ジョブ型人事制度とは?メンバーシップ型との違いや設計のポイント

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近年、DXの推進やリモートワークの普及に伴い、成果重視の「ジョブ型人事制度」への注目が高まっています。「若手・中堅の離職が相次いでいる」「高度な専門人材を採用できない」といった、従来のメンバーシップ型人事制度の限界に頭を悩ませている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。 
本記事では、ジョブ型人事制度の基礎知識やメンバーシップ型との違い、導入のメリット・注意点をわかりやすく解説します。さらに、よくある失敗例とその対策を踏まえた、具体的な制度設計の手順まで網羅しました。

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ジョブ型人事制度とは?

ジョブ型人事制度は、企業が必要とする職務内容を明確に定義し、職務を遂行できるスキルを持った人材を配置する仕組みです。ここでは、ジョブ型人事制度の基本的な考え方と、日本企業で広く採用されてきたメンバーシップ型との違いについて解説します。

項目ジョブ型人事制度メンバーシップ型人事制度
採用の基準特定の職務に必要なスキルを持つ人材潜在的な能力や適性を持つ人材
評価の対象職務の成果や遂行能力勤続年数や協調性などのプロセス
報酬の決定職務の難易度や責任の重さ年齢や社歴に応じた等級
配置転換基本的に職種をまたぐ異動はない部署をまたぐ定期的な異動がある

特定の職務に対して必要なスキルを持つ人材を割り当てる

ジョブ型人事制度の大きな特徴の一つは、人ではなく仕事に対して評価や報酬が紐づいている点です。まず企業が経営戦略を達成するために必要な仕事を特定し、それぞれの職務に必要なスキルや責任の範囲を明確に定めます。その上で、職務を高いレベルで遂行できる人材を社内外から選定し、適切なポジションに配置します。この仕組みにより、年齢や社歴に関係なく、実力のある人材が正当な評価を受けやすくなると考えられます。また、従業員自身も自分が何を期待されており、どのような成果を出せば評価されるのかが明確になるため、納得感を持って業務に取組みやすくなるでしょう。

年功序列を前提とするメンバーシップ型とは評価や採用基準が異なる

日本企業で長らく主流であったメンバーシップ型人事制度は、人を採用してから仕事を割り当てるという考え方にもとづいています。新卒一括採用などでポテンシャルのある人材を確保し、ジョブローテーションを通じて社内のさまざまな業務を経験させるのが一般的です。長期的な視点でゼネラリストを育成し、会社全体の一体感を高める効果が期待できる手法です。一方で、ジョブ型人事制度では最初から担当する職務が限定されており、入社直後から専門的なスキルの発揮が求められます。評価基準も、メンバーシップ型が勤続年数やプロセスを重視する傾向があるのに対し、ジョブ型は仕事の成果や職務遂行能力を重視して評価する傾向にあります。

なぜ今ジョブ型人事制度が注目されているのか?

政府や経団連といった政策・経済界からの後押しも、導入機運を高める大きな要因となっています。政府は「骨太方針2024」の中で、労働移動の円滑化・リスキリング支援とあわせた「三位一体の労働市場改革」の一環として、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事制度(職務給)の導入促進を掲げました。経団連もかねてより、メンバーシップ型を基本としつつジョブ型を組み合わせる「自社型雇用システム」への移行を提言しています。

変化の要因従来の人事制度における課題ジョブ型導入による解決策
価値観の多様化終身雇用への期待が薄れ離職が増える専門性を高めるキャリアパスを提示できる
技術の進化IT分野の専門人材が社内で育たない高待遇で即戦力を外部から採用できる
働き方の変化リモートワークで勤務態度が見えにくい成果ベースで明確な評価が可能になる

キャリアの多様化で終身雇用の維持が難しいため

近年、終身雇用制度や年功序列の継続が難しいと感じている企業が増えていると言われています。働く人々の価値観も多様化しており、一つの会社で定年まで働き続けるよりも、自身のスキルを活かして転職や独立を選ぶ人も少なくありません。ジョブ型人事制度は、担当する職務と必要なスキルが明確なため、従業員が自身のキャリアパスを描きやすくなります。会社側も、明確な職務要件を提示することで、従業員のスキルアップを計画的に支援できるでしょう。自律的なキャリア形成を後押しする環境を整えることは、従業員のエンゲージメントを高める上でも役立ちます。

