ナレッジマネジメントにAIが役立つ理由やメリットを解説

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ナレッジマネジメントとは、組織内に点在する「知識(ナレッジ)」を収集・整理し、社員間で効果的に共有・活用する仕組みのことをいいます。近年では、AI技術の進化により、これまで人手に頼っていた知識の共有・活用のプロセスにも革新が起きつつあります。
この記事では、「ナレッジマネジメントにAIがなぜ有効なのか」、そして「導入にあたって押さえておくべきポイント」について、詳しくご紹介いたします。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、組織内に点在する「知識(ナレッジ)」を収集・整理し、社員間で効果的に共有・活用する仕組みのことをさします。ここでいうナレッジには、業務マニュアルやFAQのように誰でもアクセスできる「形式知」と、ベテラン社員の経験則や暗黙的なノウハウのように言語化が難しい「暗黙知」があります。これらを可視化・体系化し、組織全体の業務品質を高めていく取組みがナレッジマネジメントの本質です。

現代のビジネス環境では、リモートワークの普及や人材の流動化により、社内の知識が属人化・散逸しやすくなっています。こうした背景から、ナレッジマネジメントは人事戦略の一環としても、ますます重要性を増しています。

ナレッジマネジメントが必要な背景

ナレッジマネジメントが求められる背景には、「働き方の変化」「雇用の流動化」「デジタル化の進化」の3つがあります。

働き方の変化

近年、リモートワークやフレックスタイム制の導入など、多様な働き方が企業に浸透しつつあります。働く場所や時間が分散することにより、社員同士の対面での情報共有の機会が減少し、業務知識やノウハウの伝達が困難になる場面も増えました。こうした環境下では、従来の口頭伝承やOJTに依存した知識の共有には限界があり、ナレッジマネジメントの重要性が改めて見直されているのです。

雇用の流動化

日本では、少子高齢化による労働力人口の減少や、若い世代を中心とする就労意識の変化などにより、雇用の流動化が進んでいます。優秀な人材の転職が頻発する中、長年蓄積されてきた暗黙知が個人の退職とともに失われるリスクが高まっています。特にベテラン社員の退職や定年退職に伴うノウハウの継承は、企業にとって深刻な課題です。ナレッジマネジメントによって知識を可視化・体系化することで、こうしたリスクを軽減し、組織全体の持続的な知の蓄積が可能になります。

デジタル化の進化

テクノロジーの進化に伴い、企業内では日々膨大な量のデジタル情報が生成されています。その結果、メールやビジネスチャット、Web会議、社内SNS、ドキュメント共有ツールなど、情報が分散して存在するため、必要な知識に迅速にアクセスすることが難しくなっています。こうした分散情報を統合し、必要な情報を的確に抽出する仕組みとして、AIや検索エンジンを活用したナレッジマネジメントが注目されているのです。

ナレッジマネジメントの課題

では、ナレッジマネジメントを実施する上で課題となりやすいのは、どのような点でしょうか?

共有における課題

ナレッジマネジメントの最初の壁となるのが、「知識の共有」に関するハードルです。まず、技術的なハードルとして、組織内で利用されるシステムやアプリケーションは多種多様であり、それぞれが異なるデータ形式(文書、画像、動画、音声、データベース、スプレッドシートなど)や保存場所(ファイルサーバー、クラウドストレージ、SaaS、オンプレミスシステムなど)を持っています。これによりナレッジが分散し、一元的な検索やアクセスが困難になります。

また、社員の心理的なハードルも見逃せません。特にベテラン社員の中には、自分のノウハウを他者と共有することに抵抗感を抱くケースが少なくありません。さらに、「忙しいから」「記録するのが面倒」といった理由で、共有のためのアクションが後回しにされがちな点もあります。

管理における課題

ナレッジが蓄積される一方で、それを適切に「管理」する仕組みが整っていない組織も多く見られます。たとえば、社内ファイルサーバーやグループウェアに情報が分散して保存され、どこに何があるか把握できていない、バージョン管理が曖昧で古い情報が使われてしまう、といった状態はよくある問題です。管理体制の不備は、ナレッジの質と鮮度を低下させ、業務効率や意思決定にも悪影響を及ぼします。

検索性における課題

ナレッジを活用するためには、必要な情報に「すぐにアクセスできる」ことが前提となります。しかし、蓄積されたデータが膨大になるにつれ、検索の難易度は上がり、目的の情報に辿り着けないケースが増えています。また、キーワードの揺れや表記ゆれ、ファイル名やタグの不統一といった要因が、検索性の低下に拍車をかけます。こうした理由から、せっかくの知識が“埋もれてしまう”という問題が発生してしまいます。

ナレッジマネジメントにAIが役立つ理由

こうした課題を抱えがちなナレッジマネジメントに導入したいのが、AIです。その理由は、「情報の抽出・分析ができる」「自然な対話による検索ができる」「過去データを活用して予測できる」の3点です。

情報の抽出・分析ができる

AIの得意分野の一つが「大量データの解析」です。そこで、社内に点在する会議録やチャット履歴、業務マニュアル、報告書などのデータをAIが自動で読み取り、意味のあるナレッジとして抽出・分類します。こうすることで、従来は埋もれていた知識や暗黙知に近い内容までも活用可能となり、ナレッジベースの質・量ともに強化されます。また、AIが蓄積データを分析することで、頻出する課題や改善の傾向なども可視化され、業務改善にも貢献するでしょう。

