組織力強化の方法とは?必要とされる背景、組織力の高い企業の特徴

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企業における「組織力」とは、従業員の団結によって発揮される大きな力や、実行力のことです。一人の力で実現・達成できることには限りがありますが、従業員間で連携を取って助け合えば、より大きな成果を出せる可能性があります。企業のビジョンや戦略を叶えるためにも、組織が一体となったときに発揮される組織力が欠かせません。

この記事では、そんな組織力を強化する方法について解説します。組織力が重視される背景や、組織力が高い企業の特徴のほか、組織強化を支援するソリューションもご紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。

組織力強化が重要な理由

なぜ近年は組織力強化の施策に注目が集まっているのでしょうか。はじめに、組織力強化の重要性を解説します。

企業として存続していくため

組織力の高い企業は、スピーディーな意思決定や変化への柔軟な対応ができるため、事業を継続しやすくなります。特に近年の情報化社会では、短期間で市場のトレンドやニーズが変遷し、たった数年先の予測も困難な状況です。こうした時代に企業を存続させるには、従業員が主体的に動ける組織をめざす必要があります。

組織内の意見調整や意思決定をスムーズに進めるため

組織内の意見調整や意思決定をスムーズに進めるには、個々のメンバーの強固な連携が不可欠です。企業では、経営層から現場の従業員まで多くの人が、経営方針や会議の日程調整など大小さまざまな意思決定に携わっています。最終的に組織のビジョンや戦略を実現する際も、経営者と従業員が同じ方向性で推進できる組織力が求められます。

組織力が高い企業の特徴

ここでは、組織力が高い企業の具体的な特徴をご紹介します。組織開発の取組みへ向けて、めざすべき組織の理想像を改めて確認してみましょう。

企業理念やビジョンが浸透している

経営者が掲げる企業理念・ビジョン・経営方針・経営戦略などが現場の従業員にも浸透している企業は組織力が高い傾向にあります。そのため、日々の業務における行動や判断にも、組織の価値観が反映されます。たとえば、「顧客第一」の価値観が浸透した企業では、従業員が自然と顧客満足度を優先する行動や判断を行う傾向にあるでしょう。

企業と従業員が目標を共有している

組織力の高い企業は、企業と従業員が同じ目標を共有し、組織としてめざすべき方向性が明確になっています。「今期の業績目標」や「創業周年へ向けた指針」などの重要な目標が従業員へ共有されており、組織のメンバーが一体感をおぼえ、目標達成に対する意欲が高い状態です。

従業員同士に助け合いの精神がある

従業員に助け合いの精神が根付いており、お互いに協力することが当たり前になっている企業は、組織力が高いと言えます。一人ひとりが「何か協力できることはないか」と主体的に考えて行動を起こす傾向にあり、たとえば、「困っている部下や後輩の話を聞いてアドバイスをする」「他部署や別プロジェクトのために情報共有する」といった行動が挙げられます。

コミュニケーションが活発に行われている

組織力に優れる企業では社内コミュニケーションが活発で、従業員間に信頼関係が築かれています。業務中の適度な雑談や情報交換が日常的に行われており、職場の風通しがよい状態です。こうして従業員エンゲージメント(=会社への愛着や熱意)が向上すると、仕事で高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。

心理的安全性が高い

心理的安全性とは、従業員が安心してアイデアを出したり、挑戦したりできる環境のことで、組織の進展に貢献する要素の一つです。組織力の高い企業は、心理的安全性が高い傾向にあります。たとえば、役職・年代・部署などの垣根を越えて安心して発言できる仕組みが整っていると、心理的安全性を高めることができます。

従業員へ適切な責任と権限が付与されている

従業員に対して責任と権限が与えられていれば、一人ひとりが責任感や当事者意識を持って仕事に取組むことができます。バランスの取れた適切な権限責任は、変化に強い組織づくりにも貢献するため、組織力が高くなります。現場の責任者に決定権を与えることで、迅速かつ柔軟な対応を実現することが可能です。

適材適所の人事配置が行われている

一人ひとりの従業員のスキルや性格に合わせて、最適な人材配置が行われている企業は組織力が高い傾向にあります。たとえば「内向的で慎重な従業員を、精度の高さを求められる作業に配置する」といった配置が挙げられます。従業員が強みを発揮できることで、組織への帰属意識が高まり、パフォーマンス向上につながります。

公平な評価制度が導入されている

優れた組織力を持つ企業では公平な人事評価制度が導入されています。客観的な数値や役割などにもとづいて評価する仕組みがあれば、透明性や一貫性が確保され、従業員が評価内容に納得しやすくなるでしょう。評価基準の例として「年功評価」「能力評価」「職務評価」「役割評価」「成果評価」などがあります。

なお、従業員の成果や能力を適切に評価する基準については、以下の関連記事で解説しています。本記事と併せてお読みください。

人材育成制度が充実している

人材育成制度が充実している傾向にあり、従業員の成長促進へ積極的に投資しています。主な施策の例として挙げられるのは、社員研修の実施、eラーニングの導入、資格取得の支援などです。従業員が自ら学びスキルアップできる環境があると、前向きに成長をめざす組織文化が醸成されます。