DX推進で高度な専門スキル人材が不足しているため

多くの企業がデジタルトランスフォーメーションに取組む中で、データサイエンティストやエンジニアなどの高度IT人材の獲得競争が激化しています。年功序列を基本とするメンバーシップ型の報酬体系では、若く高い専門性を持つ人材に市場価値に見合った給与を提示することが困難と言われるようになりました。優秀な人材が外資系企業や新興IT企業に流出してしまう要因のひとつとも考えられます。ジョブ型人事制度を導入すれば、職務の市場価値にもとづいて柔軟に報酬を設定できるようになります。年齢や社歴にかかわらず、特定の分野で突出したスキルを持つスペシャリストを迎え入れられるようになるでしょう。

リモート普及で成果重視の働き方が定着したため

社会情勢の変化に伴い、リモートワークを採用する企業が増加しました。オフィスで顔を合わせる機会が減ったことで、上司が部下の勤務態度や業務プロセスを細かく把握することが難しくなっています。従来のプロセス重視の評価制度では、リモート環境下で公平な評価を行うことに困難が生じていると言えるでしょう。ジョブ型人事制度は、職務ごとに期待される成果があらかじめ定義されているため、働く場所にかかわらず客観的な評価が可能と言われています。従業員にとっても、達成したい目標が明確になっていることで、自律的に業務を進めやすくなるでしょう。

ジョブ型人事制度を導入するメリット

ジョブ型人事制度の導入は、企業と従業員にさまざまなポジティブな変化をもたらします。特に、人材の適材適所や組織の生産性向上といった面で大きな効果が期待できます。ここでは、ジョブ型人事制度を導入することで得られる具体的なメリットを詳しく見ていきます。

項目期待される具体的な効果組織への長期的な影響
コスト管理職務に見合った報酬の支払いで人件費を最適化利益率の向上と戦略的な投資枠の確保
採用活動求めるスキル要件の明確化によるミスマッチ防止優秀な人材の定着と採用コストの削減
人材戦略業務範囲と必要スキルの可視化による適正配置経営戦略に連動した中長期的な人材運用の実現

メリット1:職務と報酬の連動で人件費を最適化できる

ジョブ型人事制度では、職務の難易度や責任の重さにもとづいて報酬が決定されます。会社が必要としている職務に対して適切な予算を配分できるため、人件費の最適化につなげられます。また、成果や貢献度に見合わない報酬を支払うリスクも軽減できるでしょう。限られた原資をパフォーマンスの高い人材に厚く配分することで、組織全体のモチベーション向上も期待できます。コストを適切にコントロールしながら、同時に従業員の納得感も高められる点が大きな強みと言えます。

メリット2:専門性の高い即戦力人材を獲得できる

中途採用市場において、ジョブ型人事制度は強力な武器となり得ます。募集するポジションの職務内容や期待する成果(ジョブディスクリプション)が明確に提示されているため、候補者は入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。自身のスキルがどのように評価され、どれだけの報酬を得られるかが透明化されていることは、大きな魅力になるでしょう。従来の給与テーブルでは採用が難しかった高度な専門人材にもアプローチしやすくなるはずです。明確な基準で採用活動を行うことで、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

メリット3:業務範囲が明確になり人材戦略を立てやすい

ジョブ型人事制度の基盤となるのは、社内に存在するすべての職務を洗い出し、定義する「ジョブディスクリプション(職務記述書)」の作成です。各ポジションの業務範囲や求めるスキル要件が可視化されるため、経営戦略に連動した精度の高い人材戦略を立てやすくなるとされます。具体的には、組織に「どのような専門スキルを持った人材が、どこに、何人不足しているのか」をリアルタイムで把握できるようになるでしょう。根拠にもとづいた計画的な中途採用や、適材適所の配置転換、次世代リーダーの育成につながるはずです。勘や経験に頼らない、データドリブンで再現性の高い人材マネジメントを実現できる点が、中長期的な組織成長においてメリットとなります。

