役員評価の方法とは?重要性と実施の流れ、主な項目、策定のポイント

  • 評価制度

企業の人事評価では、一般社員の評価だけでなく、会社役員の評価も適切な方法で行わなければなりません。会社役員は、企業の経営方針を策定したり、組織全体を管理したりする非常に重要な役割を担っています。役員のなかでも「取締役」「会計参与」「監査役」といった役職の設置は会社法で定められており、このほかに任意で「執行役員」の役職を設置することもあります。これらの会社役員を適切に評価するために、現状の人事評価制度を見直してみましょう。

本記事では、役員評価の方法を解説します。役員評価の重要性や、評価を実施する流れ、主な評価項目、評価基準を策定するポイントなどをお伝えします。人事評価に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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役員評価が重要な理由

役員評価とは、企業の役員を評価する取組みです。企業の人事評価においては、役員を適切に評価する仕組みが必要です。はじめに、役員評価の重要性について解説します。経営陣を評価する重要性を改めて理解した上で、現状の人事評価制度を見直してみましょう。

経営の透明性と公正性を確保するため

役員評価には、会社経営の透明性と公正性を確保するという重要な意味合いがあります。役員の役割や責任を明確にして、適切に評価する制度を整えることは、コーポレートガバナンスの強化につながります。コーポレートガバナンスとは、企業の経営を監視して、透明かつ公正に意思決定を行う仕組みのことです。役員評価制度を整備することでコーポレートガバナンスが強化されると、株主や取引先などを含むステークホルダーからの信頼が高まり、企業価値の向上が期待できます。

適切な報酬体系を構築するため

役員評価制度を整備して適切な報酬体系を構築すると、役員の能力やパフォーマンスを報酬に反映させられます。たとえば、「業績連動給与」のような企業の業績と役員報酬が連動する報酬制度を採用すると、役員の仕事の成果に応じてインセンティブを与えることが可能です。適切な報酬体系によって公平性が保たれることに加えて、役員のモチベーション向上が期待できます。また、魅力ある待遇で自社の経営陣に優秀な人材を確保しやすくなります。

企業経営の質を上げるため

役員評価を適切に実施すると、各役員の強みや改善点が明確になります。役員一人ひとりの能力開発につながることから、経営の質の向上が期待できるでしょう。経営では、さまざまな立場の関係者と信頼関係を構築するためのヒューマンスキルや、正確かつ迅速に経営判断を行う決断力、現場の業務に精通したテクニカルスキルをはじめとした多様な能力が不可欠です。役員評価によって経営者の成長を促すことで、組織全体の活性化につながります。

役員評価の策定から実施の流れ

ここでは、役員評価の策定から実施までの具体的な流れをご紹介します。自社の人事評価制度を見直す際は、ぜひ以下の評価プロセスを参考にしてみてください。

Step1.役員の評価構成を検討する

はじめに、役員の評価構成を検討しましょう。役員評価は、業務の成果にもとづいて評価する「業績評価」と、職務内容にもとづいて評価する「役割評価」の観点から行われます。評価構成は企業の方針によって異なり、「業績評価のみで評価を行うケース」と「業績評価と役割評価を組み合わせて評価を行うケース」があります。自社の経営方針に従って、評価構成を判断するとよいでしょう。

なお、「業績評価」と「役割評価」の特徴や具体的な評価項目については、以降で詳しく解説します。

Step2.評価基準を設定する

自社のビジョンや経営目標に応じて役員の評価基準を設定します。評価項目別に、自社における評価ウェイトを設定しましょう。評価ウェイトとは、評価項目の重要性や難易度などを数値化して、自社の人事評価における重要度を示したものです。重点的に取組むべき項目はウェイトの配分を大きくするといった形で調整を行います。

Step3.評価のアプローチや実施方法を決定する

役員評価に導入するアプローチ方法や実施方法を決定します。評価方法としては「自己評価」「相互評価」「360度評価」などが挙げられます。自己評価は、役員が自身の仕事を振り返って評価を行う方法です。一方、相互評価では役員間で互いに評価を行い、360度評価では役員に加えて管理職など複数の関係者を交えて多方面からの評価を行います。

Step4.評価者とプロセスを決定する

誰がどのようなプロセスで役員評価を行うかを策定します。評価対象となる役員全員へ向けて、評価のアプローチ方法・実施方法・プロセスなどを公開するとよいでしょう。その際は、自社が役員に対して求めることを明確に示すのがポイントです。評価の透明性と公正性が高まり、役員が自身の評価内容に対して納得しやすくなります。

Step5.評価を実施する

実際に役員評価を実施します。役員評価における評価期間は企業によって異なり、1年ごとに評価を行うケースもあれば、3~5年程度の中期で評価を行うケースもあります。その際、短期間で評価を行う場合は、中長期的な成果を評価するのが難しくなる点に留意しましょう。

Step6.評価結果をフィードバックする

評価後は役員を対象にフィードバックを実施します。これにより、役員が自身の強みや改善のポイントを把握しやすくなり、人材の成長やパフォーマンス向上につながります。また、策定した評価構成・評価基準・アプローチ方法・実施方法などは定期的に見直しを行いましょう。次回の役員評価へ向けて、人事評価制度の改善を繰り返すことが大切です。

役員評価の基準となる主な項目

役員評価の基準となる主な評価項目をご紹介します。一般的に、役員評価は「業績評価」と「役割評価」の観点から行われます。自社に適した役員の評価構成を検討するためにも、各項目の特徴を押さえておきましょう。