多様性が受容されている

D&I(=多様性と包摂性)を重視した経営を行い、あらゆる従業員が安心して働ける環境が整備されています。近年は、育児・介護に携わる従業員のために短時間勤務やリモートワークを導入し、多様な働き方を認める企業が多くなりました。多くの人にとって働きやすい職場になれば、離職率の低下が期待できます。

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組織力の強化が必要な企業の特徴

以下のような特徴に当てはまる企業では、組織づくりに取組み改善策を講じるのが望ましいといえます。自社の組織における課題を特定し、組織力強化を図りましょう。

従業員間の交流が少ない

従業員同士の交流が少なく、コミュニケーション不足によりチームや部署間の連携が悪化し、組織全体の業務効率が低下している状態です。対策として、1on1ミーティングや社内イベントの開催、部署間交流制度やコミュニケーションツールの導入が有効です。組織内の一人ひとりが相手の価値観や考え方のクセを理解することで、結果としてコミュニケーションコストが下がり、意見調整の円滑化が期待できます。

助け合いの精神がない

職場に助け合いの精神がなく、従業員同士が相互の協力を避けている状態です。誰にも質問できずに孤立してしまう新入社員や、不満を一人で抱え込んで疲弊してしまう従業員もいるでしょう。こうした状況は従業員の離職を招くほか、連携不足にともなう組織全体の生産性低下も懸念されます。人間関係の構築や一体感の醸成につながる、メンター制度や交流イベントなどの施策が必要です。

上司の指示がないと動けない従業員が多い

従業員が指示された業務以外へ取組む意欲を見せなかったり、問題を自ら解決する姿勢がなく上司の指示を待ったりしている状態です。組織力を向上させるには、一人ひとりが自ら考え行動する主体性を持つことが不可欠だといえます。主体性のない組織は、変化に対する柔軟な対応が難しく、競争優位性を確保できません。解決策として、従業員の動機付けや人材配置の見直しを検討するとよいでしょう。

管理職の力量が足りない

組織を導くリーダー層である管理職のスキルが不足している状態です。管理職が適切な指示を出せずに混乱や非効率が生じていたり、不公平な評価によって不満が高まったりしていると、組織全体の士気が低下してしまいます。組織のパフォーマンス向上やモチベーションアップを実現するには、管理職向けの社員教育を実施してスキルの習得を支援することが大切です。

失敗を許容できない

従業員が失敗を恐れて挑戦できず、イノベーションの創出や変革を起こせない状態です。画期的な商品・サービスを生み出したり、新たな市場へ参入したりと、企業の成長にはリスクを取る場面が少なくありません。それだけでなく、失敗を許容できない組織では不正の隠ぺいによる不祥事が懸念されます。従業員の挑戦を認められる、心理的安全性の高い職場づくりへの取組みが求められます。

組織力を強化する主な方法

組織力向上のために、企業はどのような取組みをすればよいのでしょうか。ここでは、組織力を強化する主な方法をご紹介します。

企業理念や企業ビジョンを従業員に浸透させる

企業理念やビジョンを社内に浸透させるために、経営陣から従業員へ直接メッセージを伝える機会を設けましょう。たとえば、入社式や周年イベントで伝えるほか、朝礼や社内報で定期的に発信すると効果的です。このように企業理念やビジョンを浸透させる手法は「インナーブランディング」と呼ばれます。従業員は目の前の業務の先にある目的や意義を理解でき、一層仕事に打ち込むことが可能です。

インナーブランディングの手法について詳しくは、以下の関連記事で解説しています。競争力強化や企業文化の統一へ向けて、ぜひ参考にしてみてください。

コミュニケーションが取りやすい環境を整える

社内相談の仕組みを構築するために、「定期面談」「匿名アンケート」「メンター制度」などを実施するとよいでしょう。なかでもメンター制度では、特定の先輩社員が新入社員を支援することで、若手が気軽に悩みを相談しやすくなります。また、従業員間の交流イベントを開催する施策も効果的です。イベントの例として、「スポーツ大会」「レクリエーション」「地域イベント」「オンライン交流会」などが挙げられます。部署や職種が異なる従業員同士の交流が促され、信頼関係の構築に役立ちます。

上司が部下と積極的にコミュニケーションを取る

組織力を向上させるには、上司が部下に歩み寄る努力をして、心理的安全性の高い職場を作ることがポイントです。部下に安心感を与えるために、上司が自身のコミュニケーションスタイルを見直し、意思表示の仕方・伝え方・聞き方などを見直す必要があるでしょう。管理職向けのコミュニケーション研修を実施し、ロールプレイングを通じて実践的なスキルを身につけられるようにすることをおすすめします。