ジョブ型人事制度を導入する際の注意点

メリットが多いジョブ型人事制度ですが、導入にあたってはいくつかのデメリットやリスクも存在します。自社に合った適切な人事制度であるか、慎重に検討しましょう。ここでは、ジョブ型人事制度を運用する上で直面しやすい課題について解説します。

想定される課題具体的なリスクの内容運用への影響
運用の負担増職務の正確な定義と定期的な維持更新が必要制度のメンテナンスに伴う労力やコストの増大
離職リスクより好条件の企業へ転職されやすい優秀な人材の引き留めコストが増大する
育成の偏り柔軟な配置転換が難しくゼネラリストが育ちにくい全体を見渡せる経営人材が不足する恐れ

職務の正確な定義、維持更新が必要

ジョブ型人事制度の成功のためには、各ポジションの業務内容や責任範囲、必要なスキルをまとめた「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を正確に作成する必要があります。しかし、実際の業務は複雑に絡み合っていることが多く、すべての職務を過不足なく厳密に定義することは容易ではないでしょう。さらに、事業環境の変化や組織改編に伴って日々の業務内容も変わるため、一度作成して終わりではなく、定期的な維持更新(メンテナンス)が求められます。見直しを怠ると、実態と乖離した形骸化された制度になりかねません。人事や各現場の管理職における運用の負担を十分理解しましょう。

好条件の他社へ人材が流出しやすい

自身の専門スキルを活用して働くジョブ型人材は、市場価値に対する意識が高い傾向にあるのが特徴です。社内での評価や報酬が自身のスキルに見合っていないと感じれば、よりよい条件を提示する他社へ転職してしまうこともあります。特に、労働市場で需要の高いITエンジニアなどの専門職は、他社からの引き抜きにも合いやすい状況にあると言われています。優秀な人材を維持するためには、常に外部市場の報酬水準をモニタリングし、自社の待遇をアップデートし続けましょう。定期的な面談を通じてキャリアの希望をヒアリングするなど、金銭面以外での従業員エンゲージメント向上策もあわせて検討するのがおすすめです。

柔軟な配置転換が難しくゼネラリスト育成がしにくい

ジョブ型人事制度は特定の職務に特化したスペシャリストを育成するのに勧められます。しかし、さまざまな部署を経験し、会社全体を見渡せる経営幹部候補を育てることにはあまり向かないとされます。職種をまたいだジョブローテーションを行うと、異動先で一時的にスキル評価が下がることも少なくないため、異動に抵抗感が生まれる可能性もあります。専門職向けと管理職候補向けでキャリアコースをわけるなどの対策を取入れる企業も増えています。自社の将来に必要な人材ポートフォリオを見据え、育成方針を慎重に設計しましょう。

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ジョブ型人事制度の導入で陥りやすい失敗例と対策

他社の成功事例をそのまま真似してジョブ型人事制度を導入しても、うまく機能しないケースは少なくありません。組織の風土や現状の課題に合っていない制度設計は、かえって従業員の不満を招く要因になり得ます。ここでは、導入時に陥りやすい失敗のパターンと、防ぐための具体的な対策を紹介します。

陥りやすい失敗失敗の原因有効な対策
チーム連携の低下個人の業績のみを評価基準にしたチームへの貢献度を評価項目に組み込む
制度の形骸化現場の管理職が新制度を理解していない評価者向けの研修を定期的に実施する
現場の混乱と反発全従業員に一斉に新制度を適用した経営層や管理職から段階的に導入を進める

失敗例:個人の成果に偏重し組織のチームワークが希薄になる

ジョブ型人事制度を導入した結果、個人主義が強まりすぎて組織の協力体制が崩れてしまうケースも存在します。自身の目標達成に集中するようになり、同僚のサポートや後輩の指導といった評価に直結しない業務に注力しにくくなります。職場の雰囲気が悪化し、長期的なチームの生産性が低下しかねません。チーム力低下を防ぐためには、個人の業績だけでなく、チーム全体への貢献度も評価の対象に含めることが重要です。たとえば、ノウハウの共有や若手の育成といった行動を明確な評価基準として設定しましょう。個人の成果とチームの協調性のバランスを取る仕組みを制度に組み込むことが、健全な組織運営の鍵となるはずです。

