーも何でも言えて多くの気づきを得ることができました。
―今後の課題を教えて下さい。
松浦部長 施策を作っても徐々に陳腐化していつのまにか消えていたというのを沢山見てきたので、これは、自分がいなくなっても残り続けるものにしないといけないと思っています。
深村室長 実際、喉元過ぎるとやめてしまう施策が多い。特にコンサルティングをしてもらったものにその傾向が強いように感じています。会社の重要な課題だから外部の力も借りて取り組んだのに非常に勿体ない。続いているのは、外部認証の縛りがあるものでISOとかISMSなどですね。だから外部認証みたいなことと組み合わせるのも一つの方法かなとも思っています。今回こそ何とかして継続可能なシステムにしていきたいです。
―今回ご支援させていただいて、NTTグループとして御社の災害対応・危機管理という皆さんの取り組みがとても真摯であり、レベルが高いという印象を持ちました。皆さんがどのような思いでお仕事に取り組まれているのか、お一人ずつお聞かせいただけますか。
高橋主査 有事に今何が起こっているのかを早く正確に社内に伝えることを大切にしています。それによって復旧の対応が迅速になりますし、その先にはお客様がおられるのでどういう対応をしているのかも早く正確に把握するようにしています。
小林主査 役職に関係なくちゃんと話せるようにしないといけないということです。私たちは社内では危機管理室のメンバーですが、外に行くと「何?」と言われることがあります。例えばケーブルが切れて早く直してもらうため、情報をとったり調整をしたりするのに、事務方と話していても埒があかない場合があります。
そういう時にはトップをつかまえる。相手は支店長だったり、偉い部長さんだったりします。失礼かもしれませんが、土足でいくぐらいの度胸がないと、こちらの意見が通らないことがある。そういう時には、相手が社内でも社外でも誰であっても動じないような度胸は必要です。
篠原主査 危機管理室というところは、他組織からはすごく期待感を持たれています。その期待を裏切らないようにしたいなというのが一番です。情報発信にしても言われて出すのではなく、いいタイミングで発信する、内容にしても聞きたいことがその中に入っている。やりすぎてはいけないのでしょうが、相手にとって上げ膳据え膳のような形で対応することをポリシーにして取り組んでいます。
岸山部長 情報の出し手として、営業の目線に立ってお客様に伝えるのにどうしたら言い易いか、困らないか、突っ込まれないかなどを意識しています。いつでも全部をさらけ出すわけにはいかない。そのあたりの調整が自分の役割であると思っています。
渡辺社員 都道府県の地域防災計画への対応など、社外折衝が主な業務なのでいつも会社を代表しているという意識での対応を心掛けています。具体的には当然のことですが、きちんと期限を守るとかですね。
―本日は有難うございました。
(撮影:田島 光浩)
VOICE
シニアコンサルタント 青木 朋子当初、「危機管理」という専門スキルを持った人材の育成をどのようにしていくべきか、という課題意識から、グループの人材育成会社である弊社にお声がけをいただきました。そこでまず、人材育成だけでなく、危機管理室における全ての課題をざっくばらんにお話いただく「課題ヒアリング」というセッションを通じて、「課題解決の方向性」というコンサルティングレポートを作成、ご提示しました。レポートの提言の柱の一つが「ノウハウの見える化と体系化」だったことから、改めて正式にお仕事の依頼をいただきました。 今回、ご支援させていただいたのは、危機管理室メンバーの皆さんがこれまでの災害対応を振り返りながら議論し、作成された資料をもとに定例のミーティングでヒアリングを重ね、その内容をフローとプロセスにまとめる、ということがメインでした。 また、NTTコミュニケーションズ様には危機管理室以外にも、災害時に各組織で「災害対策員」という役割を担う社員が約760人いらっしゃいます。自然災害が頻発した2018年の災害対応の経験が“喉元すぎないうちに“、その方々を対象とした「振り返り研修」も今回初めて企画し、実施しました。「設備班」「サービス班」「お客様対応班」など、実際に活動をされている班ごとのグループを作り、災害発生当時の課題や改善点、うまくいったことなどを出し合って、改善策を考えると同時に、プロセスごとの全体の動きや他班との相互理解も深めていただきました。 きわめて大きな規模で災害対応に取り組まれているNTTコミュニケーションズ様の施策をご支援することは、私達にも大変なチャレンジでしたが、メンバーの皆さんの熱い思いと積極的な協力に助けられ、一定の成果を出すことができたのは大きな喜びでした。幸い今後の取り組みにも期待を寄せていただいているので、施策のさらなる発展をめざして力を尽くしていきたいと考えています。
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