人事評価制度を作る際の流れ・ポイントを解説
- 制度構築の基本的な流れ
- 評価方法の種類、面談時の注意点
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!

評価基準とは、人事評価の基準となる尺度のことです。企業や組織において従業員の能力や成果を適切に評価し、公正な人事制度を運用するために不可欠です。
近年、日本国内の企業では、評価基準の透明性向上やデジタル化の進展によって、より客観的かつ効率的な評価制度が求められています。
評価基準が曖昧なままだと、従業員のモチベーション低下や業績向上への影響が懸念されます。
そこで本記事では、評価基準の目的や種類を整理し、具体的な作成手順について詳しく解説します。
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!
評価基準とは、企業や組織が従業員の成果や能力を適切に評価するための指標や尺度をさします。
公正な評価制度を運用するためには、組織の目標や価値観に基づいた明確な評価基準が不可欠です。
「評価基準」と似た言葉に「評価規準」があります。
評価規準とは、評価を行う際に使用するルールのことを指します。特に教育現場で、学習状況を的確に評価するために使用されることが多く、人事評価の場面ではあまり使用されません。
ここでは、評価基準を作る主な目的を3つに分けて解説します。
適切な評価基準がない場合、評価のばらつきが生じ、従業員の納得感が得られにくくなります。
評価基準を明確に定めることで、以下のような効果が期待できます。
評価の基準が明確でないと、評価者によって判断が異なる恐れがあります。
たとえば、ある上司は部下の成果を厳しく評価し、別の上司は甘く評価するという事態が起こり得ます。
明確な基準を設定することで、公平性と一貫性を確保し、評価の客観性を高めることができます。
評価制度の透明性が低いと、従業員の不信感につながります。「どのような基準で評価されるのか」「昇進・昇給の根拠は何か」を明示することで、従業員は納得感を持ちやすくなり、組織への信頼性がアップします。
評価基準を明確にすることで、従業員は自身のキャリアパスを描きやすくなります。
たとえば、「昇進するためにはリーダーシップ能力が求められる」と明示されていれば、従業員は必要なスキルを積極的に習得するようになります。
評価基準が適切に設定されていると、従業員のやる気を引き出すことができます。
評価基準が曖昧だと、何をめざせば良いのかわからず、従業員のモチベーションが低下することがあります。
一方で、具体的な評価基準が示されていれば「この目標を達成すれば評価が上がる」という明確な指標となり、モチベーション向上につながります。
適切な評価基準のもとで人事評価が行われると、「努力が報われる」という信頼感が生まれます。
その結果、給与や昇進の決定が納得しやすくなり、従業員の離職防止にもつながります。
評価基準が明確であれば、従業員は「どのスキルを伸ばすべきか」を意識しやすくなります。
たとえば、「プレゼンテーション能力が高いと評価される」ことが明示されていれば、スキルアップを目指して研修やeラーニングを活用する動機づけとなります。
評価基準を企業の経営方針に基づいて設計すると、従業員の評価基準が企業目標と一致し、組織全体の生産性向上につながります。
評価基準を設定することで、従業員の業務改善のためのPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルがスムーズに回るようになります。
評価基準は、KPI(重要業績評価指標)とリンクさせることで、より戦略的な人事評価が可能になります。
たとえば、部門ごとに次のようなKPIが考えられます。
評価基準を部門ごとのKPIとリンクさせることで評価基準が企業の成長戦略と一致し、組織全体のパフォーマンスの向上が期待できます。
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!
企業における人事評価の基準にはさまざまな種類があり、組織の文化や事業戦略に応じて適切なものを採用する必要があります。本章では、代表的な6つの評価基準について解説します。
年功評価とは、従業員の勤続年数や年齢を基準に評価を行う方法です。
日本の伝統的な人事制度に根付いており、長く勤めるほど待遇が向上する仕組みです。
能力評価とは、従業員のスキルや知識、専門性を基準に評価を行う方法で、目標達成の結果によらず、達成できる能力があるかどうかを基準として評価します。
職務評価とは、従業員が担当する職務の重要性や責任の大きさを基準に評価を行う方法です。たとえば、正社員かアルバイトか、営業部門か総務部門かのような違いによって評価基準を設けます。
役割評価は、従業員が果たす役割や貢献度に基づいて評価を行う方法で、職務レベルに基づいて評価します。
上記の「職務評価」と似ており、同義で使われていることもあります。
特に、組織のリーダーシップやマネジメント能力を評価する際に有効です。
成果評価とは、業績や目標達成度を基準に評価を行う方法です。
営業職などの目標が数値化しやすい職種では特に有効です。
情意評価は、従業員の勤務態度やチームワーク、協調性などの行動特性を基準に評価を行う方法です。企業のビジョンに沿った行動を取れていたかなども評価基準となります。
評価基準を適切に設定することで、従業員の業務パフォーマンスを正しく評価し、組織の成長を促進できます。
ここでは、評価基準の作成プロセスを4つのステップに分けて解説します。
評価基準を作る際に最も重要なのは、企業の経営方針や事業目標に沿ったテーマを設定することです。
評価基準が組織の方針と一致していないと、従業員の行動が経営目標と乖離してしまう可能性があります。
たとえば、経営戦略として企業が「顧客満足度の向上」を掲げている場合、従業員の評価基準に「顧客対応力」や「クレーム処理のスピード」などを含めることで、目標達成に向けた行動を促すことができます。このように、経営戦略と評価基準との整合性を確保することが重要です。