失敗例:評価基準が現場に浸透せず従来の運用に戻る

制度の枠組みだけを作り上げても、実際に評価を行う現場の管理職が使いこなせなければ意味が薄くなってしまいます。評価の納得感が得られなければ、従業員のモチベーションが逆に低下する可能性もあります。制度を正しく運用するために、評価者に対する継続的な研修とサポートを実施するのがおすすめです。ジョブディスクリプションの正しい読み解き方や、成果にもとづいた客観的なフィードバックのスキルを身につけてもらいましょう。人事部門が評価結果のばらつきをモニタリングし、適切に介入していく姿勢も求められます。

失敗例:全社一斉導入により現場の混乱や反発を招く

制度の変更は従業員の生活やキャリアにも影響するため、全社一斉に急激な移行を行うと、現場に強い混乱や反発を招くリスクがあります。十分な説明がないまま導入を強行すれば、多くの離職を引き起こす原因ともなり得ます。混乱や反発を避けるための対策として、まず部長職や課長職といったマネジメント層からテスト的に導入をはじめるアプローチがおすすめです。管理職自身が新しい制度を体験し、運用上の課題を洗い出してから段階的に一般従業員へと対象を広げていくことで、現場の動揺を抑える効果が期待できます。

ジョブ型人事制度を設計・導入する具体的な手順

ジョブ型人事制度の導入は組織のあり方を根本から見直す一大プロジェクトです。場当たり的な対応ではなく、全体像を見据えた計画的な進行が求められます。ここでは、制度設計から導入・運用に至るまでの具体的なステップを順番に解説します。

導入ステップ実施する主な内容達成したい目標
1.職務の明確化経営戦略から必要なポジションを逆算する組織に存在する全職務の棚卸し
2.記述書の作成職務の責任範囲や必要スキルを文書化するジョブディスクリプションの完成
3.等級と報酬の設計職務の難易度に応じて給与水準を決定する外部市場と比較した適正な報酬体系の構築
4.評価と育成の連動成果を測る基準とスキルアップの仕組みを作る制度運用と人材育成のサイクル確立

ステップ1:経営戦略にもとづき職務と要件を明確にする

人事制度改革の第一歩は、自社の将来のビジネス戦略を深く理解することからはじまります。数年後にどのような事業を展開し、そのために必要となる人材像を経営陣と議論し、言語化しましょう。経営の方向性と人事制度がずれていては、組織の成長を後押ししにくくなります。戦略が明確になったら、現在の組織に存在するすべての職務を洗い出します。それぞれのポジションが事業においてどのような役割を担い、どのレベルの専門性や経験が求められるのかを整理していきましょう。職務の整理を通じて、現在不足している人材要件や、将来不要になる業務が見えてくるはずです。

ステップ2:目的と責任をジョブディスクリプションに落とし込む

洗い出した職務の内容を、客観的な文書としてまとめる作業がジョブディスクリプションの作成です。文書には、職務が存在する目的、具体的な業務内容、責任の範囲、権限の大きさなどを詳細に記載します。職務を遂行するために必要な資格やスキル、経験年数といった要件も明確に定めましょう。ジョブディスクリプションは、採用活動の基準となるだけでなく、従業員の評価や育成の基盤となる重要なツールです。作成にあたっては人事部門だけで完結させず、実際に業務を行っている現場の管理職や担当者とすり合わせを行い、実態に即した内容へ仕上げることが大切です。環境の変化に合わせて定期的に見直す仕組みも、あわせて構築しておきましょう。

ステップ3:職務難易度に応じた等級と報酬水準を設定する

職務の定義が完了したら、それぞれの仕事の価値を相対的に評価し、社内の等級(ジョブグレード)を決定しましょう。たとえば、経営に与える影響の大きさや、問題解決の難易度といった基準を用いて、すべての職務を適切な階層にマッピングしていきます。等級は、そのまま従業員の基本給を決定する土台となります。報酬水準を決定する際には、社内の公平性だけでなく、外部労働市場の相場への意識も大切です。同業他社が同じような職務に対してどれくらいの給与を支払っているのかを調査し、競争力のある金額を設定しましょう。手当などの属人的な項目はできる限り整理し、仕事の価値に直結したシンプルな報酬体系をめざすのが理想的です。