NTT ExCパートナーの「ビジネスコミュニケーション研修」は、ビジネスパーソンのコミュニケーションスキルを高める研修プログラムで、組織の活性化に貢献します。詳しくは以下のページからご覧ください。

現状の課題を可視化してチームで共有する

管理職は現状の課題を可視化し、チームの理想の姿を提示して実現をめざすとよいでしょう。その際は、現状の姿と理想の姿をそれぞれ洗い出し、どのようなギャップがあるか分析します。たとえば「メンバー間の業務量に偏りがある」という現状に対して、「業務を適切に分担する」という理想を掲げたら、ギャップを埋めるために属人化解消や業務効率化の施策を検討します。

失敗をサポートする風土を作る

従業員が意欲的に挑戦できるようにするには、役職・年代・部署を問わず新たなチャレンジを肯定し、失敗をサポートする風土を作ることが大切です。そのためにも、経営層や管理職は日頃から挑戦を歓迎するメッセージを伝えていく必要があるでしょう。また、挑戦する従業員を表彰する制度を作ったり、周囲へ相談する機会を確保したりすることも重要です。

適切な人材配置を行う

従業員のスキルを洗い出し、一人ひとりの能力や特性に合わせて適切な人材配置を検討しましょう。その際は、従業員のスキルを可視化できるタレントマネジメントシステムを導入すると効果的です。個人の保有スキルや社内全体のバランスなどを分析しながら、現状の人材配置を最適化したり、不足するスキルの習得を支援したりするようおすすめします。

従業員の動機付けを行う

従業員の自発的な行動を促すために、管理職が動機付けを行います。自らの意思で仕事に取組んでいる実感を持たせることで、モチベーションを高めることが可能です。動機付けの手法は、外部からの報酬や評価による「外発的動機付け」と、本人の喜びや充実感による「内発的動機付け」に分けられます。それぞれを適切に組み合わせてアプローチすることがポイントです。

従業員をまとめられる管理職を育成する

組織力強化の施策では、リーダーとして施策を推進する管理職に高度なマネジメントやコミュニケーションのスキルが求められます。特に、管理職になって間もないタイミングや、チームやプロジェクトが結成した直後は、管理職に社員研修の機会を提供し、必須スキルの習得をサポートすると効果的です。なお、組織力を強化するために管理職に求められる具体的なスキルについては、次の見出しで解説します。

組織力強化のため管理職に求められるスキル

組織変革へ向けてチーム全体を率いる管理職は、以下のスキルを身につけるのが望ましいといえます。人事業務のご担当者さまは、社員研修の機会を提供して、自社の管理職に不足するスキルの習得をめざしましょう。

目標達成力

現状の組織に適した目標を設定し、達成へ向けた計画を策定し、成果を出すまで遂行するスキルです。管理職は目標を達成するために、具体的な施策を検討したり、人材配置を考えたりする必要があります。

リーダーシップ

目標達成というゴールへ向けて組織を率いて、メンバーのモチベーションを高めるスキルです。管理職はメンバーに対する動機付けや、チームの結束力を高める支援などを行います。

課題解決力

解決すべき課題を見極めて、論理的な思考によって解決へと導くスキルです。管理職は仮説を立てて、解決方法を検討した上で、施策を実行して解決をめざします。

人材マネジメント力

組織内の人材を最大限に有効活用して成果をあげるスキルです。管理職は、人材の採用・育成・評価・配置の領域に携わり、タレントマネジメントを推進する必要があります。

コミュニケーション力

企業の経営層、取引先、部下やチームメンバーと円滑に連携を取るスキルです。特に部下の指導では、仕事のモチベーションを向上させるコミュニケーションやフィードバックが求められます。

タレントマネジメントシステムや社員研修で組織力強化を支援!

ここまで、組織力を強化する方法について解説しました。現状の職場環境や組織風土を改善し、チームワークを高めるために、人事部門には「タレントマネジメントシステムの導入」や「管理職向け社員研修の実施」といった施策が求められます。タレントマネジメントシステムは、社内の人材データを集約して一元管理することにより、組織開発やコミュニケーション活性化に役立てられます。また、管理職向けの研修プログラムを実施することで、リーダー層は組織マネジメントやチームビルディングのスキルを身につけることができます。組織力強化を支援するソリューションは、NTT ExCパートナーグループにお任せください。

タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューションは、人材データにもとづいた適材適所の人材配置や、自社に適した人材育成体系の策定に貢献します。さらには、育成施策の実施や効果測定まで、ワンストップで支援いたします。

「組織マネジメント研修」では、企業理念をもとに自組織に必要な共通の目的を検討し、明確にしていきます。また、メンバーのモチベーション向上やコミュニケーション活性化を促す、管理職に必須のスキルの習得をめざします。

「ココキビ」では、心理的安全性の高い職場づくりに貢献する、診断ツール・eラーニングをご提供します。診断で従業員一人ひとりが自身への理解を深め、学習により行動変容を起こし、コミュニケーション行動の強化をめざします。

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