業績評価

業績評価とは、業務の成果にもとづいて人材の評価を行う方法です。役員や職位の高い従業員の評価で用いられるケースが多いといえます。一定期間の成果を定量的な指標によって測定することで、業績への貢献度を評価します。その際は、はじめに目標設定を行った上で、最終的に達成度を評価する流れで取組むのが一般的です。定量的な指標による客観性の高い評価を実現できます。

<例>

評価項目内容
戦略立案能力どのような経営戦略を策定したか
戦略実行力経営戦略の実行へどの程度貢献し実現したか
リスク管理能力想定されるリスクを防止するためにどのような対策を講じたか
財務管理能力経営資金を調達・運用しどのくらいの利益を出したか
グローバル対応力語学力や異文化理解力はどのくらいのレベルか
イノベーション創出力どのような新規商品・サービスを開発したか
組織改革力どのような組織改革を実現したか

役割評価

役割評価とは、職務内容にもとづいて人材の評価を行う方法です。職務内容の価値や重要性が高いほど評価が高くなり、「高度なスキルを要する職務」や「影響を与える範囲の広い職務」などは高く評価される傾向にあります。役員評価においても、定量化しにくい成果を評価するために採用されるケースがあります。前述した業績評価と組み合わせることで、より多角的な視点で人材を評価することが可能です。

<例>

評価項目内容
ビジョン提示力組織の将来像を明確に示し、社員を鼓舞できたか
意思決定力直面した状況に対して最適な意思決定の選択ができたか
コミュニケーション能力社内外の関係者と適切なコミュニケーションを取れたか
人材育成力育成対象者へ適切なアドバイスや将来の方向づけができたか
部門間の連携部門間の連携を円滑化し協力する体制を築けたか
自己啓発主体的な知識やスキルの向上に努めたか
倫理観・誠実性規範を守り誠実にビジネスを遂行したか
業界知識自社の業界に関する専門知識を有しているか

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役員評価の基準を策定する際のポイント

ここでは、役員評価の基準を策定する際のポイントをご紹介します。制度の導入へ向けて基準を策定するときは、以下のポイントを踏まえて設計するとよいでしょう。よりよい評価制度の運用を実現するために、ぜひ参考にしてみてください。

基準を明確にする

役員評価を行う際は、評価基準を明確にするとともに、役員全員に公開することが大切です。評価基準が曖昧な場合は、評価を受ける役員が納得しづらくなります。評価に対する不満が生じると、モチベーション低下にもつながりかねません。事前に明確な評価基準を共有して、透明性と公正性を確保しましょう。また、客観的な評価を行うために、できるだけ数値化できる指標を盛り込むこともポイントです。

多角的な視点を盛り込む

役員評価を行う評価者を選任する際は、多角的な視点を盛り込むことを意識しましょう。企業によっては、役員以外の複数の関係者が評価を担うケースもあります。評価者の例として、取締役会などの機関、外部の専門家、役員の部下にあたる部長など上位の管理職、人事部門の担当者などが挙げられます。多角的な視点で評価を行うことにより、客観性や信頼性を高めることが可能です。

評価項目を絞る

役員評価では、複数の評価項目を取り入れることで、多角的な評価がしやすくなります。ただし、単に評価項目が多ければよいというわけではありません。評価項目は自社の企業理念や経営方針を軸に選定し、重要性の高い項目を絞り込むようにしましょう。また、成果の定量化が難しい部門の担当役員を評価する場合は、業績評価と役割評価を組み合わせるなど、評価項目を工夫するのが望ましいといえます。

役員評価を行う際の注意点

役員評価は自社の従業員や株主にもかかわる重要な取組みです。納得できる評価制度にするために、注意しておくべきことがあります。適切な評価を実施するために、以下の注意点を押さえて制度の運用を行いましょう。

役員評価制度を受け入れる社内体制を整える

役員評価制度を見直す場合は、関係者に周知して新たな制度を受け入れる社内体制を整えることが重要です。その際は、制度導入の目的やメリットなどを共有する必要があります。人事評価の透明性と公正性が損なわれると、不満につながるおそれがあり、優秀な人材の離職を招くリスクがあります。導入の背景を丁寧に説明し、制度について理解してもらいましょう。

株主の意向をくみ取る

会社法では、役員報酬は定款または株主総会の決議によって定めるものとされています。役員報酬を変更する場合は、株主総会の承認が必要となります。株主の利益を守るためにも、役員報酬の決め方や金額の水準について株主の意向をくみ取った上で検討するとよいでしょう。役員報酬は株価に影響を与える可能性があることからも、慎重に設定しなければなりません。

(取締役の報酬等)
第三百六十一条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

【引用】「会社法」(e-Gov 法令検索)

評価制度を定期的に見直す

役員評価制度の運用を開始して以降は、将来的な組織や社会情勢の変化に応じて、運用方法を変更したほうが望ましい場合があります。定期的に制度を見直し、現状に即して柔軟に改善することが大切です。また、評価対象者や評価者の意見をヒアリングして、改善策を反映させることも必要だといえます。制度の定期的な見直しを怠らないようにしましょう。

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役員評価の方法を見直して経営の透明性と公正性を高めましょう!

本記事では、役員評価の方法に関する基礎知識や、役員評価の重要性、評価を実施する流れ、主な評価項目、評価基準を策定するポイントを解説しました。役員評価は、経営の透明性と公正性を確保する上で不可欠な取組みです。優秀な経営人材を確保するためにも、適切な評価制度を運用する必要があります。ここまでご紹介したポイントや注意点を参考に、現状の人事評価制度を見直してみてはいかがでしょうか。

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