ステップ4:評価制度と育成体系を連動させて成長を促す

職務と報酬の土台ができたら、運用するための評価制度を設計しましょう。ジョブ型人事制度における評価は、ジョブディスクリプションに記載された期待役割に対して、どれだけの成果を出せたかを測るのが基本です。上司の主観を排除し、事前に設定した定量的な目標の達成度で評価する仕組みを整えます。同時に、従業員がより高い等級をめざすためのスキルアップを支援する育成体系も構築します。次のステップに進むために何が足りていないのかを評価面談で明らかにし、補うための研修プログラムや学習機会を提供しましょう。評価と育成が両輪となって機能することで、従業員の成長意欲を継続的に引き出しやすくなります。

ジョブ型人事制度導入の判断基準

ジョブ型人事制度は万能な解決策ではなく、企業が置かれている状況や事業特性によって向き不向きがあります。自社にとって本当に最適な選択なのかを見極めるための、いくつかの重要な視点を提示します。

判断の切り口導入を検討したい状況慎重に判断したい状況
事業の成長戦略特定分野の専門家が事業の成否をわける全体最適を見渡せるゼネラリストの育成が必要
組織の現状評価の不透明さから若手の離職が止まらない人材の配置転換やローテーションを重視している
既存制度との併用部門や職種によって求められる人材タイプが大きく異なる全社一律の制度運用が組織の一体感を支えている

専門人材の確保が事業成長の鍵になっているか

高度なITスキルや特殊な専門知識に依存するビジネスモデルでは、従来の給与テーブルでは採用しにくい市場価値の高い人材を柔軟な報酬設定で獲得しやすくなるため、ジョブ型人事制度の導入が有効と考えられます。専門人材の不足が経営上のボトルネックになっているのであれば、制度移行を前向きに検討するとよいでしょう。逆に、特定の専門性よりも、社内の幅広い業務に精通した人材が継続的に必要な事業構造であれば、ジョブ型のメリットは限定的になりがちです。自社の競争力の源泉がどこにあるのかを冷静に見極めることが、判断の第一歩となります。

年功的な評価で若手・中堅の離職が増えているか

実力に見合わない評価や、なかなか進まない昇給に不満を抱き、優秀な若手や中堅従業員が相次いで離職する状況になっている場合は深刻です。状況を変えていくには、成果や実力を正当に評価し、適正な報酬で報いるジョブ型への転換が効果的な打開策となり得ます。明確なキャリアパスと透明性の高い評価基準を示すことが、若手従業員のモチベーション回復への近道です。現状の制度に対する従業員の不満やエンゲージメントの状態を調査し、声に耳を傾けましょう。

メンバーシップ型との併用余地があるか

必ずしもジョブ型人事制度かメンバーシップ型かという二者択一で考える必要はありません。日本企業の多くは、両者のメリットを組み合わせた「ハイブリッド型」の制度を模索しています。たとえば、高度な専門性が求められる研究開発やIT部門にのみジョブ型を適用し、それ以外の部署は従来型の運用を続けるという方法です。または、新卒入社から数年間はメンバーシップ型で幅広い経験を積ませ、一定の等級に達した段階で専門性を問うジョブ型に移行するといったグラデーションをつけることも可能です。自社の組織文化やこれまでの強みを完全に否定するのではなく、よい部分を残しながら必要な改革を取入れていく姿勢が、成功の鍵になるでしょう。

人事制度の改定を専門家に依頼したいケース

人事制度の大幅な見直しは、社内のリソースだけで完結させるにはハードルが高いプロジェクトです。外部の知見やノウハウを借りることで、プロジェクトの進行がスムーズになり、制度の質も大きく向上します。ここでは、自社での対応に困難を感じ、外部のコンサルティングサービスを活用するのがおすすめの具体的な状況について解説します。