評価基準のテーマが決まったら、具体的な評価項目を設定します。
評価項目が適切でないと、従業員が何をめざせばよいのかわからず、評価の納得感が低下してしまいます。
評価項目は、業務内容や職種に応じて、以下のように分けられます。
| 評価項目の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 成果評価 | 売上目標達成率、案件の成功率 |
| 能力評価 | プレゼンテーションスキル、リーダーシップ力 |
| 行動評価 | チームワーク、コミュニケーション能力 |
| 業務遂行評価 | タスクの完了率、納期遵守率 |
評価項目は「SMARTの原則」に基づいて設定すると、より明確になります。
たとえば、「売上目標達成率」を評価項目にする場合、「四半期ごとに80%以上の達成率を維持する」と具体的な目標を定めると、従業員も取り組みやすくなります。
評価の公平性を高めるために、職務のスキルや責任の範囲に応じてグレードを設定します。一般的には、以下のように3つのグレードに分類されることが多いです。
企業によっては、さらに細分化し、経営層向けのグレードを設けることもあります。グレードの段階数は組織の方針によりますが、一般的に4~6段階程度に設定するケースが多いです。
グレードは昇降する可能性があるため、各グレードの評価基準を明確にし、公平な判断ができるようにすることが重要です。明確な基準があることで、昇格・降格時の迷いや不公平感を防ぐことができます。
評価内容を、従業員の理想的な成長プロセスに沿って、5~7段階に分けます。
この時、役職や職務によって配分は考慮しましょう。
評価の透明性を高めるためには、評価内容を数値化できる項目を増やすことが有効です。
定性的な評価(たとえば「チームワークが良い」など)は主観が入りやすいため、できる限り数値化する工夫が求められます。
評価基準を作成する際には、ただ基準を設定するだけでなく、その運用方法や公平性を考慮することが重要です。
ここでは、評価基準を策定・運用する際の重要なポイントを解説します。
評価基準が不明確だと、評価者による判断のばらつきが発生し、従業員の不満や組織内の不公平感を招く可能性があります。
したがって、評価基準はできる限り明確に定めることが重要です。
曖昧な基準ではなく、具体的な行動指標を設けると評価の公平性を保てます。
評価の客観性を向上させるため、可能な限り数値化できる評価項目を設定しましょう。
評価方法には「相対評価」と「絶対評価」の2種類があり、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが求められます。
相対評価とは、従業員同士を比較して評価する方法です。
企業内でのパフォーマンスの分布を明確にし、評価のバランスを取るために活用します。
絶対評価は、個々の従業員の目標達成度やスキルレベルなどの基準に沿って評価する方法です。一定の基準を満たしていれば、全員が高評価を得ることも可能です。
公平な評価を行うためには、職種ごとに異なる評価基準を設けるだけでなく、全社共通で一律の評価基準を設定することも重要です。
たとえば、企業の理念や価値観を評価基準の一部に取り入れることで、組織の文化を浸透させることができます。
評価制度が適切に機能するためには、評価基準を従業員に周知し、納得してもらうことが不可欠です。
評価制度の改訂や導入時には、従業員向けの説明会を実施し、評価基準や評価方法を明確に伝えましょう。
従業員が納得できる評価制度を構築するためには、評価プロセスを透明にすることが重要です。
評価の流れを可視化し、どのように評価が決定されるのかを理解してもらうことで、不信感を軽減できます。
評価後は、個別にフィードバックを行い、評価の理由や今後の改善点を伝えることで、従業員の成長を促すことができます。
フィードバックを通じて、評価が一方的なものではなく、従業員の成長をサポートする仕組みであることを理解してもらうことが重要です。
評価基準の運用をスムーズに進めるために、管理職向けに評価の仕方を学ぶ研修やeラーニングを導入するのも有効です。適切な評価を行うスキルを向上させることで、評価の公平性と一貫性を高めることができます。
など、評価制度を作る際に重要なポイントをまとめています!
評価基準は、企業や組織が従業員の能力や成果を適正に評価し、公平な人事制度を運用するために不可欠な要素です。適切な評価基準を設けることで、従業員のモチベーションを向上させ、企業全体の生産性向上にもつながります。
評価基準の適正な運用は、企業の成長や従業員のキャリア形成に直結します。公平で納得感のある評価制度を整えることで、企業文化の向上、離職率の低下、業績向上が期待できます。
今回解説した内容を参考に、自社に適した評価基準の構築と改善を進めてみてください。
最後に、従業員の評価基準の納得度を高め、効果的に運用するために、評価者となりうる管理職層向けの研修を検討してみてはいかがでしょうか。
NTT ExCパートナーが提供する「新任管理者研修」や「部下指導力強化研修」では、納得性の高い評価方法と評価面談スキルや、部下の目標達成の実現可能性を高めるためのコーチングスキル、部下との関係構築の方法を学ぶトレーニングで、企業のエンゲージメント向上を支援します。
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また、評価運用の効率化には「タレントマネジメントシステム」の活用がおすすめです。システムを導入すると、社内の人材に関する情報を一元管理することが可能となり、人材配置や人材育成の最適化に役立ちます。導入したシステムを現場で戦略的に活用できれば、導入効果を最大化することも可能です。そのためにも、導入から運用まで戦略面のサポートが充実したサービスを選ぶと良いでしょう。人事制度の課題解決は、NTT ExCパートナーへご相談ください。
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