自然な対話による検索ができる

近年、生成AIやチャットボットの進化により、社員が「話しかけるように検索」できる環境が整いつつあります。従来のキーワード検索では「検索ワードを知らないとたどり着けない」「表記ゆれで検索結果に差が出る」といった課題がありましたが、AIは自然言語処理を活用し、「○○についての過去の事例は?」「△△業務の手順書を教えて」などの曖昧な問いかけにも柔軟に対応可能です。この結果、現場の社員が必要な情報にストレスなくアクセスできるようになり、業務効率が格段に向上します。

過去データを活用して予測できる

AIを活用すれば、過去の膨大な社内データをもとに、将来の傾向やリスクを予測することも可能です。たとえば人事領域なら、「特定部署での離職率の傾向」や「研修効果と業績の相関性」などを分析・予測することで、戦略的人材配置や教育施策の最適化が可能になります。さらに、問い合わせ履歴や課題対応のパターンから、想定されるトラブルの兆候を検知し、先手を打つことも可能です。つまり、AIは単なる情報提供だけでなく、「次に起こり得ること」を示してくれるパートナーになる可能性を秘めているのです。

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ナレッジマネジメントとAIを組み合わせるメリット

ナレッジマネジメントにAIを組み合わせることで、知識の「集約・管理・活用」に変化が生まれます。以下で、主なメリットを解説します。

集約・管理のメリット:属人化の回避とナレッジの一元化が可能になる

AIは、日常業務の記録ややり取りから自動的に情報を抽出・分類し、ナレッジベースに集約してくれます。こうして、ベテラン社員の退職や異動などで失われがちな暗黙知も記録として残り、知識の属人化を防ぐことが可能になります。特定の人しか知らない業務フローや対応ノウハウが可視化され、組織全体で再利用しやすくなります。

活用のメリット:意思決定を高速化できる

AIを通じてナレッジに瞬時にアクセスできる環境を整えることで、業務の中で「調べる時間」や「教える時間」を大幅に短縮できます。これらは、検索性の高いナレッジベースや自然言語による対話型インターフェースを導入・活用することで実現可能です。
また、過去の対応履歴や成果データから導かれる情報を活用することで、マネジメント層の意思決定も、より迅速で正確なものにすることができます。

活用のメリット:育成とOJTを効率化できる

新人育成やOJTにおいても、AIによるナレッジサポートが有効です。たとえば、質問応答型のチャットボットを導入することで、新入社員が疑問をすぐに解消できる環境が整い、教育担当者の負担も軽減されます。また、AIが過去の育成データをもとに、各社員に最適なトレーニングコンテンツを推奨するなど、個別最適化された育成支援も実現することが可能です。

ナレッジマネジメントとAIの組み合わせを実現するサービス

ナレッジマネジメントとAIの組み合わせを実現するサービスも提供されています。
ここでは、「YourNavi‐QAI‐総務」「AIアバター制作サービス」の2点をご紹介します。

YourNavi‐QAI‐総務

「YourNavi‐QAI‐総務」は、生成AIチャットボットサービスです。お問い合わせと回答をAIで自動作成できるため、稼働削減できるほか、利用者とのやりとりを用いてFAQとして取り込むことも可能です。市場の類似サービスと比較して、安価に導入できる点もメリットです。長年、HR系の業務コンサルを行ってきた当社の強みを活かし、特に総務系の分野におけるお問い合せチャットボットとして、チューニングから運用支援までをトータルサポートしています。

詳しくは、下記の公式サイトをご覧ください。

AIアバター制作サービス

「AIアバター制作サービス」は、プロモーションやプレゼンテーション、説明用のファシリテーターなど、あらゆるシーンに最適化されたオリジナルAIアバターを制作するサービスです。最先端の編集技術と革新的なAI技術を駆使し、多彩なスタイルのAIアバターを一貫して制作・提供しています。

ナレッジマネジメントの観点では、集約した情報を多言語でわかりやすく発信したい場合に、活用することができます。

導入前のご相談から運用までサポートしておりますので、AIアバター制作がはじめてという企業さまにもおすすめです。
詳しくは、下記の公式サイトをご覧ください。

まとめ

ナレッジマネジメントは、単なる情報の蓄積にとどまらず、企業の知的資産を最大限に活用し、競争力を高めるための重要な経営施策です。特に人事部門では、ノウハウの継承や人材育成の効率化といった課題解決の鍵として、注目を集めています。

その中で、AIの活用はナレッジマネジメントに大きな変革をもたらします。情報の自動抽出・整理、自然言語による検索性の向上、さらには予測分析による業務改善支援など、多くの場面でAIは力を発揮しています。属人化の解消や教育の効率化、意思決定の高速化といった成果も期待できるでしょう。今後ますます多様化・複雑化していくビジネス環境の中で、AIとナレッジマネジメントを組み合わせることで、組織の知を持続的に活かし、強靭な人材基盤を築くことが可能になります。

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