組織の状況専門家に依頼することで得られるメリット
意見の対立客観的なデータにもとづく中立的な制度設計が可能になる
人手不足膨大な調査や資料作成を委託し、人事担当者の負担を軽減できる
運用の不安評価者研修やマニュアル作成など定着までの伴走支援を受けられる

経営と現場を調整し客観的な方針を作りたいとき

人事制度の改定では、コストを抑えたい経営層と、待遇改善を求める現場の従業員との間で意見が衝突することもあるでしょう。人事部門が社内の調整役を担うだけでは、双方が納得する着地点を見つけるのが難しく、プロジェクトが行き詰まることもあり得ます。関係者間の意見整理が難航する場面では、第三者である専門家に介入してもらうのがおすすめです。専門家は他社の事例や市場データといった客観的な事実にもとづいて、中立的な立場から制度の方向性を提案します。公平で透明性の高い制度を構築するには、外部の視点を取入れることが大切なのです。

人事のリソース不足で設計・運用が回らないとき

ジョブディスクリプションの作成や等級定義書の設計には、相応の時間と労力がかかります。日常の採用業務や労務管理に追われている人事部門にとって、作業を並行して進めることが物理的に困難なケースも少なくないでしょう。作業が遅延すれば、当初予定していた導入時期に間に合わなくなるおそれもあります。外部のコンサルタントに実務の一部を委託することで、プロジェクトを計画どおりに推進しやすくなります。専門家は効率的なフォーマットや独自のノウハウを持つため、短期間で質の高いアウトプットが期待できる点も魅力です。

研修や定着まで一気通貫で支援してほしいとき

制度の構築までは自社でできても、現場に定着させる段階でつまずく企業も存在します。新しい評価基準を正しく運用するためのマニュアル作成や、管理職向けの評価者研修を一から企画するのは簡単ではないでしょう。制度が形骸化するのを防ぐには、導入後のフォローアップが求められます。実績のあるコンサルティングの専門家は、制度を作るだけでなく、現場での運用が軌道に乗るまで長期的に伴走します。評価結果の分析や、想定外のトラブルに対するアドバイスなど、実運用に即したサポートを受けられるのは大きな安心材料になるでしょう。制度設計から定着化までを一気通貫で支援してもらうことで、改革の成功確率を高めやすくなります。

ジョブ型人事制度の導入・定着をトータルで支える「人事制度設計・育成体系構築」

ジョブ型人事制度への移行を成功させるためには、制度を設計するだけでなく、現場の運用に根づかせる仕組みづくりが求められます。しかし、いざ導入を進めようとしても、職務定義の複雑さや評価基準の刷新などに頭を悩ませる企業さまも少なくないでしょう。そこで、ジョブ型の考え方を自社にスムーズに取入れたい企業に向けておすすめしたいのが、NTT ExCパートナーの人事制度設計・育成体系構築コンサルティングです。

職務や役割の明確な整理からはじまり、等級・評価・報酬制度の設計にいたるまでを一体となって支援します。さらに、各職務に必要とされるスキルにもとづく育成体系の構築までワンストップで手がけられる点も大きな強みと言えます。制度を作る段階で終わらせず、現場で実際に運用され、定着するまで一気通貫で伴走するため、はじめての制度改定でも安心です。「自社に最適なジョブ型人事制度を実現したい」「組織の成長に直結する仕組みに変えたい」とお考えの経営層や人事担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ:事業戦略と連動したジョブ型人事制度を構築する

この記事のポイントをまとめます。

  • ジョブ型人事制度は職務内容と報酬が連動するため人件費の最適化や専門人材の獲得に効果を発揮する
  • リモートワークの普及や高度IT人材の不足を背景に成果主義をベースとした新しい制度への移行が急務となっている
  • 導入時はチームワークの低下や優秀な人材の流出リスクに注意し、段階的に進めることが成功の鍵となる
  • 自社の強みや組織文化を考慮しメンバーシップ型とのハイブリッド運用も視野に入れた慎重な制度設計が求められる
  • 社内の意見調整やリソース不足に課題を感じる場合は専門家のコンサルティング支援を活用することが推奨される

人事制度の改革は一朝一夕には成し得ませんが、自社の未来を見据えて取組むことで、組織の競争力は確実に高まります。

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